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2014年7月

2014年7月30日 (水)

IT委員会研究報告 「重要な虚偽表示リスクと全般統制の評価」(公開草案)の公表

昨日、7月29日付で、日本公認会計士協会(IT委員会)から、IT委員会研究報告 「重要な虚偽表示リスクと全般統制の評価」の公開草案が公表されました。
http://www.hp.jicpa.or.jp/specialized_field/post_1757.html

これは、2011年末に公表されたIT委員会実務指針第6号 「ITを利用した情報システムに関する重要な虚偽表示リスクの識別と評価及び評価したリスクに対応する監査人の手続について」 に対応し、IT委員会研究報告第35号「ITに係る内部統制の枠組み~自動化された業務処理統制等と全般統制~」の見直しを行ったものです。

従来の研究報告35号は、全般統制と業務処理統制の両方に言及していましたが、業務処理統制については実務指針第6号(及び、そのQ&A )に委ね、全般統制を中心にまとめ直されています。

なお、公開草案への意見募集期日は平成26年8月28日です。

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2014年7月25日 (金)

電卓はカシオかシャープか? これが答えだ!

8月の会計士試験(論文)及び税理士試験も近づき、受験生の方々は追い込みの時期でしょう。

会計士試験及び税理士試験受験生におすすめの電卓といえばカシオとシャープの2社にしぼられますが、最終的にどちらがおすすめかという論点について、今回は結論を出したいと思います。

【当ブログの結論】 受験生ならばカシオの電卓を使用すべき
(記事後半に追記があります 2014.10.11)

「慣れてしまえばどっちも同じ」という意見に、当方は与しません。
以下に、その理由を述べます。

カシオとシャープの電卓の違いは、定数計算における入力方法にあります。

定数計算とは、一定の決まった数字の計算を繰り返す際に入力を省略する機能です。
シャープ(及びカシオ以外のほとんどのメーカー)の場合、定数計算の対象は入力順で自動的に決定し、あとは「=(イコールキー)」を繰り返し押していきます

SHARPの電卓の定数計算方法
http://cs.sharp.co.jp/faq/qa?qid=117620

それに対してカシオの電卓では、+、―、×、÷の四則演算期キーを2度押すことによって定数を決定し、それから「=」を繰り返し押していきます。

CASIOの電卓の定数計算方法
http://casio.jp/dentaku/info/chair/upper03/

定数計算が効果を発揮するのは除算で使用する時なので、百分比を算出する事例で両者のキー操作の違いをみてみましょう。

「定数計算における電卓入力の違い (シャープ VS カシオ)」
201407251

この事例のキー入力だけを見れは、シャープの方が1操作少ないので効率的に感じるかもしれません。しかし、実務においてはカシオの方が圧倒的に便利です。

なぜなら、実務で除算の定数計算を行う際に分母の数が事前に与えられるケースは稀だからです。
分母の数を一旦、計算してから除算の定数計算を行う場合、シャープの電卓はメモリー機能を使わざるを得ませんが後段の追記をご確認ください)、カシオならば、メモリーを使わなくても除算の定数計算ができます

先ほどのクラスの人数の事例を使って説明しましょう。
事例では3組の合計数150人が最初から与えられていましたが、この合計数が提示されていなかったとします。

まず、3組の合計人数を計算します。
45 + 75 + 30 = 150

シャープの場合、この合計の150人を計算してから、そのまま定数計算に入ることができません。そこで、この150人という計算結果をメモリーに記録してから、
45 ÷ MR = 0.3
という手順になります。

それに対して、カシオの場合は、先ほどの150の結果が出たところで
÷ ÷ 45 = 0.3
というように、メモリーを使わずに計算が続けられます。

一方、シャープ派の方々からは、
「そのような差があっても、メモリー機能を使えば解決できるのだから問題ないだろう」
という反論があろうかと思います。

しかし、計算の正確性から、メモリー機能の使用は極力避けるべきです。
それは、電卓のメモリーキーの設定が不十分だからです。

現在の電卓に設けられているメモリーキーは4種類
「MC」 メモリー・クリア、メモリー値をクリアする
「MR」 メモリー・リコール、メモリー値を表示する
「M+」 メモリー・プラス、計算結果をメモリーに加算する
「M-」 メモリー・マイナス、計算結果をメモリーから減算する

本来ならば、計算結果とメモリーを置き換える「Replace Memory」のキーを設けるべきなのですが、その機能は省略され「M+」キーで代替する仕様になっています。

そのため、先ほどの事例のように計算値をメモリー値に置き換える際には、その前に「MC」キー(または「ON」キー)でメモリーをクリアする手続きが必須となり、この手順を失念することで計算ミスが生じるのです。
さらに、通常の電卓は「MR」キーでメモリー値を呼び出すまで、メモリー値を目視で確認できません。

つまり、カシオとシャープの電卓の差を、単に定数計算の手順の違いと捉えるのは本質を見誤っています

カシオの電卓は「計算結果をメモリーを使わずに除算の分母に組込める」というシャープの電卓にはない機能を有していると捉えるべきなのです。
この機能は、同じ数字が連続する定数計算だけではなく、除算全般で使えるため使用頻度が高まります。


【追記 2014.10.11】
読者のタカノ氏からのコメントで、シャープの電卓も、下記方法を用いれば除算の分母を固定して按分計算ができることを教えていただきました。

45 + 75 + 30 ÷ =
45 =
75 =
30 =

シャープの電卓には【÷】【=】のボタン操作の逆数計算という機能があり、この機能で表示数の逆数を算出し、それを乗じることで前述した按分計算をメモリーを使わずに計算できるそうです。
(シャープ電卓の取扱説明書)
http://www.sharp.co.jp/support/e_calc/mndl_list.html

したがいまして、当初記載したシャープとカシオ電卓の機能の違いは誤認でしたので、両者の優越を判断する根拠にはなり得ません。

ここで、あらためて、機能による違いはないことを前提として当ブログの結論を出しますと、やはりカシオの電卓をおすすめします。

カシオとシャープの定数計算の設計思考には根本的な違いがあります。
それは、シャープの定数計算は「入力の順序に依拠」しているのに対して、カシオの定数計算は「順序にかかわらず任意」に開始できるようになっています。
実務において定数計算を行う局面では、任意のタイミング(四則演算キーを2度押す)で定数計算に入れる方が重宝するため、私としてはカシオ方式をおすすめする次第です。

(主観による要素が強い結論になってしまいましたが、私的なブログということでご容赦ください。)

【追記 終わり】

ここまで説明すると、次に、このような疑問が浮かぶのではないでしょうか。
「カシオ方式が優れていたとしても、それならば、なぜ、現在、発売されている電卓のほとんどがシャープ方式の定数計算機能を採用しているのか?」

カシオ方式の方が機能的に有利なことが明らかであっても、それは「使いこなせるのならば」という条件付きであり、ほとんどの電卓購入者は取扱説明書を読まないため、感覚的にわかりやすいシャープ方式が一般化(つまりモジュール化)したものと推察されます。
これは、工業製品を製造するメーカーとしては妥当な判断です。

しかし、会計士、税理士の受験生の立場から見れば、カシオの電卓に慣れてしまえば、他の電卓にはない機能が手に入り、他の受験生と差別化できる ことを意味します。

電卓の使い勝手は慣れによる要素が大きいのが確かですが、上記の理由から、まず最初にカシオの電卓を使うことをおすすめします

一方、受験生ではなく、経理実務者の立場にたつと、異なる点が気になります。
それは、シャープとカシオのキー配置の違いです。
シャープの電卓は「0」のキーが「1」の真下に位置しています。

シャープの電卓のキー配置
201407282

それに対して、カシオの電卓は「0」のキーが「1」のキーの左側、「AC」キーの下に位置しています。

カシオの電卓のキー配置
201407283

つまり、シャープのキー配置は、パソコンに付いているテンキーと同じ配置になっているのです。

会計士は社外で仕事をすることが多いので基本的にノートパソコン(+付属テンキー)を使用しますが、税務を中心とした会計事務所では、現在でもデスクトップにテンキー付きのキーボードを利用しているところが多いと思います。そこで、日常業務で使うテンキーと同じ配置の方が望ましいというニーズが発生します。

また、会計士試験の科目と異なり、税理士試験では配賦計算や百分比を算出することが少ないため(税法で按分計算がでてくるのは相続税ぐらい)、前述した定数計算の影響が軽減されます。
そこで、キー配置の使いやすさからシャープの電卓という選択肢もあるでしょう。
(ただし、カシオの電卓でも機種によってシャープと同じキー配置のものがありますから、そちらを利用する手もあります。)

【2017/8/2 追記】
コメント欄でノリ氏に御指摘いただきましたが、「0」の位置はメーカーによる違いというよりも、機種による違いと考えた方が適切でしょう。
【追記 終わり】

ということで、当ブログの結論をまとめますと、

除算の分母をメモリーを使用せずに置き換えられるカシオの電卓の方が機能的に優れている

任意のタイミングで定数計算を始められるカシオの電卓の方が使い勝手が良い 
(修正加筆 2014.10.11)

 

会計士試験(及び業務)では除算の定数計算を行う機会が多いので、カシオに慣れていた方が有利である。
(原価計算の配賦、部門別会計における経費按分、財務比率の百分比計算等)


ただし、業務でテンキー付きのキーボードを使用している場合には、電卓をテンキー配列と合わせておくのも妥当な判断である。

シャープ派の方々にとっては、多くの反論があろうかと思います。
私自身、シャープの電卓を使ったことがないため、見落としている機能(パーセント・キーなど)があると思いますので、お気づきの点があればご指摘ください。

【追記】
受験生を悩ませる、もうひとつの疑問 
「電卓は右手で打つのか左手で打つのか?」
についても、新しいエントリー を追加しました。
こちらも、ご参照ください。

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2014年7月14日 (月)

台湾語版が、書店ランキングのベスト10入り!

5月末に台湾で刊行した 「早い話、会計なんてこれだけですよ!」 の販売状況の視察に台湾へ行ってきました。

台北駅近くにある重慶南路沿いは、多くの書店が集まる書店街になっています。

早速、書店をのぞいていきますと、発売してからまだ1ヵ月ということもあり、ほとんどの書店に拙書が並べられておりました。

さらに、重慶南路書店街のほぼ中間に位置する黎明文化書店のランキングを見てみますと・・・・
なんと、売上ランキングの第10位にランクイン!

201407131


(この書店のランキングは「文学類」と「非文学類」の2ジャンルに分けられており、「非文学類」の第10位でした)

私の捏造(?)ではない証拠として、書店員さんにも写真に入ってもらいました(お仕事中に、ご協力いただきありがとうございます)。

201407142


台湾には再販制度がないため書籍の値引販売が可能であり、値引率も書籍の種類や書店によって様々です。
ビジネス書の多くには「79折」というシールが貼られていて、これは定価の79%、つまり21%引きを意味しています。

以前、韓国語版を刊行した際に、現地の編集者に韓国の書店事情についてうかがいましたが、韓国ではネット書店の台頭により書店の寡占化が進み、ソウル市内の中小規模書店はほぼ絶滅したとのこと。

一方、台湾では、まだ多くの中小書店が営業しており韓国ほど寡占化は進んでいません。
重慶南路書店街以外にも、日本人観光客の多い中山駅の地下には中山地下書街があり、20から30件の書店が軒を並べています。

ただし、これらの中小書店は、特定のジャンルを中心とした専門書店がほとんどです。
特に重慶南路書店街では、入試や資格試験向けの参考書を中心とした書店が多く見受けられました。

台湾の大型書店としては誠品書店が有名です。
誠品書店は、書店とは言うものの品ぞろえが個性的で、5から6階のフロアのうち書籍は2フロア程度、、その他のフロにアは文具や雑貨、フードコートが入っています。
日本で例えれば、ロフトや東急ハンズの店舗の2フロアを書籍に置き換えたような構成になっています。

中小店、大型店ともに生き残りをかけた戦いが繰りひろげられています。

週末を利用した駆け足の台湾訪問でしたが、店舗別のランキングとはいえ、ベスト10入りは嬉しい誤算でした。

この勢いで、世界制覇目指して頑張りたいと思います!

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2014年7月 4日 (金)

【書評】 「フォロワー」のための競争戦略

日本実業出版さんから、 リーダーやニッチャーでなくても勝ち残る 「フォロワー」のための競争戦略」 を献本いただきました。

20140704_2


先日の土井英司氏のメルマガ 「ビジネスブックマラソン」 でも取り上げられていましたので、興味を持たれていた方もいらっしゃるでしょう。

作者の手塚貞治氏は日本総合研究所に所属されており、日本実業出版社の 『この1冊でわかる 経営戦略の基本』 も監修されています。

固めの装丁とタイトルから、学術的な戦略本のイメージを持たれるかもしれません。

しかし、作者が想定している「フォロワー」 企業は、
「一言で言えば「普通の企業」のことです」(「はじめに」より)。

本書の目的についても
「「普通の企業」がゴーイングコンサーンとして持続的成長を続けることを第一義にとしています」 (「はじめに」より)
と述べられています。

一般の戦略論は、「リーダー」や「ニッチャー」といったトップ企業や先進企業を対象にしたものが多いのですが、本書は、世の中の大多数を占める
「フォロワー=普通の企業=その他大勢」
がとるべき戦略をテーマとしている点が他誌と異なります。

本書では、その方法論を 「リスクヘッジ競争戦略」 と呼び、具体的には以下の12種類の類型に整理しています。

【競争回避】
1同業集積 2提携棲み分け  3同業資産活用4 残存者利益獲得

【顧客ロイヤリティ】
 5 直接顧客密着 6 間接顧客浸透

【持たざる強み】
7 持続的ローコスト 8 情報仲介 

【ポートフォリオ】
9 顧客ポートフォリオ 10 ブランドポートフォリオ 11社員ポートフォリオ

【試行錯誤】
12 高速回転

どの章も、具体的な会社事例とともに解説されていますので、一般の方々も読みやすい編集になっています。

私が本書を読んでいて気になった点が2つあります。

ひとつは、12の戦略の中に「残存者利益獲得」が挙げられていますが、これは戦略の結果として、そのような状況が生じるのですから、敢えて12個の戦略に含める必要はないのではないでしょうか。
ただし、その点については作者も認識しているところであり、「安易にとるべき戦略ではありません」(p86)と注意を促しています。

もう1点は、「提携棲み分け戦略」の事例として、セブン&アイHDのヨークベニマルが挙げられている点です。
既にセブン&アイHDの100%子会社になった現在、グループ内で地域別の棲み分けをするのは当然であり、これはヨークベニマルの戦略ではなくセブン&アイHD側の戦略としてとらえるべきではないでしょうか。
むしろ、ライフとヤオコー(こちらは、本書内では戦略5 直接顧客密接戦略の事例として取り上げられています)の提携,、またはイオングループの茨城県域のスーパー カスミの方が「提携棲み分け戦略」の事例に近いと思いました。

最後に、繰り返しになりますが、題名をご覧になられて「俺はフォロワーじゃないから」と思われた方も、得るところの多い1冊です。

読まず嫌い(?)は損をしますので、ご注意ください。

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