その他

2015年1月 8日 (木)

キャッシュフロー計算書の略称は C/FかC/Sか これが答えだ!

新年あけましておめでとうございます。本年もよろしくお願いいたします。

年明け最初のブログは、ご好評いただいております(?) 「これが答えだ!」シリーズの第3弾をお届けします。

本日は、
「キャッシュフロー計算書の略称はC/FかC/Sか?」
この問題に決着をつけたいと思います。
20150108

「そんなのC/Fに決まってるだろ」

と思われた方もいらっしゃるでしょうが、実は、それほど単純な問題ではありません。
今回の論点は、会計書籍の執筆時だけに発生する特殊な問題を包含するため、まず最初に、キャッシュフロー計算書の略称使用時に考慮すべき論点についてご説明していきます。
(なお、本日の論点は、あくまでも日本語における略称の取扱いについて議論しています。
そもそも英語の場合、損益計算書はIncome Statementと呼ばれるためP/Lという略称は一般的ではありません。また、後述しますが、日本語の場合には縦書という固有の問題も考慮する必要があります)

論点1 略称の必要性

書籍執筆時に、貸借対照表や損益計算書については、B/S、P/Lと略すのが一般的ですが、キャッシュフロー計算書については略称を使用しないというアプローチも存在します。

この時に、キャッシュフロー計算書に略称がないと、他の2表とのバランスが崩れるため、文脈上、どうしても略称が必要になる局面が生じるのです。

例えば、
「P/Lの当期純利益はB/S、キャッシュ・フロー計算書と関連している」
といった文章です。
これは、
「P/Lの当期純利益はB/S、C/Fと関連している」
と書いたほうがスマートです。
本文以上に、挿絵やイラストの場合、面積による制約が大きいためB/S、P/Lという略称を使わざるを得ず、キャッシュフロー計算書に略称がないと図が描けないケースもあります。

論点2 決算書とキャッシュフローの重複

そこで、キャッシュフロー計算書の略称として「C/F」を用いると、書籍執筆の過程で別の問題が派生します。

キャッシュフロー計算書自体の説明をする際に、その内訳項目である「営業活動によるキャッシュフロー」「投資活動によるキャッシュフロー」「財務活動によるキャッシュフロー」という3区分に言及しないわけにはいきません。
また、文中に「キャッシュフロー」という単語が頻繁に現れるため、冗長さを避けるために略称を使いたくなります。

例えば、
「最終的な現金増加額は営業活動によるキャッシュフロー、投資活動によるキャッシュフロー、財務活動によるキャッシュフローの合計額になる」
といった文章です。

この時、「キャッシュフロー」という名詞の略称に「CF」を使ってしまうと、決算書の略称と重複が生じてしまうのです。

作者が、キャッシュフロー計算書の略称にC/Sを用いている場合の理由のほとんどは、この論点をクリアするためと考えられます。

論点3 「/」(スラッシュ)の有無

P/LやB/Sの略称には、通常、「/」(スラッシュ)が入るため、決算書の略称には「/」を入れ、キャッシュフローの略称には「/」を入れないという方法で重複を回避する方法もあります。

キャッシュフロー計算書 = C/F
営業活動によるキャッシュフロー = 営業活動によるCF

一方、日本語の書籍には、縦書と横書という2種類の様式が存在します。
専門的な会計書籍は、通常、横書で書かれていますが、ビジネス書籍の主流は現在でも縦書です。
また、新書や文庫といった判型の制約から縦書が強制される場合もあります。
(拙書「借金を返すと儲かるのか?」は、単行本で刊行した際には横書でしたが、文庫化する際に縦書に直しています)

縦書の場合、半角文字を使ったり、カーニング(文字間の感覚を調整すること)ができないため、略称に「/」を使うと間延びした印象になります。
それを避けるため、P/LやB/Sの略称から「/」を除くケースもあるため、キャッシュフローの略称の重複を「/」の有無で対応するのが難しい場合も生じます。

事例研究

次に、我が国における主要な会計書籍で、どのような略称が使われているかをみていきましょう。

パターン1 C/F

『財務会計』 広瀬義州 中央経済社 (横書) 
(本文中は省略せずに「キャッシュ・フロー計算書」と記述しているが、仕訳例でC/Fという略称を使用)

『決算書を読みこなして 経営分析ができる本』 高下淳子 日本実業出版 (横書)
(キャッシュ・フロー計算書もキャッシュ・フローのいずれもC/Fを使用)

『連結財務諸表等におけるキャッシュ・フロー計算書の作成に関する実務指針』(会計制度委員会報告第8号)
(本文中は省略せずに「キャッシュ・フロー計算書」と記述しているが、仕訳例で略称C/Fを使用)


パターン2 C/S

『財務3表一体理解法』 國貞克則 朝日新書(縦書) 
(縦書のため略称は「CS」本文中で「営業キャッシュフロー(営業CF)」と略している)

パターン3 略称は使用せず

『「1秒!」で財務諸表を読む方法』 小宮一慶 東洋経済新報社 (縦書)
(「キャッシュフロー計算書」で略称は使用せず)

『決算書はここだけ読もう』 矢島雅己 弘文堂(横書)
(決算書もキャッシュフローも略さずキャッシュフロー)

『財務会計講義 第14版』 桜井久勝 中央経済社 (横書)
(B/SとP/Lの略称は記載されているが、本文中は「キャッシュ・フロー計算書」と記述。ただし、「連結キャッシュ・フロー計算書等の作成基準を「CF基準」と略記を使用)

『新版 財務会計論 第4版』 新井清光 中央経済社 (横書)
(本文中ではB/SもP/Lも略称の使用はない)

事例的には、略称としてC/Fを使用しているケースが多いようです。また、専門書においては略称自体を用いないケースが一般的です。

上記項目を考慮した結果、当ブログにおける結論は以下のとおりです。

結論 

横書の場合 キャッシュフロー計算書はC/S
キャッシュフローは  CF (例:営業活動によるCF)

縦書きの場合 キャッシュフロー計算書はCS
キャッシュフローは   CF

理由

書籍執筆時に、最終の校正段階で文字数調整が必要になる局面があります。
そのため、当初の原稿中では略称を使っていなくても、事後的に略称を使わざるを得ないケースが生じ得ます。

執筆を進めるにあたって「キャッシュフロー」という名詞に対して「CF」という略称を使う自由度を確保するため、キャッシュフロー計算書の略称には「C/S」を使用するのが無難でしょう。

ご意見、ご感想をお待ちしています。

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2014年12月15日 (月)

マイナンバー法 関連リンクのまとめ

12月11日にマイナンバー法の事業者向けのガイドラインが公表されました。
今回のガイドラインは、これからマイナンバー法対応を進めるにあたって、実務の指針になるものです。

最終版はこちらから
「特定個人情報の適正な取扱いに関するガイドライン(事業者編)」

公開草案からの変更部分を確認するには、こちらのページから、関連ファイルをダウンロードしてください。
「特定個人情報の適正な取扱いに関するガイドライン(事業者編)(案)」(本文、別添及び別冊による構成)に関する意見募集の結果について

補足資料としてのQ&Aはこちら
「特定個人情報の適正な取扱いに関するガイドライン(事業者編)」及び
「(別冊)金融業務における特定個人情報の適正な取扱いに関するガイドライン」に関するQ&A


マイナンバー制度については、クライアントからの問合せも増えているため、備忘用に関連リンクをまとめておきます。

【マイナンバー法のまとめ(税務業務編)】

まずは、税務業務を中心にA4 1枚にまとめてみました。

20141215


内閣府作成の概要資料
(25ページのロードマップがわかりやすい)(2016年11月13日更新版)

【ポータルサイト】

こちらが本家本丸、内閣官房のポータルサイト。
http://www.cas.go.jp/jp/seisaku/bangoseido/

税務業務に関係する論点は、こちらの国税庁のサイトにまとまっています。
「社会保障・税番号制度について」

国税関係については、最初にこのFAQから読むのがお勧めです
国税分野に関するFAQ

【個別資料・パンフレット】

法定調書提出義務者・源泉徴収義務者となる事業者のための
社会保障・税番号制度の概要

税務関係書類への番号記載時期
http://www.nta.go.jp/sonota/sonota/osirase/mynumberinfo/bangoukisaijiki.htm

番号制度に係る様式関係情報提供スケジュール
http://www.nta.go.jp/sonota/sonota/osirase/mynumberinfo/pdf/scheduler.pdf

法定調書、源泉徴収票の新様式(案)
http://www.nta.go.jp/sonota/sonota/osirase/mynumberinfo/jizenjyoho/index.htm

【関連法令原文】

マイナンバー法
(大変、読みづらく読解は困難。第1条は500字以上あり最初から挫けます)

マイナンバー法施行令

マイナンバー法施行規則

マイナンバー法施行に伴う財務省関係政令の整備関する政令(要綱)

所得税法施行令の一部改正(平成26年5月14日公布)

マイナンバーに関する財務省令
(チェックデジットの計算式でシグマ(∑)を使っている!会計全書に収録できるのだろうか)

国税関係手続に係る本人確認に必要な書類 (平成27年1月30日 国税庁告示第2号)

このページは、適宜修正していく予定です。

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2014年9月24日 (水)

電卓は右手か左手か? これが答えだ!

先日、公認会計士試験及び税理士試験受験生が使う電卓はカシオとシャープのどちらが良いのかについてブログを書いたところかなりのアクセスがありました。
「電卓はカシオかシャープか? これが答えだ!」

そこで、今回は受験生を悩ませる2大電卓問題のもうひとつ、
「電卓は右手と左手のどちらで叩くべきか」
について結論を出してしまいましょう。

【当ブログの結論】 
会計士試験受験生は左手で打つべき 
税理士試験受験生は自分の業務環境に合わせる

201409252


税理士や会計士の受験業界では、利き手で電卓を叩くとその都度筆記具を持ち替えなければならないため、解答スピードを上げるために利き手の反対の手(通常の場合、左手)で電卓を叩くのが望ましいという意見があります。

そこで、試験勉強を初めた受験生は、電卓を「右手で叩くか左手で叩くか」という決断を迫られます。

当ブログの結論として、公認会計士の受験生については「左手で打つ」ことを勧めます。

【理由1】 電卓操作の速さは、試験勉強期間全体の効率性に影響する

試験本番において電卓操作の速さが合否に与える影響は軽微なため、どちらの手で打っても問題ないという意見があります。
この意見の通り、本試験時には電卓操作の速さよりも正確性に配慮すべきため、電卓を右手で打つか左手で打つかの差はほとんどありません。
実際、通常の右手のままで合格している受験生もたくさんいます。

さりとて電卓操作のスピードを軽んじるのは早計です。
なぜなら、電卓操作の速さは試験当日ではなく、試験勉強中の演習時間の効率性として累積的に影響を与えるからです。

【理由2】 左手打ちへの移行には、さほど時間はかからない

受験生が左手打ちを躊躇する理由として、それまで打ち慣れた右手から左手に移行する際に時間的ロスが生じる点があります。
しかし、この時間的ロスは気にするほどのものではありません。

電卓を叩く手が右手でも左手でも試験に合格することは可能ですが、公認会計士及び税理士試験の難易度からいって電卓をブラインドタッチできないレベルで合格するのは困難です。

電卓のブラインドタッチは、通常のキーを見ながらの入力とは異なるため、右手で打ったとしても、ある程度の練習が必要になります。
このタイミングで電卓を使用する手を変更するならば、移行時のロスを最小限に抑えることができます。

【理由3】 合格後の会計士業務において左手打ちが有利なため

当ブログで会計士受験生に左手打ちをおすすめするのは、試験対策よりも合格後の実務において左手打ちが有効なためです。

合格直後の会計士が行う業務の中心は監査業務になりますが、その手続のなかにフッティング(footing)があります。これは、開示資料の数字の合計値を電卓を叩いて確認する手続きです。
例えば、貸借対照表のドラフトを入手したら、流動資産の各科目の合計が流動資産計とあっているか、さらに固定資産を合計したものが総資産と合致しているかを、実際に電卓を叩いて確認します。
これも監査手続のひとつですから、計算のたびに資料にチェックマークを記入していきますが、この時に、電卓を左手で叩けると効率的に作業が進められます。

受験時代に問題を解く際は、計算だけではなく考える時間も加わるため、それほど頻繁にペンを持ち換えることはありませんが、このフッティング作業は単純に合計を算出し続けるだけですから左手で電卓を叩いた方が効率的に作業できます。
新人時代には、このフッティング作業を半日以上続ける場合もありますから、右手と左手では作業量にかなりの差が出ます。

フッティングは単純な作業ですが、このフッティングこそ会計士の身を守る最良の習慣です。
会計監査だけではなく、報告書などを作成する際もフッティングは転記ミスを見つける最も効率的な手段だからです。
そこで、ドラフトの校正をしながらフッティングができる左手打ちを早いうちに身につけることをおすすめします。

一方、税理士試験の受験生の場合は、会計士試験とは異なる要件を考慮する必要があります。

両受験生の最大の違いは、実務従事の有無です。
会計士受験生は受験期間中は無職(又は学生)で過ごし、合格後に、はじめて実務に従事するケースが一般的です。それに対して科目別合格が可能な税理士受験生は会計事務所等に勤務して実務を行いながら受験するケースが一般的です。

税理士業務は、会計ソフトや申告ソフトを利用するため、実務で電卓を使用する機会は限られますが、伝票入力を大量かつ高速で行わなければならないため、パソコンのテンキーの使用頻度があがります。

特に、デスクトップ型のPCを使用している場合、テンキーはキーボードの右側に付いており右手で入力することが前提になるので、電卓を叩く手をそれに合わせておくのも合理的な判断になります。

ということで、当ブログなりの結論を出してみましたが、電卓操作については一家言ある方も多いと思います。
皆さんのご意見をお聞かせいただければ幸いです。

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2014年7月25日 (金)

電卓はカシオかシャープか? これが答えだ!

8月の会計士試験(論文)及び税理士試験も近づき、受験生の方々は追い込みの時期でしょう。

会計士試験及び税理士試験受験生におすすめの電卓といえばカシオとシャープの2社にしぼられますが、最終的にどちらがおすすめかという論点について、今回は結論を出したいと思います。

【当ブログの結論】 受験生ならばカシオの電卓を使用すべき
(記事後半に追記があります 2014.10.11)

「慣れてしまえばどっちも同じ」という意見に、当方は与しません。
以下に、その理由を述べます。

カシオとシャープの電卓の違いは、定数計算における入力方法にあります。

定数計算とは、一定の決まった数字の計算を繰り返す際に入力を省略する機能です。
シャープ(及びカシオ以外のほとんどのメーカー)の場合、定数計算の対象は入力順で自動的に決定し、あとは「=(イコールキー)」を繰り返し押していきます

SHARPの電卓の定数計算方法
http://cs.sharp.co.jp/faq/qa?qid=117620

それに対してカシオの電卓では、+、―、×、÷の四則演算期キーを2度押すことによって定数を決定し、それから「=」を繰り返し押していきます。

CASIOの電卓の定数計算方法
http://casio.jp/dentaku/info/chair/upper03/

定数計算が効果を発揮するのは除算で使用する時なので、百分比を算出する事例で両者のキー操作の違いをみてみましょう。

「定数計算における電卓入力の違い (シャープ VS カシオ)」
201407251

この事例のキー入力だけを見れは、シャープの方が1操作少ないので効率的に感じるかもしれません。しかし、実務においてはカシオの方が圧倒的に便利です。

なぜなら、実務で除算の定数計算を行う際に分母の数が事前に与えられるケースは稀だからです。
分母の数を一旦、計算してから除算の定数計算を行う場合、シャープの電卓はメモリー機能を使わざるを得ませんが後段の追記をご確認ください)、カシオならば、メモリーを使わなくても除算の定数計算ができます

先ほどのクラスの人数の事例を使って説明しましょう。
事例では3組の合計数150人が最初から与えられていましたが、この合計数が提示されていなかったとします。

まず、3組の合計人数を計算します。
45 + 75 + 30 = 150

シャープの場合、この合計の150人を計算してから、そのまま定数計算に入ることができません。そこで、この150人という計算結果をメモリーに記録してから、
45 ÷ MR = 0.3
という手順になります。

それに対して、カシオの場合は、先ほどの150の結果が出たところで
÷ ÷ 45 = 0.3
というように、メモリーを使わずに計算が続けられます。

一方、シャープ派の方々からは、
「そのような差があっても、メモリー機能を使えば解決できるのだから問題ないだろう」
という反論があろうかと思います。

しかし、計算の正確性から、メモリー機能の使用は極力避けるべきです。
それは、電卓のメモリーキーの設定が不十分だからです。

現在の電卓に設けられているメモリーキーは4種類
「MC」 メモリー・クリア、メモリー値をクリアする
「MR」 メモリー・リコール、メモリー値を表示する
「M+」 メモリー・プラス、計算結果をメモリーに加算する
「M-」 メモリー・マイナス、計算結果をメモリーから減算する

本来ならば、計算結果とメモリーを置き換える「Replace Memory」のキーを設けるべきなのですが、その機能は省略され「M+」キーで代替する仕様になっています。

そのため、先ほどの事例のように計算値をメモリー値に置き換える際には、その前に「MC」キー(または「ON」キー)でメモリーをクリアする手続きが必須となり、この手順を失念することで計算ミスが生じるのです。
さらに、通常の電卓は「MR」キーでメモリー値を呼び出すまで、メモリー値を目視で確認できません。

つまり、カシオとシャープの電卓の差を、単に定数計算の手順の違いと捉えるのは本質を見誤っています

カシオの電卓は「計算結果をメモリーを使わずに除算の分母に組込める」というシャープの電卓にはない機能を有していると捉えるべきなのです。
この機能は、同じ数字が連続する定数計算だけではなく、除算全般で使えるため使用頻度が高まります。


【追記 2014.10.11】
読者のタカノ氏からのコメントで、シャープの電卓も、下記方法を用いれば除算の分母を固定して按分計算ができることを教えていただきました。

45 + 75 + 30 ÷ =
45 =
75 =
30 =

シャープの電卓には【÷】【=】のボタン操作の逆数計算という機能があり、この機能で表示数の逆数を算出し、それを乗じることで前述した按分計算をメモリーを使わずに計算できるそうです。
(シャープ電卓の取扱説明書)
http://www.sharp.co.jp/support/e_calc/mndl_list.html

したがいまして、当初記載したシャープとカシオ電卓の機能の違いは誤認でしたので、両者の優越を判断する根拠にはなり得ません。

ここで、あらためて、機能による違いはないことを前提として当ブログの結論を出しますと、やはりカシオの電卓をおすすめします。

カシオとシャープの定数計算の設計思考には根本的な違いがあります。
それは、シャープの定数計算は「入力の順序に依拠」しているのに対して、カシオの定数計算は「順序にかかわらず任意」に開始できるようになっています。
実務において定数計算を行う局面では、任意のタイミング(四則演算キーを2度押す)で定数計算に入れる方が重宝するため、私としてはカシオ方式をおすすめする次第です。

(主観による要素が強い結論になってしまいましたが、私的なブログということでご容赦ください。)

【追記 終わり】

ここまで説明すると、次に、このような疑問が浮かぶのではないでしょうか。
「カシオ方式が優れていたとしても、それならば、なぜ、現在、発売されている電卓のほとんどがシャープ方式の定数計算機能を採用しているのか?」

カシオ方式の方が機能的に有利なことが明らかであっても、それは「使いこなせるのならば」という条件付きであり、ほとんどの電卓購入者は取扱説明書を読まないため、感覚的にわかりやすいシャープ方式が一般化(つまりモジュール化)したものと推察されます。
これは、工業製品を製造するメーカーとしては妥当な判断です。

しかし、会計士、税理士の受験生の立場から見れば、カシオの電卓に慣れてしまえば、他の電卓にはない機能が手に入り、他の受験生と差別化できる ことを意味します。

電卓の使い勝手は慣れによる要素が大きいのが確かですが、上記の理由から、まず最初にカシオの電卓を使うことをおすすめします

一方、受験生ではなく、経理実務者の立場にたつと、異なる点が気になります。
それは、シャープとカシオのキー配置の違いです。
シャープの電卓は「0」のキーが「1」の真下に位置しています。

シャープの電卓のキー配置
201407282

それに対して、カシオの電卓は「0」のキーが「1」のキーの左側、「AC」キーの下に位置しています。

カシオの電卓のキー配置
201407283

つまり、シャープのキー配置は、パソコンに付いているテンキーと同じ配置になっているのです。

会計士は社外で仕事をすることが多いので基本的にノートパソコン(+付属テンキー)を使用しますが、税務を中心とした会計事務所では、現在でもデスクトップにテンキー付きのキーボードを利用しているところが多いと思います。そこで、日常業務で使うテンキーと同じ配置の方が望ましいというニーズが発生します。

また、会計士試験の科目と異なり、税理士試験では配賦計算や百分比を算出することが少ないため(税法で按分計算がでてくるのは相続税ぐらい)、前述した定数計算の影響が軽減されます。
そこで、キー配置の使いやすさからシャープの電卓という選択肢もあるでしょう。
(ただし、カシオの電卓でも機種によってシャープと同じキー配置のものがありますから、そちらを利用する手もあります。)

ということで、当ブログの結論をまとめますと、

除算の分母をメモリーを使用せずに置き換えられるカシオの電卓の方が機能的に優れている

任意のタイミングで定数計算を始められるカシオの電卓の方が使い勝手が良い 
(修正加筆 2014.10.11)

 

会計士試験(及び業務)では除算の定数計算を行う機会が多いので、カシオに慣れていた方が有利である。
(原価計算の配賦、部門別会計における経費按分、財務比率の百分比計算等)


ただし、業務でテンキー付きのキーボードを使用している場合には、電卓をテンキー配列と合わせておくのも妥当な判断である。

シャープ派の方々にとっては、多くの反論があろうかと思います。
私自身、シャープの電卓を使ったことがないため、見落としている機能(パーセント・キーなど)があると思いますので、お気づきの点があればご指摘ください。

【追記】
受験生を悩ませる、もうひとつの疑問 
「電卓は右手で打つのか左手で打つのか?」
についても、新しいエントリー を追加しました。
こちらも、ご参照ください。

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2014年6月20日 (金)

ドアクローザーから仕事を学ぶ

GW明けから壊れていた事務所トイレのドアクローザーが、先週、やっと直りました。

20140619


大変、お恥ずかしい話ですが、私、物理の授業(確かモーメントのあたり)で習うまで、ドアクローザーという部品の存在を認識していませんでした。
存在自体に気付いていないのですから、それがドアをゆっくり確実に閉める機能を有していることなど、まったく知りませんでした。

ドア自体は蝶つがい部分で支えられていますから、ドアクローザーがなくても、ドアとしての機能は果たせます。
しかし、現代のオフィスでは、このドアクローザーがなければ不便極まりないのです。

ドアクローザーが壊れていたこの1ヵ月、トイレのドアが、こんなに重いものだったのかとあらためて実感し、こんなタフな仕事を、黙々とこなし続けてくれたドアクローザー君(?)に感謝の念を感じずにはいられませんでした。

顧みてみますと、我々の社会にも、このドアクローザーのような仕事がたくさんあります。
中心機能ではないが、それをサポートする部分がしっかりしていないと全体としての機能を発揮できない。

我々会計士の従事する監査業務は、ドアクローザー業務の典型であり、何もなくて当たり前、平時においてはその存在を人が知ることはありませんが、それが有効に機能しなければ資本市場は成り立ちません。

このドアクローザーのような業務のレベルが、その組織、さらには国家の最終的なレベルを決定するのではないでしょうか。

特に我が国の経済発展は、動いて当然と思われている電気、水、システムといったインフラの安定性の上に成り立っていることは論をまちません。

というわけで、黙々と働き続けるドアクローザーを見ながら、今日も仕事を頑張ろうと思った次第です。

(私自身、社会人になってからずっと、システムと会計というドアクローザー的業務に従事している関係から、結論にかなりのバイアスがかかっておりますが、ご容赦のほど)

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2014年5月12日 (月)

ポール・マッカートニーから歴史を学ぶ ~30年目のFrozen Jap~

(本日のネタは会計に関係ない与太話ですので、ご多忙の方は飛ばしてください)

先日の朝刊に、ポール・マッカートニー武道館公演の全面広告が掲載されました。皆さんもご覧になられたでしょう。

「1966年以来 48年ぶりに あの舞台に立つ」

20140513

しかし、私は、このキャッチコピーに強い違和感を覚えました。

もう30年以上前の自分が中学生時代の昔話になりますが、少々、お付き合いください。
当時のポールは、ウイングスというバンド名義で活動しており、ヒット作を連発していました。そして、1980年1月に7日間の武道館公演が決まります。

http://blogs.yahoo.co.jp/layhishead1980/12417821.html

しかし、来日時の成田空港税関で大麻が発見されポールは即逮捕、コンサートはキャンセルとなり、このマッカートニーの大麻事件は、当時の大ニュースとなりました。

https://www.youtube.com/watch?v=bTAfTdgl3CY

(この事件をネタにしたスネークマンショーの傑作「はい、菊地です」)

私自身、結構ポールのファンでしたので、この時には、大麻程度で逮捕は厳し過ぎるのと思っていたのですが、その後に起きた事件でポールへの印象は一変しました。

大麻事件を起こした同年5月にマッカートニーは “McCartney II” という新譜を出すのですが、そのアルバムの8曲目が ”Frozen Jap” という曲だったのです。

歌詞のないインストですが、このタイミングで日本人を揶揄するような仕打ちはないでしょう。
日本のアルバムでは「フローズン・ジャパニーズ」に改題されましたが、音楽雑誌では大きく取り上げられましたので、この事件以来、私の中では、この人は「どーしようもないオッサン」と位置付けられました。

このような経験がありましたので、自らの責任で武道館ツアーをキャンセルしておきながら、 「48年振りの武道館」 を煽るのはおかしいだろうというのが、私の感じた違和感の理由です。

当然ながら、この広告のコピーを考えたのはポール自身ではなく、日本のコピーライターの方ですが、その方が大麻事件をご存じだったのかは興味のあるところです。

大麻事件以降にポールを聞きだした人々にとっては、伝説のバンド、ビートルズのメンバーである偉大なアーティスト。

一方、ウイングス時代からポールを聞きだして大麻事件を体験した我々世代にとっては、「日本をナメている、とんでもないオッサン」。

さらに、時代を遡って、48年前のビートルズ初来日時代からファンだった人にとっては、また違った印象になります。
当時はロックを聴くこと自体御法度、長髪にエレキギターなどとんでもないという時代です。
http://www.yunioshi.com/beatlesinjapan.html

先ほどの大麻事件よりも前の1975年には、麻薬不法所持の前科のためにポールの来日ビザが取り消され、ファンの方々は来日のための嘆願活動まで行っています。

この時代からポールを応援しているファンからみれば大麻事件程度で騒いでいるのは「ド素人。その偉大さがまったくわかっていない!」 ということになるはずです。

話が長くなりましたが、ポール・マッカートニーという現役アーティストの評価でさえも、時代によってこれだけ変わるのですから、いわんや、他国と歴史認識を合わせるのは、大変、難しい作業なのだと、あらためて実感したのが、ポールから学んだ教訓です。

ちなみに、今回の武道館ライブのチケット代は、アリーナ10万円(!)、一番安いB席でも4万円(!)です。この値段でビビった自分こそ、真の”FROZEN JAP”でありました。

(25歳以下限定で、1,500円のC席が用意されていますが、その数は100席のみ。プロモータの方も、この値付けに罪の意識を感じ、免罪符が必要だったようです)

201405132_3

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2013年9月 6日 (金)

小学館ビルのその後  オバQビルの向かいにIFRSビルは建つのか?

先日、神保町へ出向く機会がありましたので、ネットで話題になった小学館ビルの状況を見てきました。
20130906_1syougaku


今回、取り壊される本社ビルは昭和42年に完成したもので、当時、オバケのQ太郎が大ヒットしていたことから「オバQビル」とも呼ばれていたそうです。

建て替えを惜しむ漫画家達が1階の壁に残した落書きが評判となり、後日、一般に公開された際には全国から8,000人ものファンが集まりました。

公開から1週間を過ぎた現在では、落書きのある1階部分は目隠しがされていて中を見ることができず、撤去されてしまったのか否かは確認できませんでした。
20130906_2syougaku


小学館ビルの隣にあるのが、集英社の本社ビルです。こちらは、平成2年の竣工ですから、敢えて名前を付ければ「ドラゴンボール ビル」というところでしょうか。
20130906_syuei


この小学館、集英社ビルの向かいにそびえるのが、我々、会計人が日頃お世話になっている中央経済社 の本社ビルです。
このビルは昭和46年竣工ですので、そろそろ、建て替えを検討する時期かと思われます。
20130906cyuou


丁度、その頃、我が国のIFRS導入が進められ、中央経済社さんのIFRS本の特需がおきれば、新本社ビルは「IFRSビル」と呼ばれることになるでしょう。
(建て替えの際には、平松一夫先生や広瀬義州先生が、寄せ書きに集まるのだろうか?)

最後に、私事で恐縮ですが、今回、中央経済社さんから出版した拙書 『消費税改正の要点とシステム対応』 は再度の増刷が決定いたしました。
微力ながらも、中央経済社本社ビルの建替費用に貢献できるように、今後も尽力してまいります。

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2012年7月30日 (月)

円周率百万桁表とDARK KNIGHT

前回のブログで取り上げたIFRSに関するオックスフォード・レポートには、当方、かなりの衝撃を受けたのですが、最近、入手した書籍が、それに劣らぬ衝撃作でしたので、ご紹介いたします。

その書籍の題名は「円周率1,000,000桁表」

20120730

著作者は牧野貴樹氏、発行は暗黒通信団(!)となっております。

この書籍は、皆さんもご存じの円周率、3.141592・・・・を、黙々と百万桁まで羅列しただけの本であります。

本書の巻末には、このような記載があります。

201207302_3

学術的な使用を予定しているのではなく、ただの冗談で、こんなものを出版する心意気に強く胸を打たれた次第です。

その筋(?)の方々には既に有名な書籍のようで、初版発売の1996年から、かなりの頻度で増刷されています。
ちなみに、私が入手したのは2012年3月18日発行の第3.14159刷版で、値段は314円(税抜)でした。

また、類書として 「e-自然対数の底 百万桁表」 「素数表150000個」 も出版されています。

仕事に疲れた際に、この1冊を手に取れば、活力がみなぎること請け負いの1冊ですので、書店で見かけた際には、一度、手にとってみてください。

話は飛びますが、先日、クリストファー・ノーラン監督のバットマン・シリーズ完結編、Dark Knight Risesが公開されましたので、早速、観賞してきました。

前作の「Dark Knight」は、この円周率百万桁表と同じような「狂気」を感じる作品だったのですが、新作は、かなり落ち着いたトーンになっています。

今後のノーラン監督には、円周率百万桁表に負けないほどに、「狂った」作品を期待しております!
(しかし、アン・ハサウェイにキャット・ウーマン役をやらせるだけでも、十分、狂っていますが)

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2011年4月28日 (木)

GWに何をすべきか 

明日からGWが始まります。皆様も様々なご予定を立てられていると思いますが、この機会にビジネスのスキル・アップを目指されている方もいらっしゃるでしょう。

そのような方々向けに、第6回を迎えた「日経TEST」をお勧めします。
http://ntest.nikkei.jp/
(ちなみに、日経TESTの正式名称は、日経経済知力テストであり、TESTは経済知力テスト「Test of Economic Sense and Thinking」 の略称だそうです)

試験の開催日は6月5日ですので、このGW中の学習目標に丁度、良いのではないでしょうか。
なお、試験の申込締切は5月10日になっていますので、ご注意ください。

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2011年3月 4日 (金)

書評 「包括利益・過年度遡及の決算対応」

先日、武田雄治先生から、新刊『 包括利益・過年度遡及の決算対応―財務諸表の表示が変わる! 』(中央経済社)を献本していただきました。新基準導入にあたり、お悩みの方々も多いと思いますので、内容をご紹介しておきます。

本書は、2011年3月期から導入される「包括利益の表示に関する会計基準」と2011年4月以降の決算期から導入される「会計上の変更及び誤謬の訂正に関する会計基準」を解説したものです。
両基準は、IFRSとのコンバージェンスの結果、我が国の会計基準として導入されたものですから、IFRS適用の有無に関係なく、すべての上場企業が対応しなければなりません。

特に、包括利益会計基準は、最終版確定までに紆余曲折があり、本文中で武田先生も記述しているように「矛盾」を抱えた内容になっている点に注意が必要です。

本書は経理・財務部門に属する実務家を対象としたものですが、その中でも、過年度遡及処理による有価証券報告書の影響部分をまとめたチェックリスト【図表3-16、17】は実務に役立つ資料です。
過年度遡及による影響は財務諸表本体部分にとどまらず、有価証券報告書の様々な箇所に影響を与えるため、洩れなく修正するのは厄介な作業です。訂正報告書提出の負荷と屈辱(?)に比べれば、本書の購入は合理的な投資と言えましょう。

私も、改めて両基準を読み直してみましたが、「ややこしい」という印象しか湧いてきません。経理部門の方々は理解して対応せざるを得ませんが、一般投資家の方々が、今回の改正に付いてこれるのか不安であります。

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