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2017年11月 2日 (木)

「10歳でもわかる」と「世界一」はどちらがわかりやすいのか? 書評『10歳でもわかる問題解決の授業』

担当編集者から苅野進氏の、新刊 『10歳でもわかる問題解決の授業』 を献本いただきました。

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作者の苅野氏は経営コンサルティング会社を経て、現在、学習塾ロジムを主催しています。
学習塾ロジムでは小学生向けに「問題解決力」や「ロジカルシンキング」を教えており、その実践の成果をまとめたのが本書です。
タイトルには「10歳でもわかる」とありますが、基本的にはビジネスパーソン向けのロジカル・シンキングの入門書という位置付けになります。

本書の執筆意図として
「考える力」は生まれつきのものではなく、非常に”シンプルな技術の習得”と”気持ちの持ちよう”で大きく伸びるという実感があります。

私たちを苦しめているのは「正解を見つけられなければ、考えた意味がない」という小学校以来のテストの世界で染み付いてしまった結果主義の考え方です。

本書では、「自分で考える」ことについての”苦手意識を取り除くための心理的・技術的なコツ”を紹介していきます。(以上「まえがき」より引用)

と記されています。

単にロジカル・シンキングの技術を伝えるのではなく、閉塞感のあるビジネスパーソンのマインドを変えたいという作者の思いは、日頃、小中学生の指導に接している経験から生じた危機感の現れとも言えましょう。

【本書の構成】
序章 “自分の頭で考える力”が「あらゆる問題」を解決してくれる

【第1部】 10歳でもわかる問題「解決」力
1時間目 “限られた情報”でも「仮説力」があれば問題は解決できる
2時間目 精度の高い”仮説を立てる手順”とは
3時間目 解決力の高い人の「論理的に考える」技術

【第2部】 10歳でもわかる問題「設定」力
4時間目 本当に「取り組むべき問題」が見つかれば”具体的な行動”ができる
5時間目 本質を見つけるためのフレームワーク

タイトルからいっても本書の比較対象となるのは、渡辺健介氏の 『世界一やさしい 問題解決の授業』 (以降「世界一」と記す)しかないでしょう。

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こちらは、2007年の刊行から刷りを重ね、既に累計40万部を超える大ベストセラーです(このジャンルでこの販売数は脅威的!)。

今回、新刊の「10歳でもわかる問題解決の授業」(以降「10歳」と記す)を読んだ際には、子どもの読者も想定した「世界一」の方が、かなり簡単な内容という印象をもったのですが、10年ぶりにあらためて「世界一」を読み直してみると、書かれている内容の難易度はほぼ同レベルでした。

自分が錯覚した理由は書籍の判型と装丁によるものでしょう。
「世界一」はフルカラーでイラストの量が多く、さらに全ページ数が117ページしかありません。一方、「10歳」は通常のビジネス書と同じ白黒の四六判で239ページ。

しかし、次の写真を見ていただくとわかるように、左側の「世界一」は、POPなイラストに目がいくものの、文字組みはかなり小さく、1ページ32文字×25行の800字。
それに対して右側の「10歳」はイラスト量は少ないものの1ページの文字数は38文字×14行の532字しかありません。
一冊の情報量としては、ほぼ同程度と言えます。

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むしろ、両誌の最大の違いは本文の構成にあります。

「世界一」はロジックツリーを中心に
  「問題の設定」→「解決法の適用」
という順序で構成されているのに対して、
「10歳」の構成は、仮説検証のサイクルを回していくことを前提にした上で
   「解決力の習得」→「問題の設定」
という順序で構成しています。

教科書的には「世界一」の順序が適切と考えられますが、実際には問題を解決することよりも正しい問題設定の方が難しいため、「10歳」では通常と逆の構成になっています。

既にベストセラーである「世界一」をお読みになられた方も多いと思いますが、この構成の違いに注意しながら両誌を読み比べてみるとロジカル・シンキングについての理解が深まります。

特に、職場(または家庭?)でロジカル・シンキングの手法を伝える際には大きなヒントが得られるはずです。

「10歳でもわかる」と「世界一」はどちらがわかりやすいのか? 書評『10歳でもわかる問題解決の授業』

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