会計とシステムの接点

2016年9月27日 (火)

IT委員会研究報告公開草案「スキャナ保存制度への対応と監査上の留意点」の公表

昨日、日本公認会計士協会IT委員会からIT委員会研究報告「スキャナ保存制度への対応と監査上の留意点」が公表されました。

http://www.hp.jicpa.or.jp/specialized_field/20160926aub.html

平成28年度の税制改正によって大幅に要件が緩和されたスキャナ保存制度に対応するために、従来のIT委員会研究報告第30号「e-文章法への対応と監査上の留意点」を更新するものです。

平成27、28年度改正によって国税関係書類の電子保存の条件が緩和されたものの適正処理要件やタイムスタンプのコスト負担といった要因から、その効果が大きく表われるのは上場企業を中心とした大企業になると予想されます。
そこで、監査対象会社が同制度を適用した際の監査上の留意点について整理しています。

今回の公開草案は本文とは別に付録部分があります。

付録1 セキュリティ技術に関する解説
スキャナ保存制度を理解するための前提となる電子証明とタイムスタンプの機能について解説しています。

付録2 平成27年度・28年度税制改正の詳細
今回の改正は平成27年度改正と比較して理解する必要があるため、両年度の改正内容を簡潔にまとめています。

ITシステムに関係しない一般の方々にもわかりやすい資料になっていますので、本文よりも先に、まずこの付録部分から読まれるのがよろしいかと思います。

なお、当公開草案への意見募集期間は平成28年10月26日です。

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2016年6月22日 (水)

『無形資産の評価実務-M&A会計における評価とPPA業務―』の公表

昨日、日本公認会計士協会から、経営研究調査会 研究報告代第57号 「無形資産の評価実務-M&A会計における評価とPPA業務-」が公表されました。

http://www.hp.jicpa.or.jp/specialized_field/20160621c80.html

この無形資産の評価は、現代会計における重要課題のひとつであり、現場で作業にあたられている方々も暗中模索しているのが現状です。

なぜ、無形資産の評価が重要課題になるのかといえば、無形資産と「のれん」の区分によって損益計算書への影響が大きく異なるため、以下のような局面に遭遇し得るためです。

下記のような状況の場合、無形資産の評価に際しては注意が必要である。
① M&Aが不正の手口として利用されていると推測される。
② M&Aに際して紛争の予防・回避の配慮がされず、交渉が公正に行われず恣意的に決定されていると判断される。
③ 入手した企業価値評価報告書や合意された買収価格を見ても、その価格が極めて過大又は過少と判断される。
 (当研究報告 13ページより)

会計業務に携わられている方でも、無形資産の評価を行う場面は稀かもしれませんが、今回、新しいガイドラインが公表されたことは覚えておくとよいでしょう。
(72ページの大作ですから、読みこなすのはキツイです)

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2016年4月11日 (月)

消費税の区分記載請求書は登録番号抜きの適格請求書になるのか?

平成28年度の消費税改正法が成立し、平成29年4月から区分記載請求書等保存方式、平成33年4月から適格請求書等保存方式(いわゆるインボイス方式)の導入が決定しました。

平成29年4月の税率改正延期は既成路線との報道もありますが、会計システムの担当者としては粛々と対応を進めるしかありません。

インボイス方式への移行期間に導入される区分記載請求書等保存方式の事例が財務省のパンフレットに掲載されています。

20160411pdf

しかし、現状の請求書(またはレシート)では、消費税額を区分して明記しているものがほとんどなので、この区分記載請求書等の様式例には違和感があります。

現状の請求書類に消費税額が区分記載されているのは、旧消費税法施行令第22項1項の積上げ計算の特例を適用するために;本体価格と消費税額を区分して明示することが求められているからです。

税制大綱によれば、この積上げ計算の特例は適格請求書方式導入時には廃止されるようですが、言いかえれば区分記載請求書等保存方式の期間は継続することになります。

そうなると、積上げ計算で申告するためには領収書、請求書に本体価格(または税込価格)と消費税額を区分して記載しなければいけないため、結局、登録番号抜きの適格請求書のような様式の請求書が作成されることになります。
(まさか、その前に積上げ計算の特例が廃止されるということなのでしょうか?)

条文上は「当分の間」の記載しかないので、納税者としては判断のしようがありません。



積上げ計算については平成16年の総額表示導入以来、このような曖昧な状況が続いており、システム担当者は迷惑を被っておりますので、地味な論点ではありますが積上げ計算の適用期間を政省令で明らかにすることを切に願います。

【追記】
平成28年3月31日に公布された財務省令第20号「消費税施行規則等の一部を改正する省令」、第12条において「平成29年適用日から平成33年3月31日までの間」と明記されていました(因縁つけて申し訳ありません)。

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2016年3月31日 (木)

IT委員会研究報告第48号、49号の公表

先日、日本公認会計士協会のIT委員会から

IT委員会研究報告第48号 「ITを利用した監査の展望 ~未来の監査へのアプローチ~」

IT委員会研究報告第49号「給与計算システムの受託業務に係る内部統制の保証報告書の記載例」 が公表されました。

いずれも、昨年末に公表された公開草案に対するコメントを反映させた最終版ですが、両報告とも大きな修正はありません。

この中でも研究報告第48号は、公開草案時に当ブログでご紹介したように、研究報告にモノローグ形式を取り入れるという革新的なアプローチがそのまま採用されており、 先日、ご紹介した「女騎士、経理になる。」に対抗できる斬新な研究報告になっています。

このまま行けば、マンガを取り入れた研究報告が公表される日も近いでしょう。

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2016年3月11日 (金)

収益認識基準の日本導入は平成30年1月1日からを予定 

まず最初に、本日、3月11日で東日本大震災から5年を迎えるにあたり、犠牲になられた方々にあらためて哀悼の意を表します。

昨日、3月10日付で企業会計基準委員会から 『現在開発中の会計基準に関する今後の計画』 が公表されました。 https://www.asb.or.jp/asb/asb_j/plan/index.shtml

この中で、 「顧客との契約から生じる収益」 (IFRS 15号) に対応した、収益認識に関する日本基準の開発について言及されており、現在の計画では平成30年1月1日以後開始する事業年度に適用可能にすることが目標になっています。

「また、基準開発に向けた検討にあたっては、IFRS 第 15 号及び Topic 606 の強制適用日を踏まえ、平成 30 年 1 月 1 日以後開始する事業年度に適用が可能となるように会計基準の開発を進めることを当面の目標としている。」

この収益認識基準導入による販売管理システムの修正は、かなり広範囲に及ぶことが予想されるため、今後の開発過程を注視しましょう。

一方、平成33年4月からはじまる消費税のインボイス方式導入によっても販売管理システムの修正が必要になります。

私は、以前から消費税改正と収益認識基準の導入時期が重なってしまうことを恐れていたのですが、インボイス方式導入にあたって4年間の猶予措置(区分記載請求書保存方式の適用)がとられた結果、収益認識基準への対応後にインボイス対応をすることになりそうです。

ただし、本家のIFRS15号適用も、当初予定からズルズル遅れて2018(平成30)年1月からになっていますし、任意適用開始と強制適用開始には数年の猶予期間が設けられるでしょうから、結果としてシステム対応のタイミングは重なってしまうかもしれません。(恐怖だ・・・・)


20160311

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2016年3月 2日 (水)

IT委員会研究報告第47号 「業務処理統制に関する評価手続」の公表

本日、3月1日付で日本公認会計士協会(IT委員会)から、IT委員会研究報告第47号 「業務処置統制に関する評価手続」が公表されました。

http://www.hp.jicpa.or.jp/specialized_field/20160301z5u.html

昨年の11月11日付で公表された公開草案から大きな変更はありません。

当研究報告は、平成26年9月30日付で公表されたIT委員会研究報告第46号「重要な虚偽表示リスクと全般統制の評価」と合わせて利用することが予定されています。

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2015年12月 9日 (水)

「ITを利用した監査の展望 ~未来の監査へのアプローチ~」(公開草案)の公表

本日、12月9日付けで日本公認会計士協会のIT委員会からIT委員会研究報告 「ITを利用した監査の展望 ~未来の監査へのアプローチ~」の公開草案が公表されました。

http://www.hp.jicpa.or.jp/specialized_field/post_1838.html

「未来の監査へのアプローチ」と、まるでSF映画のようなタイトルがついていますが、実際に最後の章では未来の監査の姿をモノローグ形式で記述するというSF小説のような作りになっています!

本研究報告では、未来の監査の概念を、次のように定義しています。

「ITが全面的に利用されている企業環境において、ITを活用することにより、被監査会社の重要なデータについては全データをリアルタイムで検討し、統計学的なアプローチによりビッグデータ的な分析手法も含めて、精査的・統計的手法により比重を置いて監査意見を形成する監査の体系」

被監査会社のデータを継続的に監視し続けるCA(Continuous Auditing)の仕組みや、KPMGがF1のマクラーレンチームと組んで新しい監査手法に取り組んでいる話とか刺激的な話が盛り込まれた今までにない革新的な研究報告と言えましょう。

なお、公開草案への意見提出期日は2016年1月12日までです。

これからは、CAと言ったらCabin Attendantではなくて、Continue Auditingの時代ですよ!

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2015年12月 8日 (火)

書評『ITエンジニアとして生き残るための会計の知識』とSE本の興亡

公認会計士の原 幹先生 から、新刊の 『ITエンジニアとして生き残るための会計の知識』 (日経BP社)を献本いただきました。

先日、書評を掲載した『「クラウド会計」が経理を変える!』 が9月の発売ですから、立て続けの刊行になります。

20151208


(Disclaimer)
評者である私自身も同類の会計書籍を上梓しているため、書評の中立性に問題が生じる恐れがあります。
ということで、今回は、少し書評を離れSE向けの会計本の歴史を紐解いていきましょう。


SE(システムエンジニア)は1980年ごろ、電子計算機の普及にあわせて広がった職種です。
SE向けの書籍の中心は開発言語を解説した技術書だったのですが、徐々にビジネス書に近い領域の書籍が増え始めました。

その萌芽となったのが、ワインバーグの一連の書籍です。



その後、情報システムの発展にともなって従事者も増加し、SE向けの書籍がビジネス書の中でも一定の需要を生み、「SE本」と呼ばれるジャンルが生まれてきました。

私が、SE本における会計書籍のターニングポイントと考えるのは、 2001年に小橋淳一氏が著した 「経理・財務知識の再入門講座」 のヒットです。



私が本書を手にとったのは、システム開発の現場を離れ既に公認会計士になってからですが、自分が新人SEのころにこのような本があれば良かったのになあと思わせる内容でした。

本書が、それまでの会計書籍と違ったのは、単に会計知識を伝えるのではなく業務のプロセス、つまり業務知識として伝えている点です。

この書籍の成功後、SE向けに様々な業務知識を解説した書籍が増え、SE本のジャンルが広がっていきます。

書籍だけではなく、このころはSE向けの雑誌も隆盛であり、雑誌の連載を書籍化したものも多く生まれました。
DB Magazineに連載を続けていた梅田弘之氏の一連の著作は、現在でも参考になります。

この2000年代の前半が、SE本のピークと思われます。
その勢いに便乗して、私も2006年に 『超図解 新人SEのための会計&業務の基礎知識』 を刊行しました。

しかし、この本は現在では入手できません。
それは、絶版になったからではなく、発売直後の2007年に出版元のエクスメディア社が倒産してしまったからです。
エクスメディア社はパソコンユーザー向けの超図解シリーズで躍進した出版社でしたが、Windows95から始まったパソコンブームも次第に沈静化していき、新たな需要を築けませんでした。
(なお、エクスメディア社は出版社にもかかわらず、社内にデザイン室があるなど編集手法が独特で、著者としては大変、勉強になりました。)

パソコンがコモデティ化して行くのと並行して、エンタープライズ向けのシステム構築も従来の受託開発からSAP等のERPを用いたパッケージ開発に移行していきます。
この地殻変動にともなってSEを冠した書籍は徐々に減少し、最近ではITエンジニアやITコンサルタントといった名称に置換えられていきました。

2000年代には
COMPUTER WORLD(IDGジャパン)
IT アーキテクト (IDGジャパン)
月刊 コンピュートピア (コンピュータエージ社)
Software People (技術評論社)

といった開発者向けの書籍が多くありましたが、現在は既に廃刊しています。日経BP社の発行していた「IT プロッフェショナル」誌が「日経システム構築」誌と統合して「日経SYSTEMS」に生まれ変わるなど、銀行業界同様の再編もありました。

現在では、かつてのSE本ジャンルの会計書の出版は減少しており、私の手許にあるものとしては、

2012年に吉田延史氏が刊行された「 ITエンジニアのための会計知識41のきほん」(インプレスジャパン) が最新の作品になっています。
(なお、本書では、最後のコラム 「ステップアップのための書籍紹介 」で拙書 「会計の基本」 を推薦していただいています。この場をお借りして御礼申し上げます)


無駄に長い前フリから、評書の解説に戻ります。

評書も、これまでのSE向け会計本と同様に、最初に会計の基本的知識を、次に会計業務のプロセス会計システムの機能と関連付けながら解説していきます。
本書の特色は後半にあります。

第5章では、 「顧客向けITプロジェクト」 参画時に必要な知識として ・原価計算 ・売上の計上、工事進行基準 ・プロジェクト別損益 を解説。

第6章では、 個々のプロジェクトからさらに一歩進み、 「事業計画」 作成に必要な知識として 事業計画の作成手順 ・KPIとなる財務指標を紹介。

最後の第7章 では「社内IT投資」に必要な会計知識として投資の効果測定にまで言及しています。

本書は、SE本の系譜を継ぐ書籍として十分な内容を持つだけではなく、現代のITエンジニア、ITコンサルタントの業務領域までを抑えた書籍と言えるでしょう。

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2015年11月11日 (水)

「業務処理統制に関する評価手続」と「給与計算システムの受託業務に係る内部統制の保証報告書の記載例」の公開草案

本日11月11日付で、日本公認会計士協会(IT委員会)から、IT委員会研究報告 「業務処理統制に関する評価手続」の公開草案が公表されました。

http://www.hp.jicpa.or.jp/specialized_field/post_1833.html

この研究報告は、従来指針となっていたIT委員会研究報告第36号「自動化された業務処理統制等に関する評価手続」を近年の関連規定の改正にあわせて更新したものです。

例えば、研究報告36号に載っていたRCMは、個々の内部統制とアサーションの関係が単純に並列に記載されていましたが、今回のバージョンでは冒頭に「起こりうる虚偽表示」としてとりまとめる様式になっています。

また、同日の11月11日付けでIT委員会研究報告 「給与計算システムの受託業務に係る内部統制の保証報告書の記載例」 の公開草案も公表されました。

http://www.hp.jicpa.or.jp/specialized_field/post_1834.html

こちらは、監査・保証実務委員会実務指針第86号「受託業務に係る内部統制の保証報告書」による実務の参考のために、委託先の給与計算システムの保証報告書を事例としてまとめたものです。

マイナンバー法の導入にあわせて給与関連業務の外注化を進める企業も増えていますので、題材としてもタイムリーでしょう。

両公開草案ともに意見募集期日は平成27年12月11日です。

20151111

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2014年11月 4日 (火)

旬刊経理情報に「IFRS新収益認識基準へのシステム対応ポイント」を寄稿しました

2014年11月4日 

『旬刊 経理情報』 の最新号(2014年11月10日号)の特別企画として 『IFRS新収益認識基準へのシステム対応ポイント』を寄稿しました。

20141104


当方、先週まで『週刊 経営財務』に 『IFRS新収益認識基準の実務への影響』 を連載しておりましたので、同じネタがかぶっているように見えますが、『経営財務』の連載は、初心者にもわかりやすい「甘口」の内容なのに対して、本稿は私の本職でもある会計システムとの関係を中心にした「辛口」の内容になっております。

「経営財務の記事は、もう読んだからいいよ」

とおっしゃらずに、『旬刊 経理情報』の記事も、ご一読、いただければ幸いです。

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