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2020年4月

2020年4月27日 (月)

持続化給付金(速報版)の公表 -季節性収入特例の事例-

本日、新型コロナウイルスに対する持続化給付金の申請要領(速報版)が公表されました。

持続化給付金に関するお知らせ(速報版)

持続化給付金に関する申請要領 中小法人等事業者向け(速報版)

【2020年5月1日 追記】
本日から持続化給付金の申請が可能になりました。(補正予算成立の翌日!)
申請は下記サイトより
https://www.jizokuka-kyufu.jp/ 
 
持続化給付金に関する資料ダウンロードページ
https://www.jizokuka-kyufu.jp/subject/#subject_solo
202004271

給付対象の主な要件としては
1 新型コロナウイルスの影響により、ひと月の売上が前年同月比で50%以上減少している
2 中堅・中小法人(資本金10億円以上の大企業を除く)、個人事業者
3 2019年以前から事業による事業収入を得ており、今後も事業を継続する意思がある事業者

給付額は次の式で算出します(ただし、法人200万円、個人事業者100万円が上限)。
給付額 =前年総売上-(50%減の月の売上×12)

今回、公表された申請要領では、創業初年度や合併法人などに適用される各種の特例が説明されています。
その中のひとつに「季節性収入特例」があります。これは、季節変動が大きい事業者について、通常の給付額計算では給付が受けられなかったり、不利な扱いになる事を避けるための特例です。

対象となるのは次の2つの要件を満たす場合です、
適用条件①
少なくとも2020年の任意の1か月を含む連続した3か月(対象期間)の事業収入の合計が、前年同期間の3ヶ月(以下「基準期間」という)の事業収入の合計と比べて50%以上減少していること。

適用条件②
基準期間の事業収入の合計が、基準期間の属する事業年度の年間事業収入の50%以上を占めること。ただし、基準期間が複数の事業年度にまたがる場合は、基準期間の終了月の属する事業年度の年間事業収入の50%以上を占めること。
※対象期間の終了月は2020年12月以前とする。

給付額は以下の算式で求めます。
給付額(上限200万円)=基準期間(3ヵ月間)の売上合計-対象期間(3ヵ月間)の売上合計

先ほどご紹介した申請要領にも事例が掲載されているのですが、ややわかりづらい事例でしたので単純な事例を作ってみました。
このように、特定月に売上が集中する場合には、前年同月比50%を下回る月だけを使った計算よりも、3ヵ月間の売上を用いる特例を使った方が有利になる場合があります。
202004272

なお、当給付金は令和2年度の補正予算案の成立が前提になっていますので、最終的な計算方法等は今月末ごろに公表される予定です。

【2020年5月1日 追記】
本日から持続化給付金の申請が可能になりました。(補正予算成立の翌日!)
申請は下記サイトより
https://www.jizokuka-kyufu.jp/
 

【2020年6月26日 追記】
6月29日から支給対象が拡大され、次の2形態が追加されました。
①主たる収入を雑所得・給与所得で確定申告した個人事業者
②2020年1月~3月の間に創業した事業者
追加して提出する書類も増えていますので、下記パンフレット等をご参照ください。
https://www.meti.go.jp/covid-19/pdf/kyufukin-kakudai.pdf

 

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2020年4月21日 (火)

「会計の基本」15刷りの御礼 -本は書店で買いましょう-

  このたび、拙書『この一冊ですべてわかる 会計の基本』が、2010年の刊行から15度目の増刷となりました。
20200421
 
これも、ひとえに読者、書店並びに出版社の皆様のご協力のおかげです。この場をお借りして御礼申し上げます。

本書は会計の基本書でありますが、増刷のたびに会計制度にあわせた改訂を行っています。
また、各章末に設けたブックガイド欄も都度更新しており、今回は第7章「企業価値」の推薦図書として宮川壽夫先生の『企業価値の神秘』を追加しました。

現在、コロナウイルスへの緊急事態宣言により多くの書店が休業状態にあります。
本書が書店の棚に並ぶのも、もう少し先になろうかと思われますが、お見かけになられた際には、書店への応援も含め是非、ご購入下さい!
(書店の減少ペースは物凄い勢いで進んでおり、かつては、2万5千店あった新刊取扱店が、現在では1万店を切ったと言われています。今回の自粛は書店経営にも壊滅的な影響を与えています。酔っぱらった仕事帰りにふらっと書店に寄るという、あの貴重な時間が無くなるのは悲しすぎますよね。)

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2020年4月13日 (月)

2000年問題から学ぶコロナウイルス対応 -インフルエンザは先行指標になりうるのか 

昨今、コロナウイルスの動向については、様々な人々が様々な立場から意見を述べられています。
このような、将来の不確実な事象への対応については、かつての「2000年問題」が参考になります。
(注:若い方のために、2000年問題について補足しておきます。西暦2000年をむかえる時に、従来下2桁で年号を管理していたシステムが予期せぬ障害を起こすのではないかと言われ、当時のIT担当者が世間からボコボコに叩かれながらも無事に対応したという悲劇の歴史です)

対応が完了した2000年3月30日に、政府(内閣コンピュータ西暦二千年問題対策室)が2000年問題を総括した報告書が公表されています。
「コンピュータ西暦2000年問題 に関する報告書」

私も、この2000年問題については、IT担当者として「間に合うのか!」「海外はこんなに進んでいるんだぞ!」と尻を叩かれましたので、この報告書中の内容には強い共感を覚えました。

報告書全体としては、内外からの批判等もあったが、我が国の2000年問題対応は大きな混乱も生じず的確なものであったと評価しています。
この中に、今後、参考とすべき事項として次のような記述があります。

Ⅳ.2000年問題から学ぶべきことと今後の対応
【今後の課題として更に対応すべきもの】
(中略)リスクがいかに低くてもゼロとは言えないために「可能性」があるという表現で断じてしまう等の用語の曖昧さも相まって、上記のような本来専門分野でない者による必要以上に深刻なコメントが影響力を持った。(太字は筆者加筆)

このような2000年問題の反省を踏まえた上で、本来専門家でない私が、本日は、少々コロナウイルスのネタを書かせていただきます(長いマクラだ)。

(Disclaimer)
当方、医療はまったく専門外ですので、以降は、単なるデータのご紹介とリンク集としてお読みください。

スェーデンのローカルニュースサイトで、次のような記事が掲載されています。
https://www.thelocal.se/20200310/timeline-how-the-coronavirus-has-developed-in-sweden

えらく長い記事なんですが、4月6日の記述の中で、下図のスウェーデンのインフルエンザ感染者数のグラフを参照し、感染者の推移(緑の棒グラフ)が急激に減少しているのは、衛生意識の変化を表していると紹介しています。
202004131

手洗いや三密を避けるといった行動は、コロナウイルスだけではなく、通常のカゼやインフルエンザ予防にも効くので、統計データが豊富で、かつ、発症までの時間の短いインフルエンザは、コロナウイルス感染の先行指数になるとの考えでしょう。

横軸は年初から第何週目かを示しているんですが、欧州では第8週(3月23日)にイタリアが移動制限を出していますので、そこからの行動変容が感染者数の減少に影響しているようです。
ただし、通常のインフルエンザは季節性であり、ピークの期間も短いので、これだけではよくわかりません。

次に、ヨーロッパ全体の状況を見てみましょう。ECDC(European Centre for Disease Prevention and Contro)がヨーロッパ全体の統計データを公表していまして、第13週における発生者を前年とを比較したグラフがありました。
https://www.ecdc.europa.eu/en/publications-data/weekly-influenza-update-week-13-march-2020

 202004132_20200413190301
このグラフは前年の推移と比較しているのでわかりやすいですね。欧州で対策が行われ出した9,10週あたりから前年と比較して急激に減少していることがわかります。

続いて米国CDC(centers for Disease Contral and Prevention)が全米のインフルエンザの統計を発表しています。
https://www.cdc.gov/flu/weekly/index.htm
最新が第14週(最終4月4日)のレポートです。
202004133
 
急激に減少しているのはわかるのですが、このグラフだと過去との比較ができないので、州別のデータから、現在、深刻な状況なNY州の推移を見てみます。
https://www.health.ny.gov/diseases/communicable/influenza/surveillance/2019-2020/flu_report_current_week.pdf

こちらには、年度別のグラフがあります。
 202004134_20200413190401  

太い赤線が2020年です。3月ごろから減少はしているのですが、前述した欧州も米国も1,2月中には、例年にくらべて特段の行動変容は認められません。

続いて、コロナ対応に成功していると言われている韓国の事例をみてみましょう。
https://www.health.ny.gov/diseases/communicable/influenza/surveillance/2019-2020/flu_report_current_week.pdf
KCDCが、インフルエンザの週刊レポートを公表しており、これは、最新の第14週のグラフです。
202004135_20200413190301

これも赤線が2020年です。韓国は気候の特質なのか、インフルエンザのピークが年度によって大きく違うので、今年の推移だけ見て判断するのは困難です。大邱市の集団感染がわかったが2月中旬(第9週ごろ)なので、今年については、既にインフルエンザのピークを過ぎていたようです。

では、最後に我が国のデータを見てみましょう。
まず、NIID(国立感染症研究所)が過去10年の比較グラフを4月10日に公表しています。
https://www.niid.go.jp/niid/ja/flu-m/813-idsc/map/130-flu-10year.html

202004136

赤の太線が2020年度です。例年に比べて感染者数が大幅に少ない事がわかります。ただし、今年は例年になく温暖でしたので、気候の影響も大きいと推察されます。
最後にもうひとつ。東京都健康安全研究センターが公表している東京都のインフルエンザ状況のグラフをみてみます。
http://idsc.tokyo-eiken.go.jp/assets/flu/2019/Vol22No17.pdf

202004137
これも赤い太線が2020年。このグラフをみると流行の始まりは例年よりも早かったのに、1,2月にピークをむかえないまま抑え込まれています(1月第1週の大きな減少は正月休みによる)。
急激に死者数が増加した欧州や米国とは異なる感染推移になっており、我が国においては既に1,2月から行動変異の影響が出ているとも読み取れます。

ただし、中国で最初の死者が出たのが1月9日、日本で最初の感染者が出たのが1月16日ですから、今年は、そもそもインフルエンザの流行が少なかったのか、コロナ対策による行動変容の結果なのかを判断するのは難しいところです。

繰り返しになりますが、当エントリーの主旨は、素人の私の意見を開陳することではなく、2000年問題で得た知見を役立てようというものですので、最後に再度、2000年問題報告書の一文を引用するとともに、現在も懸命に活動されている医療従事者の方々への感謝の言葉とさせていただきます。

(中略)上記のような深刻な影響を予測する者だけでなく、一般に、(ア)コンピュータにトラブルは付き物であり、(イ)それを前提に様々なシステムは構成されているという、コンピュータに接していれば、ある程度常識と理解できることが、こと2000年問題に限っては、この点を考慮せずに事態を深刻に捉えたり、誤作動に過敏に反応したりする傾向もあり、深刻な予想を受け入れる素地が形成されていたとみられる。

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2020年4月 8日 (水)

飲食店は10日間の軽減売上割合の特例適用を検討しよう 

昨日、4月7日にコロナウイルスに対する緊急事態宣言が発令されました。
読者の皆様も各々の職場で対応に翻弄される日々を送られていると思います。

特に、飲食店の方々は、売上減に対応するために、テイクアウトメニューを増やしたり自主的な休業を始めているところも多く見かけます。

ここで、ひとつ飲食店の方々にお伝えしておきたい消費税の特例制度があります。
令和元年10月の軽減税率制度導入時に、複数税率による売上税額計算が困難な中小事業者向けに3種類の特例が設けられました。
詳細は下記の図をご参照ください。

202004082

この中で注目していただきたいのは、特例②の軽減売上割合を使って、1年間の標準税率と軽減税率の割合を決める方法です。
軽減売上割合とは
「通常の事業を行う連続する10営業日の課税資産の税込売上総額に占める軽減税率対象品分の割合」 です。

連続する10日間の軽減税率商品(8%)と標準税率商品(10%)の割合を集計し、その割合を1年間全体の売上に乗ずることで税額を計算することが認められているのです。
つまり、テイクアウト(軽減税率8%)の売上割合が高い10日間の軽減売上割合を用いることで消費税額の削減が可能になります。

なお、この特例の対象となるのは、売上を税率ごとに区分して合計するのが困難な中小事業者(基準期間における課税売上高が5千万円以下)に限定されている点に注意してください。

ここでいう「困難」の程度については、「消費税の軽減税率制度に関する取扱通達」21に次のように規定されています。
困難な事業があるときの意義)
21 改正法附則第38条第1項《31年軽減対象資産の譲渡等を行う中小事業者の課税標準の計算等に関する経過措置》に規定する「困難な事情があるとき」とは、例えば、事業者が同項に規定する適用対象期間中に国内において行った課税資産の譲渡等につき、税率の異なるごとの管理が行えないことなどにより、当該適用対象期間中の当該課税資産の譲渡等の税込価額を税率の異なるごとに区分して合計することが困難である場合をいい、そのような場合には、その困難の度合いを問わず、同項に規定する経過措置を適用することができることに留意する。
(注)1 改正法附則第38条第2項に規定する「困難な事情があるとき」において同様である。

また、「通常の事業を行う連続する10営業日」の意義について、同取扱通達22に次のように規定されていますので、テイクアウトだけで営業するような「特別な営業」期間は計算対象から除かれる点に注意してください。

(通常の事業を行う連続する10営業日の意義)
22 改正法附則第38条第1項《31年軽減対象資産の譲渡等を行う中小事業者の課税標準の計算等に関する経過措置》を適用する場合の「通常の事業を行う連続する10営業日」は、同項に規定する適用対象期間における通常の事業を行う連続する10営業日であればいつかを問わないのであるが、例えば、通常飲食料品と飲食料品以外の資産の譲渡等を行う事業者が、特別な営業により、ある10日間について飲食料品の譲渡のみを行うといった営業日は同項に規定する「通常の事業」を行う営業日に含まれないことに留意する。
 なお、これら「通常の事業」でない営業日を含む連続する10営業日に基づき同項の規定を適用することはできないのであるが、このような「通常の事業」でない営業日を除いた前後の連続する期間の合計10営業日については、「通常の事業を行う連続する10営業日」として取り扱う。

 

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2020年4月 1日 (水)

収益認識に関する会計基準の改正

昨日3月31日付で企業会計基準委員会から企業会計基準第29号『収益認識に関する会計基準』の改正が公表されました。

https://www.asb.or.jp/jp/accounting_standards/accounting_standards/y2020/2020-0331-01.html

2018年3月に公表された「収益認識に関する会計基準」はIFRS15号に準じた内容ですが、開示と注記部分の詳細については新基準適用までの検討課題とされていました。
今回の改正により開示と注記部分の詳細が決定しました。

基本的には、昨年10月30日に公表された改正案と同様の内容になっています。

新型コロナウイルスの影響で確定申告の期限が1ヵ月、オリンピックも1年間延期されています。
収益認識基準の適用開始も1年程度延期してもらえないかと期待していたのですが、適用時期については当初通り

2021年4月1日以後開始する連結会計年度及び事業年度の期首から

で変更はありません。

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