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2011年2月14日 (月)

平成23年度 減価償却制度改正のまとめ

平成23年度税制改正における減価償却制度の改正概要についてまとめておきます。

■200%定率法の導入
平成23 年4月1日以後に取得する減価償却資産の定率法の償却率は、従来の定額法の償却率(1/耐用年数)を2.5倍した率(250 %定率法)から、2倍した率(200%定率法)に変更されます。
この改正にあわせて従来の改定償却率及び保証率も見直されます。

新しい200%定率法導入にあたり、以下の2つの経過措置が設けられます。

経過措置1(経過年度における現行償却方法の継続適用)
定率法を採用している法人が、平成23 年4月1 日前に開始し、かつ、同日以後に終了する事業年度においては、その年度内に取得した減価償却資産を現行償却率による定率法(250%定率法)で償却できます。

経過措置2(従来取得資産に対する200%償却法の選択適用)
現行の償却率(250%定率法)を採用している減価償却資産について、改正後の償却率(200%定率法)を用いて償却することができます。この時、当初の耐用年数で償却を終了するように改訂償却率及び保証率も見直されます(ただし、平成23 年4月1日以後最初に終了する事業年度の申告期限までに届出が必要)。

なお、改正法案は、既に国会に提出されていますが、減価償却の詳細は法人税法本法ではなく、法人税法施行令に規定されているため、法案では詳細がわかりません。関連政令の改正は、本法が国会を通過した後の3月末に公布されるのが通例です。

一方、財務会計における減価償却費の扱いについては日本公認会計協会、監査・保証実務委員会報告第81号「減価償却に関する当面の監査上の取扱い」にしたがいます。

当委員会報告も今回の税制改正に合わせて改正が見込まれるため、対応方針の決定は改正結果を待たざるを得ない状況にあります。

《追記》
平成23年4月24日「減価償却に関する当面の監査上の取扱い」の改正案が公表されました。
https://iwatani-c.cocolog-nifty.com/blog/2011/02/23-f37e.html

【追記 2015/9/16】
減価償却制度の全体像については、下記エントリーにまとめてあります。
 『減価償却計算の歴史 改定償却率や償却保証額は、どこから生まれてきたのか』

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コメント

老婆心ながら、経過措置1のタイトル「初年度における現行償却方法の継続適用」は、若干誤解を生む可能性があると思います。
「平成23 年4月1日以後に取得」を「平成23 年4月1日以後開始する事業年度の開始日以後に取得」と読み替えることができるという内容です。そのため、初年度の視点が税務署側にあるので、ちょっと違和感を感じました。

投稿: 通りすがり | 2011年2月17日 (木) 14時49分

”通りすがり"様 ご指摘ありがとうございます。
ご指摘の通り、「初年度」という表現は不正確ですので(3月決算会社については適用されない)、「経過年度」という表現に本文を修正いたしました。
今後とも、よろしくお願いいたします。

投稿: iwatani | 2011年2月17日 (木) 15時29分

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» 減価償却制度の見直し:平成23年度税制改正大綱 [会計士のSPEC探し旅]
注目度が高い平成23年度税制改正論点の中から、減価償却制度の見直しを取り上げます。 ■改正内容 平成23年4月1日以後に取得をする減価償却資産の定率法の償却率を、250%償却(定額法の償却率を250%にしたもの)から200%償却へ変更します。 趣旨としては、課税ベースの拡大で、償却速度を主要国並みに見直すこととされています。 経過措置として、以下の2点が述べられています。 3月31日決算以外の会社について、平成23年4月1日以後開始する事業年度開始日から適用することが認められます。 平... [続きを読む]

受信: 2011年2月17日 (木) 17時02分

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