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2017年9月14日 (木)

書評 『ワンストップ相続実務』 弁護士と税理士の間には

弁護士の長谷川裕雅先生から、新刊 『ワンストップ相続税務 弁護士と税理士 ~二つの異なる言語』
を献本いただきました。

20170914


長谷川先生は、ベストセラーとなった 『磯野家の相続』 シリーズの他にも相続税になじみのない方々を対象にした多くの作品を著わしています。
法人税や所得税と異なり、一般の方々が相続税に関係するのは人生で1、2度しか起きませんから、相続税関連の書籍の多くが初心者向けになるのは当然です。

その一方で、実際に相続案件を進めていくと一般論とは異なる様々なトラブルが生じます。
そこで本書では
「相続の代表的な専門家である弁護士と税理士、それぞれの業務である遺産分割と相続税申告でクロスする問題に焦点をあてます。専門分野が交錯し、専門家でも誤解しがちな点をワンストップで解決するにはどうしたらよいかをわかりやすく説明し、一般の方にも理解してもらうことが本書のねらいです。」(本書「はじめに」より引用)

通常、このような専門家領域間の論点は関与する専門家の知識不足が原因で生じることが多く、それは各専門家の自助努力によって解決するしかありません。
しかし、知識不足だけが原因ではなく、各士業の制度上の違いから生じてしまう相違点も存在します。

税理士は「独立した公正な立場において」「納税義務の適正な実現」を使命としているのに対して(税理士法第1条)、弁護士は「当事者その他関係人の依頼」によって「法律事務を行うことを職務」 としています。(弁護士法 第3条)

その結果、税理士が「納税義務の適正な実現という公益的使命も同時に負っている」のに対して「弁護士のほうが依頼者のためにギリギリのところまで寄り添う場面が多い」(本書205ページ)というように、意見の相違が避けられない局面もあるのです。

本書の第2編では、この「立場の違い」だけではなく、「依頼者の違い」「求められるものの違い」「時間制限の有無の違い」といった視点から、両者の相違点を踏み込んで解説しています。
依頼者としては、「自分がわからないことなんだから専門家に頼んでいるのに!」と思われるのも当然ですが、依頼者の方が本書を一度お読みいただければ無用なトラブルを避けることができるはずです。

さらに、本書は、相続人になられた方が購入するだけではなく、税理士、弁護士の方々が読まれても依頼者の誤解を解く際に役立つ多くの知識が得られるでしょう。

<追記>
ちなみに、長谷川先生の前作は『不倫の教科書 既婚男女の危機管理術』
ですが、昨今、話題になっている政治家や芸能人の皆さんも、この書籍を事前に読んでいれば、このような悲劇は生まれなかったのではなかったのかと悔やまれます。

201704212

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