« 2013年12月 | トップページ | 2014年2月 »

2014年1月

2014年1月24日 (金)

書評『社長のための 1年で売上が急上昇する「黒字シート」』

日本実業出版社さんから、武田雄治先生の新刊  『社長のための 1年で売上が急上昇する「黒字シート」』 を献本していただきました。

本書は、2012年に刊行された 『社長のための 1年で会社を黒字にする方法』 (書評はこちら)の続編にあたります。

前作は、会計記録の利用によるコスト削減を中心にしたものでしたが、今回は収益拡大という経営の根幹テーマに挑戦しています。

本書では、収益拡大のために 「ビジネスシナリオMAP」「ビジネスモデルMAP」 という手法が紹介されています。

まず、「ビジネスシナリオMAP」によって自社の経営環境を可視化し、「存在意義」と「ドメイン」を定義します。
次に、ビジネスモデルの要素を中小企業向けに「顧客(最終及び直接)」「商品価値」「価値の提供方法(チャネル)」の3つに単純化した「ビジネスモデルMAP」を使って儲けの仕組みを整理した後に、具体的な活動に落とし込んでいきます。

本書を読んで思い浮かんだのは、戦略思考を中小企業向けにアレンジして大ヒットにつながった神田昌典氏の 『60分間企業ダントツ化プロジェクト』 でした。

『60分間』で提案しているスター戦略構築法では、「商品、顧客、競合、収益シミュレーション、タイミング、メッセージ」の要素ごとにペイオフ・マトリクスを作っていくため、マトリクス間の関係性や整合性がわかりづらい面がありました。

しかし、本書で提案されているマップは、各要素を1枚にまとめているため関係性がわかりやすくなっています。特に、中小企業経営者を対象にした場合には、本書レベルまでの単純化した方が実行性が高いでしょう。

『60分間』の要諦は、戦略立案の過程に社員を巻き込むことで行動につなげていく点にありました。
本書は「社長のための」と銘打たれているように社長の行動にフォーカスしており、社員による戦略の実行については、最終節のアクション・マネジメントでの解説に限定されています。
この実行フェーズについては、次回作の予告編ということでしょうか?

マイケル・ポーターの著作を読み過ぎたあまり、混乱してきた経営者の頭の中を整理するのに最適な一冊になっています。

【追記】
大事な、発売日が洩れていました。明日、1月25日より発売開始です!

このエントリーをはてなブックマークに追加

| | コメント (0) | トラックバック (1)

2014年1月23日 (木)

書評「ファイブ・ウェイ・ポジショニング戦略」と「いま、世界で読まれている105冊」

イースト・プレスさんから、 「競争優位を実現する ファイブ・ウェイ・ポジショニング戦略」 を献本していただきました。
私も、気になっていた本でしたので、絶妙なタイミングで助かりました。

なぜ、この本が気になっていたかと申しますと、それは本書の帯に使われている星野リゾート社長の星野佳路氏と関係します。

星野氏は多くの書籍を著していますが、その中でも、星野氏が経営を行う際に参考になった基本書を紹介した  「星野リゾートの教科書」 (日経BP社)はベストセラーになっています。

この本では、経営やマーケティングの定番書を中心に紹介されているのですが、その中に、一冊だけ邦訳されていない原著がありました。

それが  "The Myth Of Excellence " であり、その本を邦訳したのが今回、紹介する「ファイブ・ウェイ・ポジショニング戦略」です。
(手に入りづらいと読みたくなるもので、邦訳版を手掛けたくなる編集者のお気持ちがよくわかります)

星野氏の著作で使われていた、原著のハードカバー版の表紙をご覧になれば、思い出される方も多いのではないでしょうか。
201401232

原題中の MYTH(俗説)とは、「企業はすべてにおいて一流を目指さなくてはいけない」という思い込みであり、そのような思い込みが企業に誤った選択をさせています。

本書が説く、ファイブ・ウェイ・ポジショニングは、現代企業における共通の悩みである商品のコモディティ化を防ぐための方法論です。

まず、経営要素を 価格・サービス・アクセス・経験価値・商品 の5つの要素に分類し、さらに各要素における自社のポジションを3つのレベル レベルⅠ(業界水準)、レベルⅡ(差別化)、レベルⅢ(市場支配) に区分します。

コモディティ化に陥らないためには、 「1つの要素で市場支配を、別の1つで差別化を、残り3つで業界水準をとればいい」 と説き、資源を有効に活用するためにすべての要素のレベルを上げるべきではないと主張しています。

星野氏自身による後書きでは、星野リゾートでは、経験価値を第1位の要素とし、アクセスで差別化をはかる戦略を選択した旨が記されています。

経営資源を要素に分けるだけではなく、そこに重み付けのルールを示した点に、本書のオリジナリティがあります。
米国ベストセラーの例に洩れず、多くの事例を取り混ぜながら解説されています。

ジャンルが一気に変わってしまいますが、「星野リゾートの教科書」以上に、「手に入らないので読みたくなる本」 ばかりが紹介されている書籍があります。

その書籍は、 「いま、世界で読まれている105冊 2013」 (テン・ブックス)です。

この本は、各国言語の翻訳者や研究者延べ83名が、63カ国の現地語で書かれた未翻訳書籍を紹介するものです。

英語圏の書籍と違い、原著を入手することもままならない本ばかりですが(入手できても読むことはできない!)、紹介文を読んでいるだけでも興味がわくものばかりです。

例えば、ベルギーで出版された「ハチミツ色の肌」は、韓国から養子としてベルギーへ移住したマンガ作家の自伝小説です。
朝鮮戦争の際に両親を失った子供たちを海外の養子に送りだす政策がとられ、英仏に続いてベルギーが大きな受け皿になっていたという事実を、私は知りませんでした。

この本を読んでいると、言葉や文化が違っていても、人々が考えることや悩みは共通していることに気付かされます。
世界の広さと狭さを同時に実感できる素晴らしい書籍ですので、ご一読をお勧めします。

このエントリーをはてなブックマークに追加

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2014年1月22日 (水)

月刊「税理」「消費税率引上げ直前の最終チェック」に寄稿しました

本日、1月22日に発売される月刊「税理」2月号  特集「あと2カ月! 消費税率引上げ直前の最終チェック」に 「会計システムの最終確認」を寄稿しました。

20140122

昨年11月号の「著者は語る」のページで、拙書 「消費税改正の要点とシステム対応」 を紹介していただいたのですが、今回は本文の特集記事を担当しています。

月刊「税理」は税務専門誌の王道でありまして、私のような「会計」と「システム」の端っこで仕事をしている人間にとっては、執筆依頼がきたこと自体に感慨深いものがあります。

(ならば、同じ税務専門誌、中央経済社の 月刊「税務弘報」に寄稿したとき には感慨はなかったのかと突っ込まれそうですが、中央経済さんは書籍を出版している関係から日頃のお付き合いもありましたので。)

いつかは、財務詳報社さんの月刊「税務事例」や国際税務研究会さんの月刊「国際税務」 、さらには洋泉社さんの 月刊「映画秘法」 、最後はスペースシャワーネットワークさんの 「ブルース&ソウル・レコ―ズ」 に寄稿できるまで精進を続ける所存であります。

このエントリーをはてなブックマークに追加

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2014年1月21日 (火)

消費税率引上げに伴うQ&Aの追加版が公表されました

先日、国税庁のHPで、 「消費税率引上げに伴う資産の譲渡等の適用税率に関するQ&A」 が公表されました。
http://www.nta.go.jp/shiraberu/ippanjoho/pamph/shohi/kaisei/pdf/201401qa.pdf

これは、昨年春に公表されたQ&Aの追加版であり、実務上疑問になっていた論点について追加説明されています。

全部で10個のQ&Aが掲載されていますが、注目したいのは、以前から論点になっていた出荷基準と検収基準による差異についての解説です。

事業者間で収益・費用の計上基準が異なる場合の取扱い

問1 当社(A社)では、検収基準により仕入れを計上しています。ところで、当社と取引先(B社)の収益、費用の計上基準の違いにより、当社が、4月初旬に検収基準により仕入れを計上したものであっても、取引先が出荷基準によっている場合、施行日(平成 26 年4月1日)前に出荷された商品は旧税率(5%)が適用されるので、取引先(B社)から、旧税率(5%)に基づく消費税額等が記載された請求書が送付されてくるものと考えられます。このような場合、当社の仕入税額控除の計算はどのように行えばよいですか

【答】
新消費税法は、経過措置が適用される場合を除き、施行日以後に行われる資産の譲渡等及び課税仕入れ等について適用されます(改正法附則2)。
照会の事例は、B社がA社に対して、施行日前に行った課税資産の譲渡等ですので、A社においても、旧消費税法の規定に基づき仕入税額控除の計算を行うこととなります。


ということで、旧税率で控除することを示しています。

もうひとつ、問9において短期前払費用について、仮払処理と仕入対価の返還によって処理することを示しています。この処理は、以前、「税務通信」誌において説明されていた処理と同じものです。

実は、私、現在、税務の専門誌に原稿を入校した直後であります。
執筆依頼の際に、担当編集者から年内に追加のQ&Aが出るかもしれないので、注意しておいてくださいと言われ年末ギリギリまで完成を引っ張っていたのですが、今頃公表されるとは・・・・
国税さんも、こんな直前に出さずに、もう少し早く出してくださいよ。
(しかし、原稿に関連する部分はほとんどなくて助かりました)

【ご案内】
今後開催される下記セミナーにおいては、新しいQ&Aについても解説していきます。

主催 みずほセミナー
 「消費税改正の概要とシステム対応」(東京開催)
  日時 2014年2月12日 13時~17時

 「消費税改正の概要とシステム対応」(大阪開催)
  日時 2014年3月14日 13時~17時

  このエントリーをはてなブックマークに追加

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2014年1月17日 (金)

日経コンピュータに取材協力しました

現在発売中の日経コンピュータ 2014年1月9日号の特集 『カウントダウン消費税 6つの落とし穴』 に取材協力しました。

20140116

日経コンピュータは、今号から全面的に紙面を刷新しており、おなじみの白をベースにした表紙も新しいデザインになっています(なんとなく、科学系雑誌の感じがしますね)。 

システム部門で定期購読されている会社が多いと思いますので、一度、お目通しいただければ幸いです。

このエントリーをはてなブックマークに追加

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2014年1月15日 (水)

平成26年に考える邦歴と西暦

遅ればせながら、明けましておめでとうございます。
新年、最初のブログですが、冒頭から皆様にお詫びを申し上げなければなりません。

昨年末に刊行した 『仕事で「会社の数字」の大切さに気付いたら読む本』 の86ページに誤りがありました。

(誤)   「平成24年4月から8%になります」

(正)   「平成26年4月から8%になります」

この「平成24年」という記載は西暦(2014年)と邦歴(平成26年)の混乱から生じたもので、校正段階でも検出されないまま刊行に至ってしまいました。
ご迷惑をおかけして申し訳ございません。

20140115

文章中の年号表示は媒体によって扱いが異なります。
現在、新聞やネットなどの活字媒体では、西暦で表現するのが一般的です。
ただし、会計書籍、特に税務関係の書籍においては、政省令の記述の関係から邦歴による表示が踏襲されています。

この西暦と邦歴の記述は、作者の意思よりも媒体のルールにしたがうことが多いため、原稿の入稿後に適宜修正されていきます。

例えば、この作品と同時期に執筆していたTechTargetの連載では、消費税法がテーマですが、すべて西暦表示に統一しています。

http://techtarget.itmedia.co.jp/tt/news/1305/13/news04.html

また、前作 「消費税改正の要点とシステム対応」 では、元号表示に苦労させられました。
改正消費税法では、税率を10%に引き上げる平成27年10月1日の半年前の平成27年4月1日を「27年指定日」と定義しています。
この定義からもわかるように税法部分は邦歴で記述しないと意味がわかりません。
その一方で、この書籍ではIFRSの動向にも言及しているため、

2002年 IASBとFASBがノーウォーク合意を公表

といった記述を邦歴で書くのも違和感が生じます。
最終的には編集者と相談し、前半の税法部分は邦歴、IFRSに関連する章のみ西暦と邦歴の併記 (例:2008(平成20)年)としました。

話は飛びますが、25年前に、昭和天皇が崩御され平成を迎えた際に、私は情報システム部員として元号改正作業に従事しました。
その当時は、西暦から25を引いて邦歴(昭和64年=西暦89年-25年)を計算するロジックが多くのプログラムに組み込まれていたためです。

改元には、翌年の元旦から新元号を用いる越年改元(又は踰年(ゆねん)改元)という方法があり、システム化が進んだ現代においては、その方法が採用されるのではないかという報道もありました。

もうひとつの懸念事項として、平成が短期間で改元した場合、西暦と邦歴の下2桁が一致、または近い数字になってしまう恐れもありました。

このような状況から、システム担当者として、当時、考えたのは「今後、さらに情報化が進んでいくのに、邦歴を残してしまうと、将来、さらなる混乱が起こるのではないか」という懸念でした。

結局、当時の悩みは杞憂に終わり、2014年の現在において、邦歴と西暦はそれぞれの用途に合わせて利用されています。
しかし、25年後に、自らが、その弊害に陥ることになりました。

長々と昔話を書いてしまいましたが、このようなことを書いても、当方の誤謬の言い訳にはなりません。
最後に、あらためて読者の方々にお詫び申し上げます。

このエントリーをはてなブックマークに追加

| | コメント (0) | トラックバック (0)

« 2013年12月 | トップページ | 2014年2月 »