【書評】『IFRS導入プロジェクトの実務』
武田雄治先生から、新刊 『IFRS導入プロジェクトの実務』 (中央経済社)を献本していただきました。
本書は、IFRS導入にあたって、最終ゴール(つまりIFRSに基づく有価証券報告書の作成)から逆算してプロジェクトを進めていく 「ゴール逆算方式」 を提唱しています。
まず最初に第1部「先行開示事例にみるIFRS開示の特徴」で開示のイメージをつかんだ後に、第2部「IFRS導入プロジェクトの進め方」に進むという書籍構成自体も、最終ゴールである有報開示を意識したものです。
その中でも、第2部「IFRS導入プロジェクトの進め方」に本書の特徴が出ています。
例えば、プロジェクトを進める際に問題になる「子会社等の重要性判定」について考え方だけではなく、具体的な手順が示されています(p173)。
この重要性の論点は、大手監査法人系の書籍では、抽象的な記述に留められていることが多いため、ここまで踏み込んだ解説はIFRS導入を検討している会社にとって有益な情報となるでしょう。
さらに、グループ会計方針の決定に際して行われる監査法人との調整時の「理論武装の方法」(p228)を、ポイントごとに解説しています。このタイトル自体、監査法人系の書籍では使えないものです(笑)。
IFRSの会計基準よりも導入プロジェクトの進め方を中心にまとめた類書としては、野口由美子氏、石井 昭紀氏の 『現場で使える IFRS導入の実務』 があります。
刊行から5年近くが経っているため会計基準等についてはアップデートする必要がありますが、プロジェクトの進め方については、現在でも参考になる一冊です。
なお、6月23日には、『IFRS導入プロジェクトの実務』出版記念セミナーも開催されるそうです。
http://blog.livedoor.jp/takeda_cfo/archives/2032745.html
IFRS導入プロジェクトが塩漬け状態になっている会社も多いと思いますが、改めてプロジェクトに喝を入れるために、本書及び当セミナーを利用してみるのも良いでしょう。
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