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2016年6月

2016年6月30日 (木)

【書評】「金融パーソンが押さえておくべき 相続・事業承継のツボ」

TAO税理士法人の金谷亮先生から、新刊 『金融パーソンが押さえておくべき 相続・事業承継のツボ』 (以降「承継のツボ」)を献本いただきました。

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相続税の基礎控除額引き下げを契機に、業界の内外で相続ビジネスが盛り上がっています。
その中でも、相続・事業承継といった事案にもっとも近いところで活動されているのが金融機関の営業担当者の方々でしょう。

そこで、本書は、金融機関の営業担当者を対象に、相続・事業承継対策のポイントとなる「ツボ」を解説するものです。

全体は4章で構成されています。
第1章 つぼのツボ
第2章 資産承継のツボ
第3章 提案発想のツボ
第4章 提案実践のツボ
(巻末資料) 平成28年度税制改正のツボ

まず、第1章で総論と本書の利用法、第2章で相続・事業承継に関する基本知識を解説します。
続く第3章は、顧客のニーズごとに金融機関が提案できる個別手法の解説、
最後の第4章は具体的な事例を取り上げています。

実は、金融関係者をターゲットにした相続の指南書は、既に結構な種類が刊行されています。
しかし、この手の書籍は、新しい税制改正がセールストークの肝になりますから、最新の税制改正を織り込んだ書籍を使わなければ意味がありません。
その点において本書が類書に対して決定的なアドバンテージを有しているのは明らかです。

そこで今回は、資産税を専門に活動されている税理士法人タクトコンサルティングが、税理士向けに執筆した「税理士なら知っておきたい 事業承継対策の法務・税務Q&A」 (以降「承継QA」)

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を比較対象とし、読者対象による編集手法の違いをみていきましょう。

会計・税務書籍において専門家向けと一般読者向けの最大の違いは、 
  ・根拠条文の併記
  ・仕訳の有無

の2点になります。

専門家を対象とする「承継QA」では、本文中に根拠条文が併記されているのに対して、「承継のツボ」には根拠条文は一切でてきません。
同様に、「承継QA」には、本文中のところどころで仕訳が使われていますが、「承継のツボ」には仕訳はまったく出てきません。

次に、個別論点ごとの記述内容を比較してみましょう。
事業承継の基本論点となる「非上場株式の評価方法」を見ていきます。
非上場株式の評価にあたっては、
  論点1 3種類の評価方法
  論点2  同族株主か否か
   論点3 会社規模による適用分類
という3つの論点が存在します。

当然のことながら、専門家を対象とする「承継QA」では、各項目ごとに根拠条文を織り交ぜながら詳細な説明がなされており、延べ50ページに渡って説明しています。
専門家であっても50ページの文章を読みこなすのは難しいため、主要論点を個別にQ&Aという形で抽出することで読みやすさにも配慮しています。

一方、「承継のツボ」では、論点1については各計算方式ごとの説明、論点3については評価明細書を用いた説明があるものの、論点2の同族株主については、「同族株主」という単語自体、使われておらず

「中小企業の多くは身近な親族で保有しているケースがほとんどです。オーナー経営者や後継者の保有する株式の評価は原則的な評価方法が適用される、というイメージが大切です」(「承継のツボ」p65)

という記述にとどめています。
中途半端に「同族株主」の論点に言及せずに、読者の理解度を優先した割切りが感じられます。

定義類の省略を補うために「よくある実務での勘違い」という項を設け、実務上の留意点については、別途、補足する工夫もされています。

また、「承継のツボ」では、アドバイスの対象となる資産家を「キャッシュ・リッチ」「土地持ち」「実業家」の3種類に区分し、各種法の説明ごとに適用対象となる資産家の種類をイラストを用いて表示しています。

一般読者向けの書籍においては、詳細や正確さを追うのではなく、このような「読みやすさ」への配慮が大切であり、その点において「承継のツボ」は、よく考えて編集されています。

自分も専門家のため、通常、専門書を読んでいても特段の違和感はないのですが、一般向けと専門家向けの2冊をあらためて読み比べてみると両者の違いは歴然です。
やはり、専門書を一般の方が読みこなすのは、かなり難しい作業になるため「承継のツボ」のように、一般読者と専門知識の橋渡しをする書籍の存在は貴重でありましょう。

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2016年6月22日 (水)

『無形資産の評価実務-M&A会計における評価とPPA業務―』の公表

昨日、日本公認会計士協会から、経営研究調査会 研究報告代第57号 「無形資産の評価実務-M&A会計における評価とPPA業務-」が公表されました。

http://www.hp.jicpa.or.jp/specialized_field/20160621c80.html

この無形資産の評価は、現代会計における重要課題のひとつであり、現場で作業にあたられている方々も暗中模索しているのが現状です。

なぜ、無形資産の評価が重要課題になるのかといえば、無形資産と「のれん」の区分によって損益計算書への影響が大きく異なるため、以下のような局面に遭遇し得るためです。

下記のような状況の場合、無形資産の評価に際しては注意が必要である。
① M&Aが不正の手口として利用されていると推測される。
② M&Aに際して紛争の予防・回避の配慮がされず、交渉が公正に行われず恣意的に決定されていると判断される。
③ 入手した企業価値評価報告書や合意された買収価格を見ても、その価格が極めて過大又は過少と判断される。
 (当研究報告 13ページより)

会計業務に携わられている方でも、無形資産の評価を行う場面は稀かもしれませんが、今回、新しいガイドラインが公表されたことは覚えておくとよいでしょう。
(72ページの大作ですから、読みこなすのはキツイです)

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