平成19年度改正による減価償却計算
平成19年3月30日に公布された改正法人税法施行令では、新しい定率法の減価償却方法を以下のように定義しています。
法人税法施行令 第48条の2 第1項 第2号
ロ 定率法
(当該減価償却資産の取得価額(既にした償却の額で各事業年度の所得の金額又は各連結事業年度の連結所得の金額の計算上損金の額に算入された金額がある場合には、当該金額を控除した金額)にその償却費が毎年一定の割合で逓減するように当該資産の耐用年数に応じた償却率を乗じて計算した金額(当該計算した金額が償却保証額に満たない場合には、改定取得価額にその償却費がその後毎年同一となるように当該資産の耐用年数に応じた改定償却率を乗じて計算した金額)を各事業年度の償却限度額として償却する方法をいう。)
ここで、新しく「償却保証額」と「改定取得価額」いう用語がでてきますが、同条第5項で以下のように定義されています。
償却保証額
減価償却資産の取得価額に当該資産の耐用年数に応じた保証率を乗じて計算した金額をいう。
改定取得価額
次に掲げる場合の区分に応じそれぞれ次に定める金額をいう。
イ 減価償却資産の第一項第二号ロに規定する取得価額に同号ロに規定する耐用年数に応じた償却率を乗じて計算した金額(以下この号において「調整前償却額」という。)が償却保証額に満たない場合(当該事業年度の前事業年度又は前連結事業年度における調整前償却額が償却保証額以上である場合に限る。) 当該減価償却資産の当該取得価額
ロ 連続する二以上の事業年度又は連結事業年度において減価償却資産の調整前償却額がいずれも償却保証額に満たない場合 当該連続する二以上の事業年度又は連結事業年度のうち最も古い事業年度又は連結事業年度における第一項第二号ロに規定する取得価額(当該連続する二以上の事業年度又は連結事業年度のうちいずれかの事業年度又は連結事業年度において評価換え等が行われたことによりその帳簿価額が増額された場合には、当該評価換え等が行われた事業年度又は連結事業年度後の各事業年度又は各連結事業年度(当該評価換え等が期中評価換え等である場合には、当該期中評価換え等が行われた事業年度又は連結事業年度以後の各事業年度又は各連結事業年度)においては、当該取得価額に当該帳簿価額が増額された金額を加算した金額)
簡単に説明するならば、改定取得価額とは、定額償却に移行した際の簿価になります。
また、「保証率」と「改定償却率」は、同日付で改正された「減価償却資産の耐用年数等に関する省令」の別表第10において耐用年数ごとに定義されています。(平成19年3月30日付 官報 号外第66号 406ページ参照)。
【追記 2015/9/16】
減価償却制度の全体像については、下記エントリーにまとめてあります。
『減価償却計算の歴史 改定償却率や償却保証額は、どこから生まれてきたのか』
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コメント
はじめまして
減価償却のモデルパターンを国税庁に公表していただきたいものですね。
償却予定額どおりに償却しない場合など
問題はもう少しあるように思っております。
投稿: たかはし | 2007年4月 6日 (金) 20時16分
たかはしさん、はじめまして。
引越しの関係でコメントが遅れてすみません。
ご指摘の通り、償却超過額の扱いなど、実務上、対応すべき論点は、まだまだたくさんあると思います。
今後とも、お付き合いのほど、よろしくお願いします。
投稿: iwatani | 2007年4月10日 (火) 17時34分