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2013年7月 2日 (火)

消費税率はウォシュレットの普及率で決まるのか? - 清水信次氏 消費税の歴史を語る-

株主総会と有価証券報告書の提出も終り、会計業務に携わる方々も、やっと一息つける季節になりました。
そこで、今回は、少し長めのエントリーを掲載します。

そのお題は「消費税の歴史」です。

消費税導入から四半世紀が過ぎ、導入当初の状況を知る方々の多くが、既に実務の現場を離れています。
修正が重層的に行われるITシステムを効率的に運用管理するためには、過去の修正の経緯を理解しておくことが大切です。

私の新刊 『消費税改正の要点とシステム対応』 においても、消費税導入から現在に至るまでの改正について解説しておりますが、会計の実務書という制約から、通例的な記述にとどめています。

そこで、本日は、消費税改正の歴史をオーラル・ヒストリーとして記録しておこうと思います。

そのソースになるのは、平成25年4月26日に開かれた 衆議院 経済産業委員会における参考人 清水信次 日本チェーンストア協会会長のご発言です。
http://www.shugiin.go.jp/index.nsf/html/index_kaigiroku.htm

20130702simizu

まずは昭和62年の売上税法案廃止の経緯について述べられています。

『そこで、今度は売上税というものに戻って、売上税導入を指示されて、水野勝主税局長が私のところへ総理の指示で参られて、何とかこの売上税導入について協力してほしいと。もちろん私どもは反対で、それからいろいろ協議したんですけれどもなかなか進行しない。そのうちに、全国の流通17団体、それに全繊維産業、宮崎輝旭化成会長、それから百貨店協会、三越会長の市原さんと私の三人、それに日本商工会議所会頭の五島昇さんが参加されて、売上税導入反対の全国闘争が始まる。

 全国の百貨店全部に、大型間接税反対、売上税導入反対の垂れ幕が下がり、全国の百貨店、商店の新型売上税導入反対運動で全国問題になって、とうとう自民党の110余名の国会議員の方が反対の署名をされて、中曽根さんもこれは無理だということで断念された。』

当時の売上税反対運動の激しさが伝わるかと思います。
次に、売上税反対から半年後に消費税導入を容認した心境について述べられています。

『それを引き継いだ、総理指名を受けた竹下登さんが、どうしても前総理の残したものをやりたいというので私どもへ相談があって、私どもも、一般消費税、売上税、今度はまた竹下消費税、この三回の反対運動の中で、全世界の消費税に関する現実の問題を勉強したり、またみずから出向いて調べた結果、世界に193カ国あるんですけれども、147カ国が導入しておる。しかも、最低税率5%というのは四カ国しかない。7%が2カ国、10%が13カ国、11%から14%が21カ国、15%が12カ国、16%から20%が61カ国。これはもうほとんど全世界で導入されておるし、税率も日本の5%は最低である。

 それで、日本のような高福祉国家、日本国民は今、世界一ぜいたくな生活をしておる。冷暖房完備、水洗トイレ、ウォシュレットなんて、お湯で排せつ物を洗っているような国は世界じゅうどこにもない。こんなにもいい生活をしておって、それで世界一の長寿国ですよ。これでは、世界一低い税率の消費税が高い、反対だと言っておれないじゃないですか。』 

ここで、清水氏は、日本の税率を5%とおっしゃっていますが、この5%は、現行の消費税率の5%ではなく、廃案となった売上税において当初予定していた税率5%を意味しています。
最終的に消費税は、売上税を下回る3%で導入され、平成9年の改正で現在の5%になっています。
当初、議論されていた世界最低レベルの5%以下ではじまり、25年経た現在においても5%が据え置かれてきたのですから、消費税率改正の難しさがわかります。

ちなみに、ウォシュレット(温水洗浄便座)の世帯普及率は、wikipedia によれば、1992年の14%から、2000年 41%、2008年 68%、2010年71.3%と著しく上がっていますから、消費税率アップの下地は十分と言えましょう。

【おまけ】

清水信次氏の実直なお人柄は、当日のご発言からもわかりますが、議事録中にもでてくる清水氏の自伝 『男の死に方 - 戦争で生き残ったものの責務 -』 も大変、おもしろい読み物でお勧めです。
この本と、現在、大ヒットしている南場智子氏の 『不格好経営』 をあわせて読めば、経営というのは、結局、人との出会いで決まるということが実感できて、やる気倍増です。

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