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2010年12月20日 (月)

消費税の個別対応方式と一括比例配分方式

先日、平成23年度税制大綱に関するブログの中で消費税法の仕入税額控除の改正について解説しました。
当方のブログを読まれて、一部、誤解されている方がいらっしゃるようなので、消費税の仕入税額控除の方法について補足しておきます。

まず、「仕入税額控除」とは、売上等とともに預かった消費税額から、仕入等にかかった消費税額を差し引くことです。したがって、納付すべき消費税額は仕入税額控除が大きいほど少なく(有利に)なります。

現状の消費税では、その年度の課税売上割合(年度内の総売上高に対する課税売上の割合)によって、仕入税額控除の方法が異なります。
課税売上割合が95%以上・・・その年度の課税仕入にかかる全額を控除可能
             (つまり、別途調整計算は不要)
課税売上割合が95%未満・・・その年度の課税仕入にかかる全額を控除不可
              (つまり、別途調整計算が必要になる)

課税売上割合が95%未満の場合、控除対象仕入税額の計算方法は個別対応方式と一括比例配分方式の2方式から、事業者が任意に選択します。

個別対応方式
課税仕入に係る消費税額を
ア 課税売上のみに対応するもの
イ 非課税売上のみに対応するもの
ウ 課税・非課税売上に共通するもの
の3種類に区分し、控除対象消費税額を
ア + ウ × 課税売上割合 の計算式で算出する。

一括比例配分方式
課税仕入に係る消費税額の総額に課税売上割合を乗じた金額を控除対象消費税額とする

今回の税制大綱によれば、課税期間の売上高5億円超の会社については、課税売上割合に関わらず仕入税額の全額控除は認められないため、個別対応方式か一括比類配分方式を選択適用することになります。

冒頭の誤解というのは、今回の消費税改正で会計システムの修正が「必ず」発生すると思われているケースです。

個別対応方式と一括比例配分方式は選択適用ですので、一括比例配分方式を選択する場合には、現状の会計システムのままで対応可能です。

それに対して、いずれか有利な方法を選択したい場合には、個別対応方式による計算ができるように、課税仕入取引を前述したア、イ、ウの3種類に区分しなければなりません。
一般の事業会社では課税売上割合が恒常的に95%を上回るため、上記3区分を設定しておらず、新たに、この3区分を設ける際にシステム上の影響がでるということです。

したがって、不動産業のように、すでに個別対応方式に対応している業種などにも影響はありません。

現行の消費税額の計算方法では、年度の仕入税額の総額に対して課税売上割合を乗じるため、課税売上割合の微妙な違いが、納税額に大きく影響を与えます。(上場企業規模では、コンマ数パーセントの課税売上割合の変動が数千万円単位で納税額を変動させます。)
したがって、システム修正の要否は、影響額を試算してからご判断ください。

(我田引水で恐縮ですが、システム開発時に知っておきたい消費税法の概要については拙書「収益認識プロセスと会計の接点」41ページまたは「ビジネスプロセスと会計の接点 増補改訂版」の59ページもご参照ください。)

《追記》
2011年6月に国会を通過した最終条文及び個別対応方式と一括比例配分方式の詳細については、こちらのエントリーをご参照ください。

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