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2018年6月

2018年6月15日 (金)

 国税庁 『消費税の仕入税額控除制度における適格請求書等保存方式に関する取扱通達』及びQ&Aの公表

平成30年6月6日付で国税庁から 『消費税の仕入税額控除制度における適格請求書等保存方式に関する取扱通達』 が公表されました。

https://www.nta.go.jp/law/tsutatsu/kobetsu/kansetsu/0018005-135/0018005-135.pdf

個別通達の公表にあわせて 『消費税の仕入税額控除制度における適格請求書等保存方式に関するQ&A』 も公表されています。

https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/zeimokubetsu/shohi/keigenzeiritsu/pdf/0018005-136.pdf

平成31年10月の消費税率10%への改正と同時に軽減税率制度が導入されます。今後、複数税率が併存するため、税率改正から4年後の平成35年10月には適格請求書等保存方式(いわゆるインボイス方式)が導入されます。

適格請求書等保存方式導入までの4年間は区分記載請求書等保存方式という現行の仕組みに準じた方法で申告できるのですが、税率改正にあわせて将来の適格請求書保存方式への対応を済ませたいという企業の要請もあり、早めのタイミングで個別通達が公表されたようです。

通達の内容は以下のとおりです。
第一 定義関係
第二 適格請求書発行事業者の登録制度関係
第三 適格請求書発行事業者の義務等関係
第四 適格請求書等保存方式による仕入税額の控除関係
第五 経過措置関係 

(原文は第五の項目番号だけ「第5」と英数字になっております?)

この中でも、実務上の判断が難しいかった共有持分の扱い

(共有物の譲渡等における適格請求書に記載すべき課税資産の譲渡等の対価の額等)
3-5
適格請求書発行事業者が、適格請求書発行事業者以外の者である他の者と共同で所有する資産(以下「共有物」という。)の譲渡又は貸付けを行う場合には、当該共有物に係る資産の譲渡等の金額を所有者ごとに合理的に区分するものとし、適格請求書に記載する法第 57 条の4第1項第4号《適格請求書発行事業者の義務》に掲げる「課税資産の譲渡等に係る税抜価額又は税込価額を税率の異なるごとに区分して合計した金額」及び同項第5号に掲げる「消費税額等」は、自己の部分に係る資産の譲渡等の金額に基づき算出することとなることに留意する。

税額算出時における計算方法の扱い

(課税標準額に対する消費税額の計算)
3-13
その課税期間に係る法第 45 条第1項第2号《課税資産の譲渡等及び特定課税仕入れについての確定申告》に掲げる税率の異なるごとに区分した課税標準額に対する消費税額は、原則として、同項第1号に掲げる課税標準額につき、税率の異なるごとに標準税率又は軽減税率を乗じて算出した金額を合計する方法(以下3-13 において「総額割戻し方式」という。)により算出した金額となるのであるが、その課税期間中に国内において行った課税資産の譲渡等(同条第5項ただし書の規定に係るものを除く。)につき交付した適格請求書又は適格簡易請求書の写しを法第 57 条の4第6項《適格請求書発行事業者の義務》の規定により保存している場合(同項の規定により同項に規定する電磁的記録を保存している場合を含む。)には、当該適格請求書又は当該適格簡易請求書に記載した同条第1項第5号又は第2項第5号に掲げる消費税額等及び当該電磁的記録に記録した消費税額等の合計額に 100 分の 78 を乗じる方法(以下3-13において「適格請求書等積上げ方式」という。)により算出した金額とすることができることに留意する。
また、取引先ごと又は事業ごとにそれぞれ別の方式によるなど、総額割戻し方式と適格請求書等積上げ方式を併用することとしても差し支えない。

(課税仕入れに係る消費税額の計算)
4-3
その課税期間に係る法第 45 条第1項第2号《課税資産の譲渡等及び特定課税仕入れについての確定申告》に掲げる課税標準額に対する消費税額の計算につき、同条第5項《消費税額12の積上げ計算》の規定の適用を受ける場合には、法第 30 条第1項《仕入れに係る消費税額の控除》に規定する課税仕入れに係る消費税額の計算につき、令第 46 条第1項《課税仕入れに係る請求書等による消費税額の積上げ計算》に規定する計算の方法(以下「請求書等積上げ方式」という。)又は同条第2項《課税仕入れに係る帳簿による消費税額の積上げ計算》に規定する計算の方法(以下「帳簿積上げ方式」という。)によることとなることに留意する。
また、その課税期間に係る法第 45 条第1項第2号に掲げる課税標準額に対する消費税額の計算につき、同条第5項の規定の適用を受けない場合には、法第 30 条第1項に規定する課税仕入れに係る消費税額の計算に関し、請求書等積上げ方式又は帳簿積上げ方式のほか、令第 46 条第3項《課税仕入れに係る支払対価の合計額から割戻す方法による消費税額の計算》に規定する計算の方法(以下「総額割戻し方式」という。)によることもできるのであるが、請求書等積上げ方式又は帳簿積上げ方式と総額割戻し方式との併用はできないことに留意する。
(注) 請求書等積上げ方式と帳簿積上げ方式との併用は可能である。

といった論点についても言及されています。

20170313

国税庁『消費税の仕入税額控除制度における適格請求書等保存方式に関する取扱通達』及びQ&Aの公表

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2018年6月 7日 (木)

国税庁 『「収益認識に関する会計基準」への対応について』の公表

新しい「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号)に対応するために、平成30年の税制改正によって法人税法も見直しが行われました。

それにあわせ関連する法人税基本通達も5月30日付けで改正されています。
http://www.nta.go.jp/law/tsutatsu/kihon/hojin/kaisei/180409/index.htm

これら、一連の税制上の改正事項のとりまとめとして国税庁から様々な資料が公表されました。
http://www.nta.go.jp/publication/pamph/hojin/kaisei_gaiyo2018/02.htm

特に 「収益認識基準による取扱いの例」 は、消費税の扱いについても具体的な事例を交えて解説しており、大変、わかりやすい資料になっています。

国税庁『「収益認識に関する会計基準」への対応について』の公表

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2018年6月 6日 (水)

【書評】『教養としての「税法」入門』

日本実業出版社の編集の方から、弁護士で現在青山学院大学法学部の教授も務められている木山泰嗣先生の 『教養としての「税法」入門』 (以降「税法入門」)を献本いただきました。

20180606_2



私が、木山先生の著作を初めて手にしたのは2014年に光文社文庫から刊行された 『弁護士が教える分かりやすい「所得税法」の授業』 でありまして、近年の新書が読み易さを重視した「軽い」本が多い中、木山先生の書籍は、やわらかい語り口とは裏腹に、しっかりした内容なのが印象的でした。

今回の書籍も同様で、一般に実務書と呼ばれるジャンルでありながら判決文の引用も多く、さらに詳細な注釈も付されています。

前書きに
「単にわかりやすいということではなく、大学の授業でしっかり学んだような実感をもてる「読み応えのある本」にしようと、担当編集者と話しながら作りました。」
という記載がありますが、その編集意図通りの作品に仕上がっています。

税法の全体像を重要な判決事例を参照しながら解説していく手法は、初心者の方でも興味をもって読み進めていけるでしょう。

具体的には
約1,300億円の贈与税が争われた「武富士事件」
サラリーマンの給与所得控除について争われた「大島訴訟」
戦後最大の税務訴訟となった「ストック・オプション訴訟」

などを取り上げつつ、全体は以下のように構成されており、まさに大学の講義どおりの内容になっています。

第1章 税法の歴史とは
第2章 税法の重要判決にはどのようなものがあるか?
第3章 税法とはそもそも何か?
第4章 税法の基本原則を知ろう
第5章 税法の解釈とは?
第6章 税法の制度を押さえよう
第7章 不服申立て・税務訴訟とは?

本書を読んで思い出したのが、元長野県知事 田中康夫氏のデビュー作 「なんとなく、クリスタル」 (以降「なんクリ」)です。

1981年、バブルの少し前に刊行されベストセラーになった「なんクリ」は、本文の内容よりも本文同様のボリュームを持つ脚注の面白さが話題になりました。
実際、脚注部分だけを読んでも、それなりの音楽通(今では死語となったAORというジャンルですが)になれるという仕掛けが組み込まれていたのです。

今回取り上げた「税法入門」は、まったく異なるジャンルですが、脚注の充実度は「なんクリ」に負けていません。

318ページに及ぶ書籍の1/3は詳細な注釈ですので、まず、最初に注釈部分を割愛し本文部分だけを読み進めるのがよいでしょう。
本文を読み終わった後で、脚注部分だけを読み進んでいっても、税法の様々なトリビアが身に付きます。

聞くところによれば、本書は昨年8月の刊行から既に5度の増刷、累計1万部を超える売上を上げているそうです。
現在の出版環境において、これだけ硬派な作品が、このような実績をあげているという事実はビジネス書を著す者としても大変勇気付けられるニュースです。
今後も税法入門のスタンダードとして永く読まれ続ける一冊でしょう。

【書評】『教養としての「税法」入門』

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