税務とシステムの接点

2019年5月 7日 (火)

新元号による源泉所得税納付書の記載

新元号を迎えてから最初の更新となりましたが、令和の時代も引き続き、よろしくお願いいたします。

本日、国税庁HPにおいて「新元号に関するお知らせ」が公表されており、次のような案内がでています。

・新元号への移行に伴い各種様式は順次更新するが、当面の間、各様式の「平成」は「令和」などに読み替えて使用する。
・納税者からの提出書類は平成表記の日付でも有効なものとして取り扱う

税務実務においては、5月10日に納期を迎える源泉所得税の納付書(正確には「源泉所得税の所得税徴収高計算書」)の記載方法が気になるところだと思いますが、その点については既に「改元に伴う源泉所得税の納付書の記載のしかた」が公表されています。

・手持ちの納付書に印字されている「平成」の抹消や「新元号」の追加記載などにより補正は不要。
・平成 31 年(2019 年)4月1日から新元号2年(2020年)3月末日の間に納付する場合、納付書左上「年度欄」は「31」と記載する。
・「支払年月日」や「納期限」が「令和元年XX月」の場合には「01XX」と記載する。

「新元号に関するお知らせ」のところで前述したとおり、納付書の記述を平成表記の「31」で記載しても有効なものとして扱われますので、ご安心ください。

今後も税務関係の書類は邦歴表示が継続されるため、西暦表示化が進んでいる金商法関係書類との混乱が懸念されます。
(ちなみに、同じ税務研究会の刊行物でも「週刊税務通信」は邦歴、「週刊経営財務」は西暦であります。)

20190507 

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2019年3月15日 (金)

消費税率引上げに伴うポイント還元制度の詳細

消費税率引上げに伴う需要変動に対応するために、2019年10月からキャッシュレス決済のポイント還元制度が導入されます。
しかし、導入まで半年しかない3月になっても制度の詳細が明らかにならないため、税率改正以上にシステム修正への負荷が懸念されていました。

201903151

3月12日から当制度におけるキャッシュレス決済事業者の募集が開始され、同時に公開されたキャッシュレス決済事業者登録要領から新制度の詳細がわかります。
https://cashless.go.jp/assets/doc/kessai_tourokuyouryou.pdf

対象となる中小企業の定義については次のように規定されています。

5.1 公募の対象となる中小・小規模事業者
本事業において登録の対象となる中小・小規模事業者は、中小企業基本法第2条に準じ、以下のとおりとする。
製造業その他:資本金の額又は出資の総額が3億円以下の会社又は常時使用する従業員の数が300人以下の会社及び個人事業主
卸売業:資本金の額又は出資の総額が1億円以下の会社又は常時使用する従業員の数が100人以下の会社及び個人事業主
小売業:資本金の額又は出資の総額が5千万円以下の会社又は常時使用する従業員の数が50人以下の会社及び個人事業主
サービス業(注):資本金の額又は出資の総額が5千万円以下の会社又は常時使用する従業員の数が100人以下の会社及び個人事業主

※旅館業は資本金5千万円以下又は従業員 200 人以下、ソフトウェア業・情報処理サービス業は資本金 3 億円以下又は従業員 300 人以下とする。
※現時点での想定であり、今後変更がありうる。

※詳細は 4 月を目途にキャッシュレス・消費者還元サイト等にて追って公表する。

【追記】対象事業者については上記規程以外に、「5.2 登録の対象外となる中小・小規模事業者」 「5.3 フランチャイズチェーン等」の規定もあるので、ご注意ください。

さらに、ポイント還元の対象外となる取引については、次のように規定しています。

6.1.1 消費者還元補助の対象外となる取引
以下の取引については、交付申請の対象外とする。

※詳細は 4 月を目途にキャッシュレス・消費者還元サイト等にて追って公表する。

① 消費税非課税とされている物品やサービスの購入等において支払手段となるものに係る取引
(ア)郵便切手類の譲渡、印紙の売渡し場所における印紙の譲渡及び地方公共団体等が行う印紙の譲渡
(イ)商品券、プリペイドカード等の物品切手等の譲渡
② 別途の需要平準化対策が講じられる取引
(ア)自動車(新車・中古車)の販売
(イ)新築住宅の販売
③ 当せん金付証票(宝くじ)、スポーツ振興投票券(スポーツ振興くじ)、勝馬投票券(競馬)、勝者投票券(競輪)、舟券(競艇)、勝車投票券(オートレース)の販売
④ 収納代行サービス、代金引換サービスに対する支払い
⑤ 給与、賃金、寄付金、祝金、見舞金、補助金 等
⑥ 一度成立した取引のキャンセル取引及びキャンセル取引により存在しなくなった原因取引
⑦ その他、本事業の目的・趣旨に反すると経済産業省及び補助金事務局が判断するもの

そもそも加盟店がクレジット会社に送信するデータには商品別の明細は含まれていませんから、上記対象外取引と対象取引が混在した場合には区分のしようがありません。
さらに、引用した注記にあるように詳細の確定は平成31年度予算成立後の4月以降になります。
(それにもかかわらず今回の決済事業者の登録期限は3月12日から3月20日までの8日間(!)だけ)

システム担当者にとっては、詳細が明らかになるほど不安が増してきますが、当ブログでは引き続き情報収集を続けていきたいと思います。

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2019年1月に みずほセミナーで開催した消費税講座がご好評いただき、2019年5月11日に追加開催されることになりました。
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消費税率引上げに伴うポイント還元制度の詳細

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2018年12月 3日 (月)

1年分の料金を前払した場合の消費税の扱い

先日のブログで、 「1年分の料金を前受した場合、消費税率はどうすればよいのか?」 という記事を書きましたが、反対に

「1年分の料金を前払した場合、消費税率はどうすればよいのか?」

についてもまとめておきます。

平成31年10月1日(以降「施行日」)から消費税率が10%に引き上げられますが、施行日前に施行日以降の期間分も含んだ役務提供金額を一括して支払う場合があります。

消費税法上の基本的な考え方は前受(売上側)と同じで、適用される消費税率は 「資産の譲渡等」 の時点で決定し、それが施行日前ならば8%、施行日以降ならば10%(経過措置及び軽減税率対象を除く)になります。

月額契約等で、その役務提供が月々完了するものについては、毎月の役務提供完了時の税率が適用されます。

売上側と異なるのは、支払った側(経費)が法人税法における短期前払費用(法基通2-2-14)を適用して、1年以内の経費を一括して損金処理した場合です。

この時の消費税法上の扱いについては、「平成31年(2019年)10月1日以後に行われる資産の譲渡等に適用される消費税率等に関する経過措置の取扱いQ&A」【具体的な事例編】の問7で説明されています。

法人税法上は全額を損金算入したとしても、施行日前の消費税申告では新税率(10%)による申告はできないため、消費税については8%分と10%分を区分して処理します。
実際の経理処理としては、次のような2種類の方法が考えられます。

(追記:当初掲載していた仕訳金額の一部を修正しています。2018/12/25)
20181203_3




1年分の料金を前払した場合の消費税の扱い

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2018年11月30日 (金)

1年分の料金を前受した場合の消費税の扱い

平成31年10月1日(以降「施行日」)に行われる消費税率改正まで、1年を切りました。
年末を迎えてクライアントから問い合わせの多い、
「1年分の料金を前受した場合、消費税率はどうすればよいのか?」
という論点についてまとめておきます。

消費税法上、適用される消費税率は「資産の譲渡等」の時点で決定し、それが施行日前ならば8%、施行日以降ならば10%(経過措置及び軽減税率対象を除く)になります。

物の引渡しを要さない役務提供については、役務の全部を完了した日が「資産の譲渡等」の時期になりますので(消基通9-1-5)、1年契約のもので役務提供の完了日が施行日以降の場合、収受した全額について改正後の10%が適用されます。

一方、代金は年払いであっても、役務提供が月ごと に行われる場合が問題になります。
このようなケースについては、国税庁が公表している「平成31年(2019年)10月1日以後に行われる資産の譲渡等に適用される消費税率等に関する経過措置の取扱いQ&A」【基本的な考え方編】【具体的な事例編】 が参考になります。

月額契約で、その役務提供が月々完了するものについては、毎月の役務提供完了時の税率を適用します(毎月収益計上していることが前提)。(事例編 問2参照)
ただし、中途解約時の未経過分について返還の定めがない契約において、継続して収受額の全額を収益計上しているも場合には施行日前の収益計上分に旧税率(8%)を適用することが許容されています。(基本編 問6参照)

これらの関係は、次の図のようにまとめられます。
20181130_2
消費税法上の扱いはわかったとしても、実務上の問題は、税率改正分の料金をいつ、どのようにして請求・回収するかです。
顧客からいくら回収するかと、会社の消費税処理は異なる次元の問題であり、年払いで請求している企業が10月以降の税率アップ分を追加で請求できるか否かは取引慣行などによって異なります。
前回(平成26年4月時)の改正時には、追加分の請求が困難なため、従来通り5%ベースで1年分を請求し、税率改正以降分については8%の課税売上として処理している事例も多く見受けられました。

【追記 2018/12/3】
「1年分の料金を前払した場合の消費税の扱い」についは、こちらをご参照ください。

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2019年1月11日(金)に、 みずほセミナーで下記講座を開催します。
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1年分の料金を前受した場合の消費税の扱い

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2018年11月 5日 (月)

消費税率改正時の取引に関するQ&Aの公表

昨日、国税庁から 「平成 31 年(2019 年)10 月1日以後に行われる資産の譲渡等に適用される消費税率等に関する経過措置の取扱いQ&A」が公表されました。

『基本的な考え方編』
http://www.nta.go.jp/publication/pamph/shohi/kaisei/pdf/02.pdf

『具体的事例編』
http://www.nta.go.jp/publication/pamph/shohi/kaisei/pdf/03.pdf

このQ&Aは、消費税率改正前後の取引に関する消費税法上の扱いについてまとめたもので、前回、平成26年4月に行われた税率8%への改正時にも同様のQ&Aが公表されています。

ただし、今回のQ&Aは前回の改正時よりもボリュームアップし、基本編と事例編の2部構成になっています。
この中で注目されるのが、1年間の役務提供代金を前受する場合の扱いを示した「基本的な考え方編」の問6です。

(31年施行日を含む1年間の役務提供を行う場合)
問6 平成31年9月1日に、同日から1年間の役務提供を行う契約を締結するとともに、1年分の対価を受領しています。この場合、消費税法の適用関係はどのようになりますか。

【答え】
役務の提供に係る資産の譲渡等の時期は、物の引渡しを要するものにあってはその目的物の全部を完成して引き渡した日、物の引渡しを要しないものにあってはその約した役務の全部を完了した日とされています(基通9-1-5)。
照会の役務提供契約が、その契約期間を1年間として料金を年額で定めており、その役務提供が年ごとに完了するものである場合には、その資産の譲渡等の時期は役務の全部を完了する日である平成32年8月31日となり、31年施行日(平成31年10月1日)以後に行う課税資産の譲渡等となりますから、原則として新税率(10%)が適用されます。

ただし、1年分の対価を受領することとしており、中途解約時の未経過部分について返還の定めがない契約において、事業者が継続して1年分の対価を受領した時点の収益として計上している場合は、31年施行日の前日(平成31年9月30日)までに収益として計上したものについて旧税率(8%)を適用して差し支えありません。
(太字は筆者加筆)


前段で従来からの基本的な扱いを示していますが、ただし書き以降で「中途解約時の返金なし」で「継続して1年分の対価を受領時に収益計上」している場合には、旧税率の適用を許容する扱いが示されています。

もうひとつ、今回の税率改正で頭が混乱するのが「特定新聞に関する経過措置」でして、問45に以下のような問があります。

(特定新聞の税率等に関する経過措置の概要)
問45 特定新聞の税率等に関する経過措置の概要を教えてください。
【答】
事業者が、不特定かつ多数の者に週、月その他の一定の期間を周期として定期的に発行される新聞で、発行者が指定する発売日が31年施行日(平成31年10月1日)前であるもの(特定新聞等)を31年施行日以後に譲渡する場合、その譲渡については旧税率(8%)が適用されます(改正令附則5②)。

なお、特定新聞の譲渡が、軽減対象資産の譲渡等である場合には、当該経過措置は適用されず(28年改正令附則4)、軽減税率が適用されます。

今回、軽減税率の対象に「新聞」が含まれているため、税率改正後も適用税率は8%と思われるかもしれませんが、軽減税率の対象となるのは「定期購読契約に基づくもの」に限定されるため、上記「特定新聞」とは対象が異なります。

また、同じ税率8%でも、経過措置によって現行税率8%が適用される取引と軽減税率対象で8%が適用される取引とは、消費税と地方消費税の内訳が異なるため、消費税申告情は区分して集計する必要があるのでご注意ください。


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20170313

消費税率改正時の取引に関するQ&Aの公表

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2018年6月15日 (金)

 国税庁 『消費税の仕入税額控除制度における適格請求書等保存方式に関する取扱通達』及びQ&Aの公表

平成30年6月6日付で国税庁から 『消費税の仕入税額控除制度における適格請求書等保存方式に関する取扱通達』 が公表されました。

https://www.nta.go.jp/law/tsutatsu/kobetsu/kansetsu/0018005-135/0018005-135.pdf

個別通達の公表にあわせて 『消費税の仕入税額控除制度における適格請求書等保存方式に関するQ&A』 も公表されています。

https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/zeimokubetsu/shohi/keigenzeiritsu/pdf/0018005-136.pdf

平成31年10月の消費税率10%への改正と同時に軽減税率制度が導入されます。今後、複数税率が併存するため、税率改正から4年後の平成35年10月には適格請求書等保存方式(いわゆるインボイス方式)が導入されます。

適格請求書等保存方式導入までの4年間は区分記載請求書等保存方式という現行の仕組みに準じた方法で申告できるのですが、税率改正にあわせて将来の適格請求書保存方式への対応を済ませたいという企業の要請もあり、早めのタイミングで個別通達が公表されたようです。

通達の内容は以下のとおりです。
第一 定義関係
第二 適格請求書発行事業者の登録制度関係
第三 適格請求書発行事業者の義務等関係
第四 適格請求書等保存方式による仕入税額の控除関係
第五 経過措置関係 

(原文は第五の項目番号だけ「第5」と英数字になっております?)

この中でも、実務上の判断が難しいかった共有持分の扱い

(共有物の譲渡等における適格請求書に記載すべき課税資産の譲渡等の対価の額等)
3-5
適格請求書発行事業者が、適格請求書発行事業者以外の者である他の者と共同で所有する資産(以下「共有物」という。)の譲渡又は貸付けを行う場合には、当該共有物に係る資産の譲渡等の金額を所有者ごとに合理的に区分するものとし、適格請求書に記載する法第 57 条の4第1項第4号《適格請求書発行事業者の義務》に掲げる「課税資産の譲渡等に係る税抜価額又は税込価額を税率の異なるごとに区分して合計した金額」及び同項第5号に掲げる「消費税額等」は、自己の部分に係る資産の譲渡等の金額に基づき算出することとなることに留意する。

税額算出時における計算方法の扱い

(課税標準額に対する消費税額の計算)
3-13
その課税期間に係る法第 45 条第1項第2号《課税資産の譲渡等及び特定課税仕入れについての確定申告》に掲げる税率の異なるごとに区分した課税標準額に対する消費税額は、原則として、同項第1号に掲げる課税標準額につき、税率の異なるごとに標準税率又は軽減税率を乗じて算出した金額を合計する方法(以下3-13 において「総額割戻し方式」という。)により算出した金額となるのであるが、その課税期間中に国内において行った課税資産の譲渡等(同条第5項ただし書の規定に係るものを除く。)につき交付した適格請求書又は適格簡易請求書の写しを法第 57 条の4第6項《適格請求書発行事業者の義務》の規定により保存している場合(同項の規定により同項に規定する電磁的記録を保存している場合を含む。)には、当該適格請求書又は当該適格簡易請求書に記載した同条第1項第5号又は第2項第5号に掲げる消費税額等及び当該電磁的記録に記録した消費税額等の合計額に 100 分の 78 を乗じる方法(以下3-13において「適格請求書等積上げ方式」という。)により算出した金額とすることができることに留意する。
また、取引先ごと又は事業ごとにそれぞれ別の方式によるなど、総額割戻し方式と適格請求書等積上げ方式を併用することとしても差し支えない。

(課税仕入れに係る消費税額の計算)
4-3
その課税期間に係る法第 45 条第1項第2号《課税資産の譲渡等及び特定課税仕入れについての確定申告》に掲げる課税標準額に対する消費税額の計算につき、同条第5項《消費税額12の積上げ計算》の規定の適用を受ける場合には、法第 30 条第1項《仕入れに係る消費税額の控除》に規定する課税仕入れに係る消費税額の計算につき、令第 46 条第1項《課税仕入れに係る請求書等による消費税額の積上げ計算》に規定する計算の方法(以下「請求書等積上げ方式」という。)又は同条第2項《課税仕入れに係る帳簿による消費税額の積上げ計算》に規定する計算の方法(以下「帳簿積上げ方式」という。)によることとなることに留意する。
また、その課税期間に係る法第 45 条第1項第2号に掲げる課税標準額に対する消費税額の計算につき、同条第5項の規定の適用を受けない場合には、法第 30 条第1項に規定する課税仕入れに係る消費税額の計算に関し、請求書等積上げ方式又は帳簿積上げ方式のほか、令第 46 条第3項《課税仕入れに係る支払対価の合計額から割戻す方法による消費税額の計算》に規定する計算の方法(以下「総額割戻し方式」という。)によることもできるのであるが、請求書等積上げ方式又は帳簿積上げ方式と総額割戻し方式との併用はできないことに留意する。
(注) 請求書等積上げ方式と帳簿積上げ方式との併用は可能である。

といった論点についても言及されています。

20170313

国税庁『消費税の仕入税額控除制度における適格請求書等保存方式に関する取扱通達』及びQ&Aの公表

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2018年6月 7日 (木)

国税庁 『「収益認識に関する会計基準」への対応について』の公表

新しい「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号)に対応するために、平成30年の税制改正によって法人税法も見直しが行われました。

それにあわせ関連する法人税基本通達も5月30日付けで改正されています。
http://www.nta.go.jp/law/tsutatsu/kihon/hojin/kaisei/180409/index.htm

これら、一連の税制上の改正事項のとりまとめとして国税庁から様々な資料が公表されました。
http://www.nta.go.jp/publication/pamph/hojin/kaisei_gaiyo2018/02.htm

特に 「収益認識基準による取扱いの例」 は、消費税の扱いについても具体的な事例を交えて解説しており、大変、わかりやすい資料になっています。

国税庁『「収益認識に関する会計基準」への対応について』の公表

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2018年3月13日 (火)

「消費税軽減税率制度に関するQ&A」改正点のまとめ

消費税の軽減税率が導入される平成31年10月1日まで、残された期間は1年半となりました。

いささか旧聞に属しますが「消費税の軽減税率制度に関するQ&A(制度概要編)」「同 (個別事例編)」が1月に改正されましたので、拙書「消費税軽減税率導入とシステム対応」の補足情報として改正点をまとめておきます。

【制度概要編】
改訂されたのは以下の2つのQ&Aです。

(飲食料品を譲渡する際の包装材等取扱い)
問5
通常、食品や飲料を 譲渡する場合容器包装を使いますが、これら容器等の取扱いはどのようになりますか。【平成 30 年1 月改訂】

この問5は、食品の販売に付帯して通常必要なものとして使用される包装材料等は軽減税率の対象になるが贈答用の包装のように別途対価を定めているものは軽減税率の対象にならないことを解説しています。
このQ&Aに以下の注書きと参考とする個別事例として【個別事例編】問65「効果な容器に盛り付けられた洋菓子」が追加されています。

(注) 包装材料等の販売者が、飲料メー カに販売する缶やペットボル、またスーパー等の小売店に販売するトレーは、容器そのものの販売ですので軽減税率は適用されません。

問8 「飲食に用いられる設備」(飲食設備) とは、どのようなものですか。【平成 30 年1月改訂】

内容に変更はなく、参考としている個別事例の項目番号に修正が行われていいます。

【個別事例編】
以下の7つの個別事例が追加されており、それにあわせて問の項目番号も修正されています。

(コーヒーの生豆の販売)
問5
当社は、コーヒーの生豆の販売を行っていますが、軽減税率の適用対象となります
か。【平成 30 年1月追加】

コーヒーの生豆は「食品」に該当し、軽減税率の対象になります。

(カタログギフトの販売)
問 30
当社は、下の取引図のとおり、贈答を受けた者(受贈者)がカタログに掲載された商品の中から任意に選択した商品を受け取ることができる、いわゆるカタログギフトの販
売を行っています。当該カタログギフトには、食品と食品以外の商品を掲載しており、受贈者の方は食品を選択して受け取ることができます。 このカタログギフトの販売に適用される税率は、どのようになりますか。【平成 30 年1月追加】

この問には参考図があるのですが、事例におけるカタログギフト販売は「飲食料品の譲渡」に該当するのではなく、カタログギフト受贈者が選択する商品を手配する一連のサービスの「役務の提供」にあたり軽減税率の対象になりません。

(食品の加工)
問 33
当社は、取引先からコーヒーの生豆の支給を受け、焙煎等の加工を行っています。当社の行う加工は、軽減税率の適用対象となりますか。【平成 30 年1月追加】

コーヒー豆の生豆の加工は役務の提供に該当するため軽減税率の対象になりません。

(配達先での飲食料品の取り分け)
問 59
当社は、味噌汁付弁当の販売・配達を行っています。弁当と味噌汁を配達する際には、配達先で味噌汁を取り分け用の器に注いで一緒に提供していますが、この場合の味噌汁付弁当の販売は、ケータリングに該当しますか。【平成 30 年1月追加】

「味噌汁を取り分け用の器に注ぐ」という行為は、味噌汁の販売に必要な行為である「取り分け」に該当し、ケータリングに該当しません。したがって、味噌汁付弁当の全体が軽減税率の適用対象となります。

(一万円以下の判定単位)
問 67
当社では、紅茶とティーカップを仕入れてパッケージングし、セット商品として小売事業者に卸売販売しています。販売に際しては、100 個単位で販売しており、販売価格を 100,000 円(税抜き)としています。
この場合、軽減税率の適用対象となる一体資産かどうかの判定に当たり、一体資産の譲渡の対価の額(税抜き)が 10,000 円以下かどうかは、どのように判定することになりますか。【平成 30 年1月追加】

一体資産の譲渡の対価の額(税抜き)が 10,000 円以下かどうかは、セット商品1個当たりの販売価格で判定するため、この事例ではセット商品1個当たりの税抜き販売価格は、1,000 円(100,000 円÷100 個)となり、一体資産の譲渡の対象になります。

(軽減税率の適用対象となる商品がない場合)
問 84
当社は、日用雑貨の卸売を行う事業者です。当社では、軽減税率の適用対象となる商品の販売がありません。これまで、現行の制度における記載事項を満たす請求書等として、下記のような請求書を取引先に交付しています。
軽減税率制度の実施に伴い、平成 31 年(2019 年)10 月から、当社が交付する請求書の
記載内容に変更はあるのでしょうか。【平成 30 年1月追加】

平成 31 年10 月から、仕入税額控除の要件として保存すべき請求書等(領収書も含みます。)には、現行の記載事項に加えて「軽減対象資産の譲渡等である旨」及び「税率ごとに合計した課税資産の譲渡等の対価の額」が追加されています(改正法附則 34②)。
しかし、販売する商品が軽減税率の適用対象とならないもののみであれば現行の請求書の記載事項のままで問題ありません。

(相手方の確認を受けた仕入明細書等)
問 86
当店は、食料品及び日用雑貨の小売りを行っています。これまで、仕入先への代金の支払いに当たり、下記のように請求書等保存方式における請求書等としての記載事項を満たす仕入明細書を作成し、仕入先の確認を受け、保存しています。
今後、平成 31 年(2019 年)10 月からは、区分記載請求書等保存方式における請求書等としての記載事項を満たす仕入明細書を作成し、保存したいと考えています。この場合、当店は、どのような対応が必要でしょうか。【平成 30 年1月追加】

現行の記載事項に加えて以下の下線部分の事項を追加する必要があります。(改正法附則 34②))。
㋑ 書類の作成者の氏名又は名称
㋺ 課税仕入れの相手方の氏名又は名称
㋩ 課税仕入れを行った年月日
㋥ 課税仕入れに係る資産又は役務の内容
(課税仕入れが他の者から受けた軽減対象資産の譲渡等に係るものである場合には、資産の内容及び軽減対象資産の譲渡等に係るものである旨
税率ごとに合計した課税仕入れに係る支払対価の額(税込価格)

20170313

「消費税軽減税制度に関するQ&A」改正点のまとめ

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2017年6月 9日 (金)

消費税法における仮想通貨の定義-システム運用はつらいよ-

先日のブログで仮想通貨に関する消費税法上の扱いをご紹介したのですが、読者の方から
「そもそも仮想通貨は、どのように規定されているのか?」
という質問をいただきました。

消費税法上、仮想通貨の定義は資金決済法に委ねられており、先日のブログではその箇所の引用が洩れていましたので、あらためて補足しておきます。

消費税法施行令第9条第4項において支払手段に類するものとして非課税取引となる仮想通貨は、
資金決済に関する法律(平成21年法律第59号)第2条第5項(定義)に規定する仮想通貨
であり、改正された資金決済法律第2条第5項では、仮想通貨を次のように規定しています。

資金決済法 第2条
 (一部略)
第5項  この法律において「仮想通貨」とは、次に掲げるものをいう。
一  物品を購入し、若しくは借り受け、又は役務の提供を受ける場合に、これらの代価の弁済のために不特定の者に対して使用することができ、かつ、不特定の者を相手方として購入及び売却を行うことができる財産的価値(電子機器その他の物に電子的方法により記録されているものに限り、本邦通貨及び外国通貨並びに通貨建資産を除く。次号において同じ。)であって、電子情報処理組織を用いて移転することができるもの
二  不特定の者を相手方として前号に掲げるものと相互に交換を行うことができる財産的価値であって、電子情報処理組織を用いて移転することができるもの

「不特定の者を相手方として」という要件が、Suicaなどの電子マネー(資金決済法第3条で規定する前払式支払手段)などとは異なる定義になっています。

有名なビットコイン以外にも、既に仮想通貨の種類は700以上存在するようですが、上記の規定から対象の有無を検討することになります。

ここで、突然、話が飛びますが、上記の条文は総務省が管轄する法令データ提供システム(e-Gov)から拝借しています。

資金決済法の改正根拠となる「情報通信技術の進展等の環境変化に対応するための銀行法等の一部を改正する法律」(平成28年法律第62号)を読んでいたところ、次のような条文に目が止まりました。

第十一条 資金決済に関する法律(平成二十一年法律第五十九号)の一部を次のように改正する。
 (一部略)
第十条第一項第九号中「禁錮」を「禁錮」に改める。

「禁錮を禁錮に改めるとは、一体、何を変えるのか?」
それとも
「e-Govの誤植か?」
と思って、金融庁のHPで新旧比較表を確認したところ。

(改正案)
201706091


(現行)
201706092

つまり、「禁錮(こ)」の「こ」のルビを外す改正でありました。
その理由については、参議院法制局のコラムに説明されているように、平成22年の常用漢字表の改定で、「禁錮」の「錮」が常用漢字に加えられ、ルビが不要になったことによるものだそうです。

私のようにシステムを扱う人間にとっては、既にインターネット上で表現できないルビなどという厄介な機能は、個々に法律を改正するのではなく、まとめて取ってくれればと思うのですが。

仮想通貨だブロックチェーンだと現代ITの最先端の話をしていたはずが、最後はシステム運用の難しさという古典的な課題にたどり着いてしまいました。

世の中は、このような地道な努力の積み重ねで動いているわけです。

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2017年6月 7日 (水)

ビットコインなどの仮想通貨の消費税法上の扱い(まとめと関連条文)

平成29年度の税制改正において、ビットコインなどの仮想通貨に関する消費税法上の扱いが改正されました。
4月に刊行した拙書 『消費税 軽減税率導入とシステム対応』 の中でフォローし切れなかった論点ですので、あらためて関連条文とともにまとめておきます。

20170608


今回の改正の要点
ビットコイン等の仮想通貨の譲渡を消費税法上、非課税の扱いに
適用開始は平成29年7月1日から

従来、仮想通貨の売買については、消費税法上課税取引として8%の消費税が発生していました。しかし、平成28年に改正された「資金決済に関する法律」によって、仮想通貨が支払手段に位置付けられたため、消費税上の扱いも非課税取引に整理されました。

消費税における非課税取引は、同法別表第1に記載された取引に限定されますが、今回の改正では別表第1を直接改訂するのではなく、別表第1第2号の「支払手段その他これに類するものとして政令で定めるもの」を規程している消費税法施行令第9条第4項に以下(太字部分)の文章が追加されています。

消費税法施行令 第9条
(有価証券に類するものの範囲等)
  (一部略)
4項 法別表第1第2号に規定する支払手段に類するものとして政令で定めるものは、資金決済に関する法律(平成21年法律第59号)第2条第5項(定義)に規定する仮想通貨及び国際通貨基金協定第15条に規定する特別引出権とする。

留意点
1課税売上割合の算出に仮想通貨の非課税売上分は含まない

消費税の申告にあたっては、課税売上割合(課税期間中の総売上高に対する課税売上の割合)を算出する必要があります。この課税売上割合の分母となる総売上高には非課税売上を含んで計算するのですが、今回非課税対象となった仮想通貨による取引は計算対象に含みません。

消費税法施行令 第48条
(課税売上割合の計算方法)
  (一部略)

2項 
前項第1号に規定する資産の譲渡等(筆者補筆:課税売上割合算出に用いる総売上高)には、事業者が行う次に掲げる資産の譲渡は、含まないものとする。
一 法別表第1第2号に規定する支払手段又は第9条第4項に規定する仮想通貨若しくは特別引出権の譲渡

2 改正前の経過措置の扱い

消費税に詳しい方ならば、課税取引から非課税取引に変更されるのならば、変更の直前で大量に取得し、非課税対象になってから売却すれば、仕入税額控除の恩恵だけ受けられるとお考えになられたかたもいらっしゃるでしょう。
そのような仕入税額控除の乱用を防ぐために消費税法附則に経過措置が設けられており、
平成29年6月30日時点で税抜100万円以上の仮想通貨を保有していた場合
平成29年6月1日から6月30日までの間の各日の仮想通貨の平均保有数量に対して増加したときは、その増加分の課税仕入について仕入税額控除制度の適用は認められません。

そもそも、仮想通貨の場合、相場の変動幅の方が大きいので思い通りには行かないでしょうが、既に仮想通貨を保有されている方は経過措置適用の有無をご確認ください。
平均保有量の計算については、下記の附則に定められています。
(附則は該当条文を探すのが厄介なため、全文を掲載しておきます)

消費税法施行令 附則(平成29年3月31日政令第109号)
(施行日の前日に有する仮想通貨に係る税額控除に関する経過措置)
第8条 事業者(施行日の前日の属する課税期間において消費税法第9条第1項本文の規定により消費税を納める義務が免除される事業者を除く。)が、同日において仮想通貨(当該事業者が国内において譲り受けた課税仕入れに係るものに限る。以下この条において同じ。)を有しており、かつ、当該仮想通貨の全部又は一部の種類についてその種類ごとの数量が、当該種類ごとの平成29年6月1日から施行日の前日までの間の各日において当該事業者が有していた仮想通貨の数量の合計数を30で除して計算した数量に対して増加した場合には、その増加した部分に係る仮想通貨の課税仕入れに係る消費税額(その種類ごとの数量が増加した仮想通貨のその増加した数量に当該仮想通貨の種類別単価(同法第30条第1項に規定する課税仕入れに係る支払対価の額を基礎とした種類ごとの一単位当たりの価額をいう。以下この条並びに附則第11条第2項及び第3項において同じ。)をそれぞれ乗じて計算した金額に108分の6.3を乗じて算出した金額の合計額をいう。)は、同法第30条第1項(同条第2項の規定の適用がある場合には、同項の規定を含む。)の規定の適用については、施行日の前日の属する課税期間の仕入れに係る消費税額(同法第32条第1項第1号に規定する仕入れに係る消費税額をいう。附則第11条第6項において同じ。)の計算の基礎となる課税仕入れ等の税額(同法第30条第2項に規定する課税仕入れ等の税額をいう。附則第11条第6項において同じ。)に含まれないものとする。ただし、同日において有していた仮想通貨の価額(同日において有していた種類ごとの仮想通貨の数量に当該仮想通貨の種類別単価をそれぞれ乗じて計算した金額に108分の100を乗じて算出した金額の合計額をいう。)が百万円未満の場合は、この限りでない。
2 前項本文の場合に該当する事業者が、仮想通貨の種類別単価の計算につき困難な事情があるときは、施行日の前日における当該仮想通貨の種類ごとの一単位当たりの価額その他の合理的な方法により算出した価額を種類別単価とみなして、同項の規定を適用することができる。

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