税務とシステムの接点

2017年6月 9日 (金)

消費税法における仮想通貨の定義-システム運用はつらいよ-

先日のブログで仮想通貨に関する消費税法上の扱いをご紹介したのですが、読者の方から
「そもそも仮想通貨は、どのように規定されているのか?」
という質問をいただきました。

消費税法上、仮想通貨の定義は資金決済法に委ねられており、先日のブログではその箇所の引用が洩れていましたので、あらためて補足しておきます。

消費税法施行令第9条第4項において支払手段に類するものとして非課税取引となる仮想通貨は、
資金決済に関する法律(平成21年法律第59号)第2条第5項(定義)に規定する仮想通貨
であり、改正された資金決済法律第2条第5項では、仮想通貨を次のように規定しています。

資金決済法 第2条
 (一部略)
第5項  この法律において「仮想通貨」とは、次に掲げるものをいう。
一  物品を購入し、若しくは借り受け、又は役務の提供を受ける場合に、これらの代価の弁済のために不特定の者に対して使用することができ、かつ、不特定の者を相手方として購入及び売却を行うことができる財産的価値(電子機器その他の物に電子的方法により記録されているものに限り、本邦通貨及び外国通貨並びに通貨建資産を除く。次号において同じ。)であって、電子情報処理組織を用いて移転することができるもの
二  不特定の者を相手方として前号に掲げるものと相互に交換を行うことができる財産的価値であって、電子情報処理組織を用いて移転することができるもの

「不特定の者を相手方として」という要件が、Suicaなどの電子マネー(資金決済法第3条で規定する前払式支払手段)などとは異なる定義になっています。

有名なビットコイン以外にも、既に仮想通貨の種類は700以上存在するようですが、上記の規定から対象の有無を検討することになります。

ここで、突然、話が飛びますが、上記の条文は総務省が管轄する法令データ提供システム(e-Gov)から拝借しています。

資金決済法の改正根拠となる「情報通信技術の進展等の環境変化に対応するための銀行法等の一部を改正する法律」(平成28年法律第62号)を読んでいたところ、次のような条文に目が止まりました。

第十一条 資金決済に関する法律(平成二十一年法律第五十九号)の一部を次のように改正する。
 (一部略)
第十条第一項第九号中「禁錮」を「禁錮」に改める。

「禁錮を禁錮に改めるとは、一体、何を変えるのか?」
それとも
「e-Govの誤植か?」
と思って、金融庁のHPで新旧比較表を確認したところ。

(改正案)
201706091


(現行)
201706092

つまり、「禁錮(こ)」の「こ」のルビを外す改正でありました。
その理由については、参議院法制局のコラムに説明されているように、平成22年の常用漢字表の改定で、「禁錮」の「錮」が常用漢字に加えられ、ルビが不要になったことによるものだそうです。

私のようにシステムを扱う人間にとっては、既にインターネット上で表現できないルビなどという厄介な機能は、個々に法律を改正するのではなく、まとめて取ってくれればと思うのですが。

仮想通貨だブロックチェーンだと現代ITの最先端の話をしていたはずが、最後はシステム運用の難しさという古典的な課題にたどり着いてしまいました。

世の中は、このような地道な努力の積み重ねで動いているわけです。

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2017年6月 7日 (水)

ビットコインなどの仮想通貨の消費税法上の扱い(まとめと関連条文)

平成29年度の税制改正において、ビットコインなどの仮想通貨に関する消費税法上の扱いが改正されました。
4月に刊行した拙書 『消費税 軽減税率導入とシステム対応』 の中でフォローし切れなかった論点ですので、あらためて関連条文とともにまとめておきます。

20170608


今回の改正の要点
ビットコイン等の仮想通貨の譲渡を消費税法上、非課税の扱いに
適用開始は平成29年7月1日から

従来、仮想通貨の売買については、消費税法上課税取引として8%の消費税が発生していました。しかし、平成28年に改正された「資金決済に関する法律」によって、仮想通貨が支払手段に位置付けられたため、消費税上の扱いも非課税取引に整理されました。

消費税における非課税取引は、同法別表第1に記載された取引に限定されますが、今回の改正では別表第1を直接改訂するのではなく、別表第1第2号の「支払手段その他これに類するものとして政令で定めるもの」を規程している消費税法施行令第9条第4項に以下(太字部分)の文章が追加されています。

消費税法施行令 第9条
(有価証券に類するものの範囲等)
  (一部略)
4項 法別表第1第2号に規定する支払手段に類するものとして政令で定めるものは、資金決済に関する法律(平成21年法律第59号)第2条第5項(定義)に規定する仮想通貨及び国際通貨基金協定第15条に規定する特別引出権とする。

留意点
1課税売上割合の算出に仮想通貨の非課税売上分は含まない

消費税の申告にあたっては、課税売上割合(課税期間中の総売上高に対する課税売上の割合)を算出する必要があります。この課税売上割合の分母となる総売上高には非課税売上を含んで計算するのですが、今回非課税対象となった仮想通貨による取引は計算対象に含みません。

消費税法施行令 第48条
(課税売上割合の計算方法)
  (一部略)

2項 
前項第1号に規定する資産の譲渡等(筆者補筆:課税売上割合算出に用いる総売上高)には、事業者が行う次に掲げる資産の譲渡は、含まないものとする。
一 法別表第1第2号に規定する支払手段又は第9条第4項に規定する仮想通貨若しくは特別引出権の譲渡

2 改正前の経過措置の扱い

消費税に詳しい方ならば、課税取引から非課税取引に変更されるのならば、変更の直前で大量に取得し、非課税対象になってから売却すれば、仕入税額控除の恩恵だけ受けられるとお考えになられたかたもいらっしゃるでしょう。
そのような仕入税額控除の乱用を防ぐために消費税法附則に経過措置が設けられており、
平成29年6月30日時点で税抜100万円以上の仮想通貨を保有していた場合
平成29年6月1日から6月30日までの間の各日の仮想通貨の平均保有数量に対して増加したときは、その増加分の課税仕入について仕入税額控除制度の適用は認められません。

そもそも、仮想通貨の場合、相場の変動幅の方が大きいので思い通りには行かないでしょうが、既に仮想通貨を保有されている方は経過措置適用の有無をご確認ください。
平均保有量の計算については、下記の附則に定められています。
(附則は該当条文を探すのが厄介なため、全文を掲載しておきます)

消費税法施行令 附則(平成29年3月31日政令第109号)
(施行日の前日に有する仮想通貨に係る税額控除に関する経過措置)
第8条 事業者(施行日の前日の属する課税期間において消費税法第9条第1項本文の規定により消費税を納める義務が免除される事業者を除く。)が、同日において仮想通貨(当該事業者が国内において譲り受けた課税仕入れに係るものに限る。以下この条において同じ。)を有しており、かつ、当該仮想通貨の全部又は一部の種類についてその種類ごとの数量が、当該種類ごとの平成29年6月1日から施行日の前日までの間の各日において当該事業者が有していた仮想通貨の数量の合計数を30で除して計算した数量に対して増加した場合には、その増加した部分に係る仮想通貨の課税仕入れに係る消費税額(その種類ごとの数量が増加した仮想通貨のその増加した数量に当該仮想通貨の種類別単価(同法第30条第1項に規定する課税仕入れに係る支払対価の額を基礎とした種類ごとの一単位当たりの価額をいう。以下この条並びに附則第11条第2項及び第3項において同じ。)をそれぞれ乗じて計算した金額に108分の6.3を乗じて算出した金額の合計額をいう。)は、同法第30条第1項(同条第2項の規定の適用がある場合には、同項の規定を含む。)の規定の適用については、施行日の前日の属する課税期間の仕入れに係る消費税額(同法第32条第1項第1号に規定する仕入れに係る消費税額をいう。附則第11条第6項において同じ。)の計算の基礎となる課税仕入れ等の税額(同法第30条第2項に規定する課税仕入れ等の税額をいう。附則第11条第6項において同じ。)に含まれないものとする。ただし、同日において有していた仮想通貨の価額(同日において有していた種類ごとの仮想通貨の数量に当該仮想通貨の種類別単価をそれぞれ乗じて計算した金額に108分の100を乗じて算出した金額の合計額をいう。)が百万円未満の場合は、この限りでない。
2 前項本文の場合に該当する事業者が、仮想通貨の種類別単価の計算につき困難な事情があるときは、施行日の前日における当該仮想通貨の種類ごとの一単位当たりの価額その他の合理的な方法により算出した価額を種類別単価とみなして、同項の規定を適用することができる。

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2017年1月30日 (月)

軽減税率制度に関するQ&Aが追加更新されました

平成28年4月に国税庁から公表された「消費税の軽減税率制度に関するQ&A」が追加更新されています。

消費税の軽減税率制度に関するQ&A (制度概要編)
https://www.nta.go.jp/zeimokubetsu/shohi/keigenzeiritsu/pdf/02.pdf

「消費税の軽減税率制度に関するQ&A (個別事例編)」
https://www.nta.go.jp/zeimokubetsu/shohi/keigenzeiritsu/pdf/03.pdf

このQ&Aは、軽減税率導入法案が成立した平成28年4月に公表され、税率改正の延期(「平成29年4月1日」から「平成31年10月」へ)が決定した平成28年11月に導入時期を変更する改訂が行われています。

今回の改訂版には【平成29年1月改訂】と付された改訂項目と、【平成29年1月追加】と記載された新たな追加項目が含まれており、新しく追加されたQ&Aは下記の8個です。

(個別事例編)
問19 化粧品メーカーへの「添加物」の販売
問24 お菓子用の包装紙の仕入れ
問55 社内会議室への飲食料品の配達
問59 飲食料品の提供に係る委託
問80 旧税率対象が混在する請求書
問81 一括値引がある場合のレシートの記載
問82 売上げに係る対価の返還等がある場合の請求書の記載
問83 「軽減対象資産の譲渡等に係るものである旨」の帳簿への記載方法

この中でも、IT担当者としては、下記の4つのQ&Aには目を通しておくべきでしょう。

問80 旧税率対象が混在する請求書
問81 一括値引がある場合のレシートの記載
問82 売上げに係る対価の返還等がある場合の請求書の記載
問83 「軽減対象資産の譲渡等に係るものである旨」の帳簿への記載方法

ちなみに、このQ&A、当初公開された際には飲食料品の範囲の事例として「の販売」という項目があったのですが、さすがに読めない方が多かったのか平成28年11月の改訂時に「もみの販売」に変更されております。

20170130_2

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2016年8月 4日 (木)

「消費税率引上げ時期の変更に伴う税制上の措置」の公表 -これでIT部門は楽になるのか?―

8月2日付で、自由民主党政務調査会から『消費税率引上げ時期の変更に伴う税制上の措置』が公表されました。
https://www.jimin.jp/news/policy/132828.html

去る6月1日に、安倍首相が消費税率の引上げ時期を平成29年4月1日から平成31年10月1日に2年半延期することを表明しました。
その際には、インボイス方式(適格請求書等保存方式)の導入時期等、その他の税務措置の方針については明らかにされませんでしたが、当該資料によって改正措置の概要が示されました。
主要論点をまとめると以下のようになります。

消費税率10%の引上げ時期を平成29年4月1日から平成31年10月1日に2年半延期。

・インボイス方式(適格請求書等保存方式)の導入時期も当初の平成33年4月1日から平成35年10月1日に2年半延期

・軽減税率導入後、中小事業者に対する売上税額と仕入税額計算の特例措置の適用期間も2年半延期。

・当初、中小事業者以外の大企業等にも認められていた売上税額と仕入税額計算の特例措置は適用されない。

20160804


売上税額計算の特例措置とは、軽減税率対象品と標準税率対象品を区分できない事業者に対して、売上税額を
① 軽減税率商品の仕入割合
② 連続する10営業日における軽減売上割合
③ 一律50%

を用いて簡便的に計算するものです。

同様に、仕入税額の特例措置は、軽減税率対象品と標準税率対象品を区分できない事業者に対して、仕入税額を
① 軽減税率商品の売上割合
② 簡易課税の事後的な適用

によって簡便的に計算します。

延期前の法令では、上記特例計算について中小事業者以外の大企業にも1年間の期限付きで適用が認められていましたが、2年半の猶予が与えられたことから大企業については適用されないことになりました。

特に、連続10営業日の軽減売上割合を用いる方法は、どの10日間を採用するかは任意であり、これを大企業に適用するならば、一番有利な10日間を選ぶことで数億単位で納税額に影響が出ます。

こんな面倒なシミュレーションを経理部やIT部門がやらされたら堪らないなあと思っていましたので、大企業への適用が中止されたのは経理やIT部門の方々にとっては、むしろ朗報と言えましょう。

10%への税率改正時期が延期されてもインボイス方式の導入時期は平成33年4月のまま延期されないという最悪のシナリオも予想していたのですが、それが杞憂に終わって何よりです。

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2016年4月12日 (火)

軽減税率制度に関する個別通達とQ&Aが出ました

本日、国税庁から「消費税の軽減税率制度に関する取扱通達」
http://www.nta.go.jp/shiraberu/zeiho-kaishaku/tsutatsu/kobetsu/kansetsu/160412/160412.pdf

消費税の軽減税率制度に関するQ&A (制度概要編)
https://www.nta.go.jp/zeimokubetsu/shohi/keigenzeiritsu/pdf/02.pdf

消費税の軽減税率制度に関するQ&A (個別事例編)
https://www.nta.go.jp/zeimokubetsu/shohi/keigenzeiritsu/pdf/03.pdf

Q&A(制度概要編)が27ページ、(個別事例編)が41ページと宝島社の雑誌に負けないボリューム満点の付録付きです。

気になる論点としては、

個別通達11(持ち帰りのための飲食料品の譲渡か否かの判定)
「(一部略)標準税率の適用対象となるのか、又は持ち帰りのための容器に入れ、若しくは包装を施して行う飲食料品の譲渡に該当し軽減税率の適用対象となるのかは、当該飲食料品の提供等を行う時において、例えば、当該飲食料品について店内設備等を利用して飲食するのか又は持ち帰るのかを適宜の方法で相手方に意思確認するなどにより判定することとなる。」

(できるんでしょうか?)

個別通達21(困難な事情があるときの意義)
「(一部略)その困難の度合いを問わず、同項に規定する経過措置を適用することができることに留意する。」

(これは、潔くてすばらしい!)

この他にもQ&Aの事例では「水の販売」や「籾の販売」などディープなネタ満載の大作です。

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2015年10月 2日 (金)

本人に交付する源泉徴収票へのマイナンバーの記載は不要に

本日10月2日付けで所得税法施行規則等が改正され、本人に交付する源泉徴収票や支払調書へのマイナンバーの記載は不要になりました。
10月2日付け官報
(このリンクは2周間程度で見れなくなりますので、ご注意)

改正法の原文を読んでも意味がわかりませんので、国税庁から公表されているパンフレットを御覧ください。 https://www.nta.go.jp/mynumberinfo/pdf/mynumber_gensen.pdf

20151002

この改正は、これで結構なんですが、現在は慣習として行われている報酬等の支払調書の本人送付分はどうしたもんでしょうか?

【追記】
2015年10月30日に国税庁から公表されたパンフレット
「国税分野における 社会保障・税番号制度導入に伴う各種様式の変更点」
https://www.nta.go.jp/mynumberinfo/pdf/mynumber_modification.pdf

において以下の注記が記載されています。

(注)支払を受ける者に支払調書の写しを交付する場合には、番号法の規定 により、支払を受ける者及び支払者の個人番号は記載できませんのでご 注意ください。

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2015年9月16日 (水)

減価償却計算の歴史  改定償却率や償却保証額は、どこから生まれてきたのか

先日、仕事で、現行税法における減価償却計算を説明する必要が生じたのですが、その仕組みを伝えるのに骨を折りました。
特に、「改定償却率」や「償却保証額」といった用語が混乱を生んでいるようで、実際、私のブログも、この2つのキーワード検索からの流入が上位を占めています。

現行の減価償却制度は、過去からの改正によって大きく変貌しています。したがって、改正の流れがわからなければ現行制度も理解できません。
そこで、今回は、我が国の減価償却制度改正の歴史を紐解きながら、現在の減価償却計算を解説していきましょう。

我が国の減価償却制度は平成19年の改正が分水嶺になっているため、平成19年改正前と改正後の2つに分けて説明します。

平成19年改正前の減価償却計算

減価償却の計算方法には定額法と定率法があります。

定額法:耐用年数の各年で一定額を償却する方法
 償却費=(取得価額-残存価額)×耐用年数ごとの償却率

残存価額とは耐用年数到達時点における処分価格を表わすもので、平成19年の改正前では、有形固定資産における残存価額を一律、取得価額の10%としていました。

定率法:前期末の簿価の一定率を償却する方法
 償却費=前期末簿価×耐用年数ごとの償却率

これらの前提から、定額法、定率法の償却率は下記の式から算出できます。

定額法の償却率  1÷耐用年数
例:耐用年数5年の償却率  0.200=1÷5年

定率法の償却率  1-n√残存割合 (nは耐用年数:n√はn乗根)
定率法の場合は累乗根を使って算出します。
例えば、耐用年数3年の償却率は
 0.536 = 1-3√0.1

この数式を変形すると、
(1-0.536)^3 = 0.464^3 = 0.1(残存割合)
になりますから、このようにして算出された償却率を用いれば、丁度、耐用年数の時点で残存価額分だけ簿価が残るのです。

両方式による簿価の変化は以下の図表で表わされ、定率法は耐用年数の初期に多額の償却費が計上されるが、その後、償却費が逓減する特徴があります。
201509161_2

平成19年に何が改正されたのか

平成19年に税法上の減価償却制度が大きく改正されましたが、その主要論点は、
1. 残存価額の廃止
2. 250 %定率法の導入 
の2つです。

1.残存価額の廃止
以前から、残存価額の10%は、経済実態と乖離していると指摘されており、取得価額の95%までの償却を認める償却可能限度額といった概念を取り入れて対応していました。
そこで、平成19年改正において残存価額は0とし、取得価額の全額が償却できるようになりました(正確には備忘価額1円を残します)。

残存価額を0にしてしまうと、残存割合も0になるため、先ほどの定率法の償却率の算出式

 1-n√残存割合 (nは耐用年数:n√はn乗根)

が使えません。
その結果、新たな定率法の計算方法が導入され、それが250%定率法です。

2. 250 %定率法の導入 
従来のように累乗根から償却率を算出するのではなく、定率法の償却率は、定額法の償却率を単純に2.5倍したものを用いて計算します。

(例)
耐用年数10年の定額法の償却率  0.100
耐用年数10年の定率法の償却率  0.250=0.100×250%

このような定率法の償却率を単純に用いると、耐用年数到来時に取得価額を全額償却することができません。
そこで、耐用年数のどこかで計算方法を変更し、強制的に耐用年数で償却を終わらせることにしました
この、計算方法を変更する時点を決めるために、新たに設けられたのが「保証率」です。

取得価額に保証率を乗じた償却保証額を算出し、この償却保証額がその年の定率法の償却費を上回った年度から、新しい改定償却率を用いて残った簿価(改定取得価額)を、残りの耐用年数中で定額法によって均等償却していきます。

つまり、保証率とは定率法の償却計算を変更するための目安を算出するための率であり、改定償却率とは、変更後の耐用年数に対応した定額法の償却率にすぎません。

201509162

なお、平成23年度の税制改正で、250%定率法は200%定率法に変更されましたが、保証率や償却保証額の考え方は変わっていません。

具体的な計算事例については、国税庁の下記のHPもご参照ください。

平成19年度以前の旧定額法、旧定率法による計算事例
https://www.nta.go.jp/taxanswer/shotoku/2105.htm

平成19年度以降の定額法、定率法による計算事例
https://www.nta.go.jp/taxanswer/shotoku/2106.htm

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2015年9月14日 (月)

リバースチャージがやってくる (改正消費税Q&Aの改訂項目)

税務業界では、先週末に公表された消費税の「日本型軽減税率制度」が話題になっていますが、2週間後の10月1日から、新たなリバースチャージ方式が始まります。

リバーチャージ方式は、今までの消費税の仕組みにはなかった、まったく新しい制度です。
その概要については7月30日付のブログにまとめてありますので、こちらをご参照ください。

消費税 リバースチャージ方式をA41枚にまとめてみた
http://iwatani-c.cocolog-nifty.com/blog/2015/06/a41-3fbd.html

20150604

その際にご紹介した国税庁のQ&A「国境を越えた役務の提供に係る消費税の課税の見直し等に関するQ&A」が、9月10日付けで改訂されました。

https://www.nta.go.jp/shiraberu/ippanjoho/pamph/pdf/cross-QA.pdf

以前公開されたQ&A部分についての改訂はなく、以下の2つの問いが追加されています。

「電気通信利用役務の提供」の範囲2
問2-2 当社は、日本に本店を有する法人であり、国外事業者が著作権を有するソフトウエアについて、当該国外事業者から日本国内のエンドユーザーに販売するための権利を取得し、インターネットを通じて配信する方法により販売を行っています。
この場合、国外事業者との取引及びエンドユーザーに対するソフトウエアの配信について、平成27年10月以後の課税関係はそれぞれどのようになりますか。

「事業者向け電気通信利用役務の提供」の範囲2
問3-2 当社は、事業者向けに電子書籍の配信を行う国外事業者です。日本の事業者に対する電子書籍の配信は直接当社が行いますが、日本の事業者との契約交渉・契約書の作成・代金決済等の事務は日本国内の事業者(代理店)が代行しています。この場合、当者は電子書籍の配信を受ける日本の事業者と直接連絡を取ることはありませんが、代理店が各顧客と個別に交渉等を行い契約書を取り交わしており、当社は代理店を通じて取引条件から電子書籍の配信を受ける者が事業者であることを確認しています。このような電子書籍の配信は「事業者向け電気通信利用役務の提供」に該当しますか。

リバースチャージ方式は、国外事業者から受けた「事業者向け」電気通信利用役務の提供について適用されますが、 「消費者向け」電気通信利用役務の提供については、登録国外事業者からの役務提供についてのみ仕入税額控除が可能です。

この登録国外事業者について国税庁のHPに名簿が掲載されましたので、こちらもご参照下さい。

http://www.nta.go.jp/shiraberu/ippanjoho/pamph/shohi/cross/touroku.pdf

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2015年6月 4日 (木)

消費税 リバースチャージ方式をA41枚にまとめてみた

先日(6月3日付)、国税庁のHPにいて「国境を越えた役務の提供に係る消費税の課税の見直し等に関するQ&A」が公表されました。

https://www.nta.go.jp/shiraberu/ippanjoho/pamph/pdf/cross-QA.pdf

このQ&Aは、平成27年の税制改正で変更された、インターネット取引における消費税の扱いを解説するものです。

しかし、今回、導入されたリバースチャージ方式は、今までの消費税の考え方とは、まったく異なるため、戸惑う方も多いと思われます。

そこで、このQ&Aを読む前に、今回の制度改正をA41枚にまとめておきましたので、まずは、こちらの図をご覧になられてからQ&Aをお読みください。

20150604_2

各用語の正確な定義については、5月26日付で改正された消費税法基本通達で規定されています。

https://www.nta.go.jp/shiraberu/zeiho-kaishaku/tsutatsu/kihon/shohi/kaisei/150508/index.htm

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2015年5月31日 (日)

マイナンバーを入手できないときの対応方法(国税庁 FAQ Q2-10)

先日(5月15日付)、国税庁のHPにおいて、マイナンバーに対応した「報酬、料金、契約金及び賞金」の支払調書様式が公表されました。

https://www.nta.go.jp/mynumberinfo/jizenjyoho/hotei.htm

20150531


報酬等の支払調書は、どの会社でも必ず発生するでしょうから、この様式を参考にして早目に対応を進めておきましょう。

また、原稿料や講演料など、この報酬等の支払調書が大量に発生する会社では、マイナンバーの入手について頭を悩ませていると思われます。

従業員のマイナンバーを入手するのと違い、これら報酬等の場合には、多様なケースが想定されるからです。

例えば、石原慎太郎氏に講演を頼んだ際に、
「あなたは、石原慎太郎さんですか?」
と一連の本人確認手続きをとることは可能なのでしょうか?(怒られそうで恐い)

実際に、報酬等の支払に際してマイナンバーを入手できなかった場合の対応方法について、「国税分野におけるFAQ」に、参考になる問いがあるので全文を引用しておきます。

https://www.nta.go.jp/mynumberinfo/FAQ/04kokuzeikankei.htm#a2-10


「従業員や講演料等の支払先等から個人番号の提供を受けられない場合、どのように対応すればいいですか。(Q2-10)」

(答)
法定調書作成などに際し、個人番号の提供を受けられない場合でも、安易に個人番号を記載しないで書類を提出せず、個人番号の記載は、法律(国税通則法、所得税法等)で定められた義務であることを伝え、提供を求めてください。

それでもなお、提供を受けられない場合は、提供を求めた経過等を記録、保存するなどし、単なる義務違反でないことを明確にしておいてください。

経過等の記録がなければ、個人番号の提供を受けていないのか、あるいは提供を受けたのに紛失したのかが判別できません。特定個人情報保護の観点からも、経過等の記録をお願いします。

なお、法定調書などの記載対象となっている方全てが個人番号をお持ちとは限らず、そのような場合は個人番号を記載することはできませんので、個人番号の記載がないことをもって、税務署が書類を受理しないということはありません。


ということで、税務当局もマイナンバーの提供が受けられないケースを想定しており、その際には、提供を求めた経過等を記録、保存することを求めています。

■■■ ご案内 ■■■

数字嫌いの経営者の方々向けに下記セミナーを開催します。
主催 日本経営合理化協会 
  http://jmcasemi.jp/
日時 2015年6月11日(木) 10時30分~16時30分
「社長が知っておきたい 決算書の読み方」

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