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2013年1月

2013年1月31日 (木)

書評『ベンチャーファイナンス実践講義』

組織内会計士のカリスマ(?)日浦正貴氏から、スター・マイカ株式会社 代表取締役 水永政志氏の新著 『ベンチャーファイナンス実践講義』 (ダイヤモンド社)を献本していただきました。

本書は、2006年に出版された『入門ベンチャーファイナンス』を加筆・修正したものですが、通常の改定版とは異なり、その間に、作者の水永氏自身が社長を勤めるスター・マイカ社の上場を果たされており、真の意味での「実践講義」になっています。

第1章は「ベンチャースピリット」と題して、水永氏の経験が語られていますが、この章がおもしろいです。今月の渡辺淳一氏の「私の履歴書」よりも読みがいがあります。
一転して、第2章以降はベンチャー企業に関わる論点を手堅くまとめた内容になっています。

この内容ですと、比較の対象となるのは、磯崎哲也氏(現在の肩書は新経済連盟「起業イノベーション促進委員会」委員?)の「起業のファイナンス」になろうかと思います。

水永氏の著作は、大学での講義をベースに作られているため、ベンチャー業務の網羅性に注力しているの対して、磯崎氏の著作は、題名通り、ファイナンス部分を中心にまとめられている点に違いがあります。

しかし、両著者が読者に伝えたいポイントは共通しています。
その部分を、本書から引用すれば

「ビジネスはリカバリーも効きますが、資本政策はやり直しが効かないことを、肝に銘じる必要があります」 (本書p134)

の一言に尽きるでしょう。

はっきり申しあげて、2冊同時に購入したところで、増資時の登録免許税以下ですから、間違いを起こす前に御一読されることをお勧めします。

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2013年1月27日 (日)

著者インタビューが掲載されました

BOOKSCAN さんの、著者インタビューに、

http://www.bookscan.co.jp/

当方のインタビュー記事が掲載されました。

http://www.bookscan.co.jp/interview.php?iid=135

最初に、インタビュー依頼があった際には、お断りする予定でした。
と申しますのも、最近、著者や士業をターゲットにした取材商法というものがありまして、取材された側が掲載料を請求されてしまうという、街頭のキャッチセールスのような業者が横行しているためです。

しかし、BOOKSCAN社は、いわゆる自炊代行を行っている会社で、啓蒙活動の一環として著者インタビューを掲載されいるとのことで、今回のインタビューに至りました。

実際に掲載されてからHPを拝見しますと、内田樹氏、山形浩主氏、田坂広志氏等々の大物の先生方の間に、自分の顔が紛れ込んでいるは恐縮至極であります。

当方の、インタビューはどうでもよいのですが、このHPの著者インタビューは、様々なジャンルの著者が、ざっくばらんに回答していて興味深いものが多くお勧めです。
(以前から 『考具』 でお世話になっている加藤昌治氏のお顔も、初めて拝見しました。)

インタビュー項目は、基本的に、著者の現在の業務、読書歴と推薦書籍、執筆方法についてなのですが、特に、執筆方法は同業として参考になります。

その中でも、驚いたのは、最近、自己啓発書でヒットを連発している千田琢哉氏の記述でして、

『1冊の本を書くのに、タイトル決め、章立てから始めて脱稿するまで、最大5日間ですね。』

最大5日で1冊仕上げられているとのこと。(最大ですよ!)
また、小宮一慶氏は、

『今新聞の連載は2つ持っていて、読売新聞に毎週と、日経の夕刊も2週間に1回書いてるんですけれど、どっちも600字くらいだから5分くらいです。』

プロの仕事は大したものだと、感心した次第です。
そのほか、各著者の読書歴も興味深いものが多いので、是非、一度、ごらんください。

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2013年1月24日 (木)

平成25年度税制改正大綱とシステムの接点

本日、1月24日に、自民・公明両党より平成25年度税制改正大綱が公表されました。

http://www.jimin.jp/policy/policy_topics/pdf/pdf085_1.pdf

税制上の主要論点としては、所得税の最高税率アップ、相続税の課税範囲など多々ありますが、当ブログでは、会計システムに影響を与える論点だけピックアップしてご紹介していきます。

何といっても大きいのは消費税の軽減税率について
○消費税率の 10%引き上げ時に、軽減税率制度を導入することをめざす。
と大綱上で言及されています。 Orz......

当初、公明党が主張していた8%改定時の導入から、半歩遅れたものの会計システムに大きな影響を与えることは必須です。
今後、与党税制協議会において、下記事項について速やかに協議を開始することになりました。

(税制大綱7ページ)
・対象、品目
・軽減する消費税率
・財源の確保
・インボイス制度など区分経理のための制度の整備
・中小事業者等の事務負担増加、免税事業者が課税選択を余儀なくされる問題への理解
・その他、軽減税率導入にあたって必要な事項

過去の売上税や消費税導入時の例からいっても、「対象・品目」の決定は施行直前までズレ込むことでしょう。また、システム的には対象品目以上に影響の大きい「インボイス制度」導入の可否も、対象品目の範囲によって対応方法は異なりますので、早期に方針が出ることは期待できません。

とりあえず、本年度の税制改正において、旧消費税法施行令第22条第1項の廃止にともなう経過措置(いわゆる積上法の継続)の扱いが気になるのですが、その点については以下のような記載がありますので、現行の積上法は継続されそうです。

(税制大綱81ページ)
消費税の税額計算における端数処理の特例について、当分の間の措置として、税抜価格を基礎として計算した消費税等相当額を受領する一定の場合を加える。
(注)上記の改正は、平成 26 年4月1日以後に行われる課税資産の譲渡等について適用する。

今回の改正では、一般事業会社の会計システムに影響を与えるものはほとんどありません。

ひとつ、領収書に関する印紙税の対象範囲が3万円以上から5万円以上に変更されていますので印紙税法第11条の特例を適用し、該当金額をシステムで集計している会社においては修正が必要です。

(税制大綱61ページ)
金銭又は有価証券の受取書のうち記載された受取金額が5万円未満(現行3万円未満)のものには、印紙税を課さないこととする。
(注)上記の改正は、平成 26 年4月1日以後に作成される受取書について適用する。

一般事業会社の会計システムへの影響はさほどありませんが、金融機関においては、証券税制の改変だけではなく、贈与税において新たに導入される「教育資金の一括贈与の非課税措置」など、上記以外の多くの論点がありますので、ご注意ください。

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2013年1月10日 (木)

源泉所得税の改正と2.1%増しの謎

ごあいさつが遅れましたが、あけましておめでとうございます。
本年もよろしくお願いいたします。

本日、1月10日は、12月分源泉所得税の納付期日でありますが、平成25年1月1日から、復興特別所得税の導入によって源泉所得税が改正されています。

今回の改正の概要については、国税庁のパンフレット『源泉所得税の改正のあらまし』
http://www.nta.go.jp/shiraberu/ippanjoho/pamph/pdf/h24aramashi.pdf

『復興特別所得税(源泉所得税)Q&A』
http://www.nta.go.jp/tetsuzuki/shinsei/annai/gensen/fukko/pdf/02.pdf

をご参照ください。

源泉所得と聞くと給与を連想される方が多いと思いますが、通常、給与の源泉所得計算はシステムで行いますし、各社のパッケージは既に対応済みですから心配することはありません。

むしろ、注意すべきは報酬・料金等に係る源泉所得税の方です。
原稿料や講演料の源泉所得税は、仕訳入力時に手計算で行うケースが多いためです。

今回、この報酬等の源泉所得税についても2.1%の復興特別所得税が課せられますが、この2.1%は、「所得税の額の2.1%分」です。

つまり、源泉税率が10%の場合には、源泉税の総額は報酬額の10.21%(10%×102.1%)になります。
これを、12.1%(=10%+2.1%)と勘違いされる方が多いようなので、ご注意ください。

今回の復興特別所得税は、民主党が当初国会提出した 原案では、税率4%、期間は10年間を予定していましたが、民主、自民、公明の3党協議によって、最終法案では、税率2.1%、期間25年に修正されました。

当初の税率4%、期間10年が、期間が倍以上の25年になりながら、なぜ、当初税率の半分の2%よりも高くなっているのか。つまり、この端数の“0.1”はどこからきたのでしょうか?

私は、利息見合いを調整しているのかと思って、資料をあたっていたのですが、適当な説明資料は見つかりませんでした。

この税率は平成23年11月10日の午後に開催された3党税調会長会談で決まったようですが議事録も公表されておらず、公になっているのは11月10日付の「税関係協議結果」

http://www.cao.go.jp/zei-cho/gijiroku/zeicho/2011/__icsFiles/afieldfile/2011/11/15/23zen17kai2.pdf

という資料だけです。

なお、平成23年11月15日に開催された第17回の 税制調査会議事録に、中野民主党税調会長代行の発言として以下の記述があります。

「まず、復興財源についてでありますが、課税期間については3党幹事長レベルで 25年と決定されました。
また、1つ目の○にあるたばこ税の取扱いについては、民主党としては所得税付加税を抑制する観点から盛り込む必要があるとの立場でしたが、自民党から強い反対があり、3党での合意を優先する観点から、たばこ税は盛り込まないこととなりました。これを受けて、所得税付加税の税率は 2.1%に相なります。」

この発言をみると、この0.1%分は,復興税の対象から外れたたばこ税分なのでしょうか?

理由もわからないまま、この端数の0.1と、25年間付き合い続けると思うと憂鬱であります。

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