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2015年1月

2015年1月28日 (水)

新刊 「マンガでやさしくわかる決算書」が発売されます!

今週末の1月31日に新刊 「マンガでやさしくわかる決算書」  が発売されます。

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近年、ビジネス書籍のコミック化の波は、留まるところを知りません。

先日、郊外ターミナル駅の書店をのぞいた際に、ビジネス書の平置きのほとんどがコミック化書籍で占められているのを見て驚きました。

ここ数年の女性月刊誌の豪華付録化の結果、書店の女性雑誌の棚が日用雑貨売場に変わってしまったように、ビジネス書の棚がマンガの棚に統合されてしまうのも時間の問題かもしれません。

この流れは、今後、益々加速することが予想されるため、私自身も、一度、その製作過程を体験してみたいと考え、今回の執筆に至った次第です。

ビジネス系コミックの中でも日本能率協会マネジメント(JMAM)さんの「マンガでやさしくわかる」シリーズは、マンガと文章の割合が半分づつで構成されており、ビジネス書として読者に理解してもらいたい項目をしっっかり伝えられるのも判断の基準となりました。

(私が提唱している『B/S似顔絵分析法』は、もともとマンガのようなものなので、コミックとの親和性も高いと思われます。)

JMAMさんのシリーズは、現在、アドラー人気に乗って 「マンガでやさしくわかるアドラー心理学」 が絶好調で既に10万部を突破しています。
拙書も、この勢いをお借りしたいものです。


かつて、山下達郎は、音楽業界がアナログレコーディングからデジタルレコーディングへ移行する過渡期のアルバム 「POKET MUSIC」 の録音にあたり、将来を見据え、苦労しながらも敢えてデジタルレコーディングに踏み切りました。

後日のインタビューで、この時の苦労が、後の録音環境の変化に対応する際に役立ったと語っています。
http://shyglance.web.fc2.com/interview/pg592.html

果たして、今回の私の経験も、将来のビジネス書の環境で生きていくのでしょうか?

ちなみに、今作は16冊目(海外翻訳版を除く)の著作になるのですが、これで専門書、ビジネス書、一般書、文庫、マンガの領域を制覇してきましたので、後に残るは新書、写真集、成人誌の3領域(?)となりました。
全領域制覇を目指して邁進する所存ですので、皆様のご協力をお願いいたします。

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2015年1月27日 (火)

軟派な起業と硬派な起業【書評】起業のファイナンス増補改訂版

isologue で有名な磯崎哲也氏が、 「起業のファイナンス 増補改訂版」  (以降「評書」)を刊行しました。

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前作 「起業のファイナンス」 は2010年10月に刊行されましたが、3万部を超える販売量は、この価格帯の実務書としては脅威的な数字です。

既に前作をお持ちの方は、改訂版を購入するか否かで逡巡されていると思います。
そこで、前作との違いをかいつまんでご紹介しておきましょう。

今回の改訂版では、新たに第9章「ベンチャーのコーポレートガバナンス」が追加されており、会社の機関設計のあり方について解説しています。
会社法導入によって株式会社の機関設計の自由度は格段に上がったのですが、反対に、自社にとって最適な仕組みは何なのか模索されている会社も多いと思います。

「取締役会を置くか?」
「監査役会を置くか?」 等々

これは、ベンチャー企業に限らず一般の中堅企業でも同様の悩みを抱えている会社が多いため、会社法改正にあわせたタイムリーな改訂になっています。

今回、評書と比較したい一冊はPaypalの創業者のひとり、ピーター・ティールの「ゼロ ・トゥ・ワン」です。

2014年のビジネス書ベストセラーですから、既にお読みになった方も多いでしょう。
(先日、旬刊経理情報に執筆した 「2014年のお勧め書籍」 で取り上げたかったのですが、ガチ過ぎて他の評者とダブってしまうだろうと思い紹介しませんでした)

ベンチャー企業と聞くと

「同級生が大企業に勤めるなか、敢えてベンチャーを目指し、IPOに大成功!お金が入ってウッハウハ。おまけに女の子にモッテモテ」

というような成功談とともに、ある種のいかがわしさを感じる方がいらっしゃるでしょう。

実際、ベンチャー経営者の著わすビジネス書は、スタートアップ時の壮絶な苦労の後に迎えた成功というストーリのものが多く、このようなベンチャー企業の陽の部分を、あえて「軟派な起業」と呼ぶとしましょう。

これは、悪い意味ではなく、起業に熱狂や情熱は不可欠ですし、人々を惹きつけるためにこのような要素も大切です。
しかし、メディアを介して報じられるベンチャー企業は、この「軟派」な部分だけが強調されている嫌いが有ります。

私のような(オヤジ世代の)専門家にとっては、若者の間に、このような「軟派」なイメージだけが広がることに危うさを感じます。

その点、本日取り上げる両書はベンチャーが持つ熱狂に対して、冷静に距離を置きつつも、それでもベンチャー・スピリットが大切なんだと説いています。
それが、端的に現れているのが以下の文章です

「(ドットコム・バブルの反省を踏まえた現代における起業の考え方に対して)ただし、すべてを逆にすればうまくいくというわけでもない。(中略)何よりの逆張りは、大勢の意見に反対することではなく、自分の頭で考えることだ」(ゼロ・トゥ・ワン p42)

「(「ベンチャーで社会は変わるのか」という項で) 「他人のせいで」という発想から卒業して、「『自分が』何をするか?」、というマインドを広めることこそが、今の日本を変える鍵であるはずです。」(評書、p369)

ゼロ・トゥ・ワンは起業家向けのビジネス書ですから、精神論が前面にでるのは当然ですが、評書は起業時のファイナンス手法を解説する実務書でありながら、注釈を含めて起業における「スピリッツ」の重要性を説いています。

両書のテーマは現代社会の閉塞感を打開するための起業の必要性という点で共通しており、それは、熱狂だけを頼りにしたものではないことが繰り返し延べられています。
これらは「軟派な起業」論に対して、地に足の着いた「硬派な起業」論といえるでしょう。

どちらも、起業を志す人に向けた書籍ですが、起業を考えていない方が読まれても、自分も何か始めないといけないなあと「やる気」の湧く一冊になっています。

【以降は非承諾広告であります】
ちなみに評書の巻末に参考書籍が載っているのですが、そちらで拙書
『早い話、会計なんてこれだけですよ!』をご推薦いただきました。



評書を読まれて起業への興味が湧いてきた方は、その応用編といえる「起業のエクイティ・ファイナンス」へ読み進まれるのがよいでしょう。

評書が、若干、難しく感じられた方は、拙書『早い話、会計なんてこれだけですよ』をお読みいただいて、会計の基本を身に付けることを(強く)お勧めします。

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2015年1月 8日 (木)

キャッシュフロー計算書の略称は C/FかC/Sか これが答えだ!

新年あけましておめでとうございます。本年もよろしくお願いいたします。

年明け最初のブログは、ご好評いただいております(?) 「これが答えだ!」シリーズの第3弾をお届けします。

本日は、
「キャッシュフロー計算書の略称はC/FかC/Sか?」
この問題に決着をつけたいと思います。
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「そんなのC/Fに決まってるだろ」

と思われた方もいらっしゃるでしょうが、実は、それほど単純な問題ではありません。
今回の論点は、会計書籍の執筆時だけに発生する特殊な問題を包含するため、まず最初に、キャッシュフロー計算書の略称使用時に考慮すべき論点についてご説明していきます。
(なお、本日の論点は、あくまでも日本語における略称の取扱いについて議論しています。
そもそも英語の場合、損益計算書はIncome Statementと呼ばれるためP/Lという略称は一般的ではありません。また、後述しますが、日本語の場合には縦書という固有の問題も考慮する必要があります)

論点1 略称の必要性

書籍執筆時に、貸借対照表や損益計算書については、B/S、P/Lと略すのが一般的ですが、キャッシュフロー計算書については略称を使用しないというアプローチも存在します。

この時に、キャッシュフロー計算書に略称がないと、他の2表とのバランスが崩れるため、文脈上、どうしても略称が必要になる局面が生じるのです。

例えば、
「P/Lの当期純利益はB/S、キャッシュ・フロー計算書と関連している」
といった文章です。
これは、
「P/Lの当期純利益はB/S、C/Fと関連している」
と書いたほうがスマートです。
本文以上に、挿絵やイラストの場合、面積による制約が大きいためB/S、P/Lという略称を使わざるを得ず、キャッシュフロー計算書に略称がないと図が描けないケースもあります。

論点2 決算書とキャッシュフローの重複

そこで、キャッシュフロー計算書の略称として「C/F」を用いると、書籍執筆の過程で別の問題が派生します。

キャッシュフロー計算書自体の説明をする際に、その内訳項目である「営業活動によるキャッシュフロー」「投資活動によるキャッシュフロー」「財務活動によるキャッシュフロー」という3区分に言及しないわけにはいきません。
また、文中に「キャッシュフロー」という単語が頻繁に現れるため、冗長さを避けるために略称を使いたくなります。

例えば、
「最終的な現金増加額は営業活動によるキャッシュフロー、投資活動によるキャッシュフロー、財務活動によるキャッシュフローの合計額になる」
といった文章です。

この時、「キャッシュフロー」という名詞の略称に「CF」を使ってしまうと、決算書の略称と重複が生じてしまうのです。

作者が、キャッシュフロー計算書の略称にC/Sを用いている場合の理由のほとんどは、この論点をクリアするためと考えられます。

論点3 「/」(スラッシュ)の有無

P/LやB/Sの略称には、通常、「/」(スラッシュ)が入るため、決算書の略称には「/」を入れ、キャッシュフローの略称には「/」を入れないという方法で重複を回避する方法もあります。

キャッシュフロー計算書 = C/F
営業活動によるキャッシュフロー = 営業活動によるCF

一方、日本語の書籍には、縦書と横書という2種類の様式が存在します。
専門的な会計書籍は、通常、横書で書かれていますが、ビジネス書籍の主流は現在でも縦書です。
また、新書や文庫といった判型の制約から縦書が強制される場合もあります。
(拙書「借金を返すと儲かるのか?」は、単行本で刊行した際には横書でしたが、文庫化する際に縦書に直しています)

縦書の場合、半角文字を使ったり、カーニング(文字間の感覚を調整すること)ができないため、略称に「/」を使うと間延びした印象になります。
それを避けるため、P/LやB/Sの略称から「/」を除くケースもあるため、キャッシュフローの略称の重複を「/」の有無で対応するのが難しい場合も生じます。

事例研究

次に、我が国における主要な会計書籍で、どのような略称が使われているかをみていきましょう。

パターン1 C/F

『財務会計』 広瀬義州 中央経済社 (横書) 
(本文中は省略せずに「キャッシュ・フロー計算書」と記述しているが、仕訳例でC/Fという略称を使用)

『決算書を読みこなして 経営分析ができる本』 高下淳子 日本実業出版 (横書)
(キャッシュ・フロー計算書もキャッシュ・フローのいずれもC/Fを使用)

『連結財務諸表等におけるキャッシュ・フロー計算書の作成に関する実務指針』(会計制度委員会報告第8号)
(本文中は省略せずに「キャッシュ・フロー計算書」と記述しているが、仕訳例で略称C/Fを使用)


パターン2 C/S

『財務3表一体理解法』 國貞克則 朝日新書(縦書) 
(縦書のため略称は「CS」本文中で「営業キャッシュフロー(営業CF)」と略している)

パターン3 略称は使用せず

『「1秒!」で財務諸表を読む方法』 小宮一慶 東洋経済新報社 (縦書)
(「キャッシュフロー計算書」で略称は使用せず)

『決算書はここだけ読もう』 矢島雅己 弘文堂(横書)
(決算書もキャッシュフローも略さずキャッシュフロー)

『財務会計講義 第14版』 桜井久勝 中央経済社 (横書)
(B/SとP/Lの略称は記載されているが、本文中は「キャッシュ・フロー計算書」と記述。ただし、「連結キャッシュ・フロー計算書等の作成基準を「CF基準」と略記を使用)

『新版 財務会計論 第4版』 新井清光 中央経済社 (横書)
(本文中ではB/SもP/Lも略称の使用はない)

事例的には、略称としてC/Fを使用しているケースが多いようです。また、専門書においては略称自体を用いないケースが一般的です。

上記項目を考慮した結果、当ブログにおける結論は以下のとおりです。

結論 

横書の場合 キャッシュフロー計算書はC/S
キャッシュフローは  CF (例:営業活動によるCF)

縦書きの場合 キャッシュフロー計算書はCS
キャッシュフローは   CF

理由

書籍執筆時に、最終の校正段階で文字数調整が必要になる局面があります。
そのため、当初の原稿中では略称を使っていなくても、事後的に略称を使わざるを得ないケースが生じ得ます。

執筆を進めるにあたって「キャッシュフロー」という名詞に対して「CF」という略称を使う自由度を確保するため、キャッシュフロー計算書の略称には「C/S」を使用するのが無難でしょう。

ご意見、ご感想をお待ちしています。

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