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2011年3月 4日 (金)

書評 「包括利益・過年度遡及の決算対応」

先日、武田雄治先生から、新刊『 包括利益・過年度遡及の決算対応―財務諸表の表示が変わる! 』(中央経済社)を献本していただきました。新基準導入にあたり、お悩みの方々も多いと思いますので、内容をご紹介しておきます。

本書は、2011年3月期から導入される「包括利益の表示に関する会計基準」と2011年4月以降の決算期から導入される「会計上の変更及び誤謬の訂正に関する会計基準」を解説したものです。
両基準は、IFRSとのコンバージェンスの結果、我が国の会計基準として導入されたものですから、IFRS適用の有無に関係なく、すべての上場企業が対応しなければなりません。

特に、包括利益会計基準は、最終版確定までに紆余曲折があり、本文中で武田先生も記述しているように「矛盾」を抱えた内容になっている点に注意が必要です。

本書は経理・財務部門に属する実務家を対象としたものですが、その中でも、過年度遡及処理による有価証券報告書の影響部分をまとめたチェックリスト【図表3-16、17】は実務に役立つ資料です。
過年度遡及による影響は財務諸表本体部分にとどまらず、有価証券報告書の様々な箇所に影響を与えるため、洩れなく修正するのは厄介な作業です。訂正報告書提出の負荷と屈辱(?)に比べれば、本書の購入は合理的な投資と言えましょう。

私も、改めて両基準を読み直してみましたが、「ややこしい」という印象しか湧いてきません。経理部門の方々は理解して対応せざるを得ませんが、一般投資家の方々が、今回の改正に付いてこれるのか不安であります。

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