2019年5月24日 (金)

決算書の日付表記について(「会計の基本」14刷りの御礼)

このたび、拙書『この一冊ですべてわかる 会計の基本』が、2010年の刊行から14度目の増刷となりました。
これも、ひとえに読者並びに営業部門を中心とした日本実業出版の皆様のご協力のおかげです。この場をお借りして御礼申し上げます。

本書は会計の基本書でありますが、増刷のたびに最新の会計制度にあわせて改訂を行っています。
今回の改訂では、決算書の日付表記を「邦歴(令和)」にするか「西暦」にするかで頭を悩ませました。
結論としては招集通知のいわゆる株懇モデルに準じまして
「明示しない(○年○月○日等と表記」
方向で対応しております。(弱気な折衷案で申し訳ありません)

20190524

書店で目にされる機会も増えると思いますので、その際は、一度、お手にとっていただければ幸いです。

201905242

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2019年5月 7日 (火)

新元号による源泉所得税納付書の記載

新元号を迎えてから最初の更新となりましたが、令和の時代も引き続き、よろしくお願いいたします。

本日、国税庁HPにおいて「新元号に関するお知らせ」が公表されており、次のような案内がでています。

・新元号への移行に伴い各種様式は順次更新するが、当面の間、各様式の「平成」は「令和」などに読み替えて使用する。
・納税者からの提出書類は平成表記の日付でも有効なものとして取り扱う

税務実務においては、5月10日に納期を迎える源泉所得税の納付書(正確には「源泉所得税の所得税徴収高計算書」)の記載方法が気になるところだと思いますが、その点については既に「改元に伴う源泉所得税の納付書の記載のしかた」が公表されています。

・手持ちの納付書に印字されている「平成」の抹消や「新元号」の追加記載などにより補正は不要。
・平成 31 年(2019 年)4月1日から新元号2年(2020年)3月末日の間に納付する場合、納付書左上「年度欄」は「31」と記載する。
・「支払年月日」や「納期限」が「令和元年XX月」の場合には「01XX」と記載する。

「新元号に関するお知らせ」のところで前述したとおり、納付書の記述を平成表記の「31」で記載しても有効なものとして扱われますので、ご安心ください。

今後も税務関係の書類は邦歴表示が継続されるため、西暦表示化が進んでいる金商法関係書類との混乱が懸念されます。
(ちなみに、同じ税務研究会の刊行物でも「週刊税務通信」は邦歴、「週刊経営財務」は西暦であります。)

20190507 

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2019年4月 9日 (火)

IT委員会研究報告第42号改訂版の公開草案公表

2019年4月5日付で、日本公認会計士協会IT委員会から現行のIT委員会研究報告第42号「IT委員会実務指針第6号「ITを利用した情報システムに関する重要な虚偽表示リスクの識別と評価及び評価したリスクに対応する監査人の手続について」に関するQ&A」の改訂にかかる公開草案が公表されました。

https://jicpa.or.jp/specialized_field/20190405gcw.html

20190409

財務報告における情報システムに関する評価については、2011年12月に公表されたIT委員会実務指針第6号と、当該実務指針に対応したQ&A集であるIT委員会研究報告第42号を参考に行われていました。

今回、クラウドサービスなどのIT環境の変化に対応してQ&A(IT委員会研究報告第42号)の見直しが行われました。

今回の改訂で従来のQ&Aとは構成順序が大幅に変更されているためか、新旧対照表が公開されていません(公表されている比較表は項目ごとの関連性のみを示しています)。
そこで、主要な変更箇所について抜粋しておきます。

(新規追加項目)
Q1 ITを利用した情報システムに対する内部統制はどのように分類されるのでしょうか。また、業務処理統制についてIT実6号ではどのように分類しているのでしょうか。

Q2 ITを利用した情報システムでのITのリスクとはどのようなものでしょうか?

Q1,Q2では、他の委員会報告等で示されていた事項について、あらためて概括的なまとめが記載されています。
当研究報告を利用するにあたって前提となる知識ですので、冒頭の総論として再整理しているのは利用者にとっても有益でしょう。

(新規追加項目)
Q8 パッケージ・ソフトウェアのカスタマイズとは何でしょうか。また、「パッケージ・ソフトウェアをカスタマイズせずに利用する場合」とはどのような場合でしょうか。

A8
企業が各社の業務に応じて選択したパッケージ・ソフトウェアを導入しても、パッケージ・ソフトウェアの標準機能だけでは実現不可能な業務ニーズがある場合には、パッケージ・ソフトウェアを改造(カスタマイズ)したり、追加開発(アドオン)を伴って導入することになります。当該カスタマイズとは、ソフトウェア機能自体(全体)の評価に影響を及ぼす重要な仕様変更となるようなシステム変更・追加開発を指します。また、パッケージ・ソフトウェアをカスタマイズせずに利用する場合とは、データの登録・変更・削除、及び締切・自動計算等の変更を伴う重大なカスタマイズがない場合をいいます。(以降略)

旧委員会報告ではパッケージのカスタマイズの有無が評価上の重要な論点になっていましたが、カスタマイズ自体の定義が明確になっていなかったため、当該QAが追加されています。

近年増加しているクラウドシステムに関しても項目ごとに補筆されています。例えばQ22に次のようか記述が追加されています。

Q22 市販の簡易なパッケージ・ソフトウェアを利用して会計帳簿を作成している場合の留意点にはどのようなものがあるでしょうか。

A22
(一部略)
4.クラウド会計システムを利用している場合
会計システムのソフトウェアを購入するのではなく、ベンダーがクラウド環境下に設置したソフトウェアをネットワーク経由で利用するようなサービスを使うことがあります。このようなクラウド会計システムを利用する際、自社保有とパブリッククラウドの違いとそれによるリスクを考慮せずに、市販の簡易なパッケージ・ソフトウェアとして評価を行うことがないよう、パブリッククラウド利用のリスクについて検討することは重要です。例えば、会計システムの管理者権限を社外のベンダーが保有する場合には、不適切なアクセスのリスクに対する内部統制について如何に把握するかが課題になります。また、データのバックアップ体制等についてもベンダーとの契約内容で十分にリスク対応されているかを検討する必要ことになります。
上記のような事項についてもクラウド業者に往査して十分な情報を得ることはパブリッククラウドの他の利用者への守秘義務の関係で制限が加わることも多くあります。そのためクラウドに係るリスクへの対応としては、クラウド会計システムに係る、監査・保証実務委員会実務指針第86 号「受託業務に係る内部統制の保証報告書」(以下「監保実86 号」という。)に基づき発行された保証報告書等を取得することが考えられます。

本公開草案に対する意見募集期限は2019年5月6日までになっており、新しいIT委員会研究報告の公表に伴い、従来のIT委員会研究報告第42号は廃止される予定です。

 

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2019年4月 8日 (月)

「マンガでやさしくわかる決算書」13度目の重版出来

このたび、拙書『マンガでやさしくわかる決算書』が、2015年の刊行から13度目の増刷となりました。


20190408
これも、ひとえに読者並びに営業部門を中心とした日本能率協会マネジメントセンター(JMAM)の皆様のご協力のおかげです。
この場をお借りして御礼申し上げます。

ホテルの部屋番号等では縁起をかついで「13」を飛ばす慣習があるようですが、先日、13刷りになった日本実業出版社の『会計の基本』も、今回のJMAMさんも13刷で発売していますので、出版業界においては同様の慣習はないようです。
(まあ、日本で番号飛ばすなら「13」の前に「4」か「9」が先でしょうが)

【ご案内】
本年1月11日に みずほセミナー で開催した消費税講座が、2019年5月22日(水)に追加開催されることになりました。
「消費税『軽減税率・インボイス方式』の導入とシステム対応」
https://www.mizuhosemi.com/section/accounting/19-10543.html

今回は、4月中に詳細が公表されるポイント還元制度も含めた最新情報もお伝えする予定です。多くの方々のご参加をお待ちしております。

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2019年3月15日 (金)

消費税率引上げに伴うポイント還元制度の詳細

消費税率引上げに伴う需要変動に対応するために、2019年10月からキャッシュレス決済のポイント還元制度が導入されます。
しかし、導入まで半年しかない3月になっても制度の詳細が明らかにならないため、税率改正以上にシステム修正への負荷が懸念されていました。

201903151

3月12日から当制度におけるキャッシュレス決済事業者の募集が開始され、同時に公開されたキャッシュレス決済事業者登録要領から新制度の詳細がわかります。
https://cashless.go.jp/assets/doc/kessai_tourokuyouryou.pdf

対象となる中小企業の定義については次のように規定されています。

5.1 公募の対象となる中小・小規模事業者
本事業において登録の対象となる中小・小規模事業者は、中小企業基本法第2条に準じ、以下のとおりとする。
製造業その他:資本金の額又は出資の総額が3億円以下の会社又は常時使用する従業員の数が300人以下の会社及び個人事業主
卸売業:資本金の額又は出資の総額が1億円以下の会社又は常時使用する従業員の数が100人以下の会社及び個人事業主
小売業:資本金の額又は出資の総額が5千万円以下の会社又は常時使用する従業員の数が50人以下の会社及び個人事業主
サービス業(注):資本金の額又は出資の総額が5千万円以下の会社又は常時使用する従業員の数が100人以下の会社及び個人事業主

※旅館業は資本金5千万円以下又は従業員 200 人以下、ソフトウェア業・情報処理サービス業は資本金 3 億円以下又は従業員 300 人以下とする。
※現時点での想定であり、今後変更がありうる。

※詳細は 4 月を目途にキャッシュレス・消費者還元サイト等にて追って公表する。

【追記】対象事業者については上記規程以外に、「5.2 登録の対象外となる中小・小規模事業者」 「5.3 フランチャイズチェーン等」の規定もあるので、ご注意ください。

さらに、ポイント還元の対象外となる取引については、次のように規定しています。

6.1.1 消費者還元補助の対象外となる取引
以下の取引については、交付申請の対象外とする。

※詳細は 4 月を目途にキャッシュレス・消費者還元サイト等にて追って公表する。

① 消費税非課税とされている物品やサービスの購入等において支払手段となるものに係る取引
(ア)郵便切手類の譲渡、印紙の売渡し場所における印紙の譲渡及び地方公共団体等が行う印紙の譲渡
(イ)商品券、プリペイドカード等の物品切手等の譲渡
② 別途の需要平準化対策が講じられる取引
(ア)自動車(新車・中古車)の販売
(イ)新築住宅の販売
③ 当せん金付証票(宝くじ)、スポーツ振興投票券(スポーツ振興くじ)、勝馬投票券(競馬)、勝者投票券(競輪)、舟券(競艇)、勝車投票券(オートレース)の販売
④ 収納代行サービス、代金引換サービスに対する支払い
⑤ 給与、賃金、寄付金、祝金、見舞金、補助金 等
⑥ 一度成立した取引のキャンセル取引及びキャンセル取引により存在しなくなった原因取引
⑦ その他、本事業の目的・趣旨に反すると経済産業省及び補助金事務局が判断するもの

そもそも加盟店がクレジット会社に送信するデータには商品別の明細は含まれていませんから、上記対象外取引と対象取引が混在した場合には区分のしようがありません。
さらに、引用した注記にあるように詳細の確定は平成31年度予算成立後の4月以降になります。
(それにもかかわらず今回の決済事業者の登録期限は3月12日から3月20日までの8日間(!)だけ)

システム担当者にとっては、詳細が明らかになるほど不安が増してきますが、当ブログでは引き続き情報収集を続けていきたいと思います。

【ご案内】
2019年1月に みずほセミナーで開催した消費税講座がご好評いただき、2019年5月11日に追加開催されることになりました。
「消費税『軽減税率・インボイス方式』の導入とシステム対応」
多くの方のご参加をお待ちしております。

 

消費税率引上げに伴うポイント還元制度の詳細

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2019年2月 4日 (月)

弥報ONLINEに「消費税改正と軽減税率制度に対応する際の注意点」を寄稿しました

弥生株式会社のwebサイト「弥報ON LINE」「消費税改正と軽減税率制度に対応する際の注意点」を寄稿しました。
https://media.yayoi-kk.co.jp/support/8363/

当記事は、先日、弥生会計のユーザー向け広報誌 弥報Magazine11月号に寄稿した記事とほぼ同じ内容ですが、Web版は、どなたでも閲覧可能です。

軽減税率導入の平成31年10月まで、残された時間は8か月しかありません。

「ウチの会社は大丈夫だろう」

と思われている方こそ、ご一読ください。


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新刊『新しい収益認識基準のシステム対応』が発売されます

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2018年12月 7日 (金)

新刊 『新しい収益認識基準のシステム対応』が発売されます

今年の3月に企業会計基準委員会から公表された 「収益認識に関する会計基準」 は、平成33(2021)年4月1日以後開始する事業年度から適用が開始されます。

新しい収益認識基準の導入は企業内の様々な会計システムに影響を与えます。

そこで、IT部門をはじめとした経理部門以外の方々に、新基準を理解していただくとともにシステム対応時の留意点を解説する新刊を執筆しました。

『新しい収益認識基準のシステム対応』 (中央経済社)

201812071


本書の全体構成は、次の1枚の図にまとめられます。

201812072

新基準適用開始までの限られた時間、限られた資源の中で効率的に対応するためには、会計基準の理解だけでは不十分であり、法令システムプロセスという3つの視点から、対応時の要点を洩れなく解説しています

また、収益認識基準に関係する販売管理システムの修正にあたっては、同時期に行われる軽減減税率やインボイス方式といった消費税改正の知識も欠くことはできません。

本書では、多くの事例やチェックリストとともに新基準導入までの道筋をお伝えしていきます。

書店には今週末から並ぶと思いますので、お見かけになられた際には、一度、お手に取っていただければ幸いです。

新刊『新しい収益認識基準のシステム対応』が発売されます

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2018年12月 3日 (月)

1年分の料金を前払した場合の消費税の扱い

先日のブログで、 「1年分の料金を前受した場合、消費税率はどうすればよいのか?」 という記事を書きましたが、反対に

「1年分の料金を前払した場合、消費税率はどうすればよいのか?」

についてもまとめておきます。

平成31年10月1日(以降「施行日」)から消費税率が10%に引き上げられますが、施行日前に施行日以降の期間分も含んだ役務提供金額を一括して支払う場合があります。

消費税法上の基本的な考え方は前受(売上側)と同じで、適用される消費税率は 「資産の譲渡等」 の時点で決定し、それが施行日前ならば8%、施行日以降ならば10%(経過措置及び軽減税率対象を除く)になります。

月額契約等で、その役務提供が月々完了するものについては、毎月の役務提供完了時の税率が適用されます。

売上側と異なるのは、支払った側(経費)が法人税法における短期前払費用(法基通2-2-14)を適用して、1年以内の経費を一括して損金処理した場合です。

この時の消費税法上の扱いについては、「平成31年(2019年)10月1日以後に行われる資産の譲渡等に適用される消費税率等に関する経過措置の取扱いQ&A」【具体的な事例編】の問7で説明されています。

法人税法上は全額を損金算入したとしても、施行日前の消費税申告では新税率(10%)による申告はできないため、消費税については8%分と10%分を区分して処理します。
実際の経理処理としては、次のような2種類の方法が考えられます。

(追記:当初掲載していた仕訳金額の一部を修正しています。2018/12/25)
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1年分の料金を前払した場合の消費税の扱い

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2018年11月30日 (金)

1年分の料金を前受した場合の消費税の扱い

平成31年10月1日(以降「施行日」)に行われる消費税率改正まで、1年を切りました。
年末を迎えてクライアントから問い合わせの多い、
「1年分の料金を前受した場合、消費税率はどうすればよいのか?」
という論点についてまとめておきます。

消費税法上、適用される消費税率は「資産の譲渡等」の時点で決定し、それが施行日前ならば8%、施行日以降ならば10%(経過措置及び軽減税率対象を除く)になります。

物の引渡しを要さない役務提供については、役務の全部を完了した日が「資産の譲渡等」の時期になりますので(消基通9-1-5)、1年契約のもので役務提供の完了日が施行日以降の場合、収受した全額について改正後の10%が適用されます。

一方、代金は年払いであっても、役務提供が月ごと に行われる場合が問題になります。
このようなケースについては、国税庁が公表している「平成31年(2019年)10月1日以後に行われる資産の譲渡等に適用される消費税率等に関する経過措置の取扱いQ&A」【基本的な考え方編】【具体的な事例編】 が参考になります。

月額契約で、その役務提供が月々完了するものについては、毎月の役務提供完了時の税率を適用します(毎月収益計上していることが前提)。(事例編 問2参照)
ただし、中途解約時の未経過分について返還の定めがない契約において、継続して収受額の全額を収益計上しているも場合には施行日前の収益計上分に旧税率(8%)を適用することが許容されています。(基本編 問6参照)

これらの関係は、次の図のようにまとめられます。
20181130_2
消費税法上の扱いはわかったとしても、実務上の問題は、税率改正分の料金をいつ、どのようにして請求・回収するかです。
顧客からいくら回収するかと、会社の消費税処理は異なる次元の問題であり、年払いで請求している企業が10月以降の税率アップ分を追加で請求できるか否かは取引慣行などによって異なります。
前回(平成26年4月時)の改正時には、追加分の請求が困難なため、従来通り5%ベースで1年分を請求し、税率改正以降分については8%の課税売上として処理している事例も多く見受けられました。

【追記 2018/12/3】
「1年分の料金を前払した場合の消費税の扱い」についは、こちらをご参照ください。

【ご案内】
2019年1月11日(金)に、 みずほセミナーで下記講座を開催します。
「消費税『軽減税率・インボイス方式』の導入とシステム対応」
多くの方のご参加をお待ちしております。

1年分の料金を前受した場合の消費税の扱い

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2018年11月21日 (水)

弥報Magazineに「軽減税率制度への対応」を寄稿しました

弥生会計のユーザー向け広報誌 弥報Magazine11月号「業務を止めないためにも知っておこう! 軽減税率制度への対応を寄稿しました。

20181121_2

平成31年10月から飲食料品等を対象に軽減税率制度が導入されます。
本稿では、軽減税率制度の概要と対応時の留意点についてまとめています。

なにぶん、見開き2ページの文量のためポイントをしぼってお伝えしていますが、

・飲食料品と関係ない業種でも仕入れや経費で軽減税率対象が生じる

・税率改正前後の経過措置対象の税率8%取引と軽減税率8%の取引は区分する


 という2点については、十分、ご注意ください。

会員向けの広報誌ですので、一般の方が入手可能なものではありませんが、弥生さんの広報誌は30万部(!)も発行されているそうですので、どこかで見かけられた際には、ご一読ください。

【ご案内】
2019年1月11日(金)に、みずほセミナー で下記講座を開催します。
「消費税『軽減税率・インボイス方式』の導入とシステム対応」
多くの方のご参加をお待ちしております。

弥報Magazineに「軽減税率制度への対応」を寄稿しました

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2018年11月 9日 (金)

消費税の軽減税率制度に関するQ&Aの改正

先日の経過措置のQ&Aに続き、国税庁から 「消費税の軽減税率制度に関するQ&A(個別事例編)」の改訂版も公表されました。

「消費税の軽減税率制度に関するQ&A(個別事例編)」(平成30年11月改訂)
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/zeimokubetsu/shohi/keigenzeiritsu/pdf/qa/03-01.pdf

このQ&Aは平成28年4月の公表以降、数度の改訂を経て現在に至っています。
今回の改訂で追加されたのは次の問です。

問10  (ウォーターサーバーのレンタル及びウォーターサーバー用の水の販売)
問32 (飲食料品のお土産付きのパック旅行)
問33 (日当等の取り扱い)
問38 (委託販売手数料の取扱い)
問46 (スーパーマーケットの休憩スペース等での飲食)
問47 (飲食可能な場所を明示した場合の意思確認の方法)
問48 (イートインスペースで飲食される物の限定)
問49 (コーヒーチケットの取扱い)
問52 (回転寿司店でパック詰めした寿司を持ち帰る場合)
問76 (食品と食品以外の資産が選択可能である場合の一体資産該当性)
問79 (食品と酒類のセット販売時の一括値引き)
問90 (税抜対価の額と消費税額を記載する場合)
問95 (軽減税率の適用対象となる商品がない場合)
問99 (一括値引がある場合のレシートの記載)
問102 (価格表示の方法

Q&Aの内容については、既に新聞等でも取り上げられていますので、ご存知の方も多いと思います。
「回転ずしの持ち帰り」とか「コーヒーチケット」の扱いなど、笑い話のような項目も含まれていますが、当ブログでは、会計システムに影響を与える問にしぼってご紹介しましょう。

(税抜対価の額と消費税額を記載する場合)
問 90 区分記載請求書等保存方式において、記載事項である「税率ごとに合計した課税資産の譲渡等の対価の額(税込価格)」について、「税率ごとに合計した課税資産の譲渡等の対価の額(税抜価格)」に加えこれに係る消費税額等を記載することとしていますが、記載事項の要件を満たしますか。【平成 30 年 11 月追加】

区分記載請求書等保存方式においては、従来の請求書等に追加記載する事項を
「軽減対象資産の譲渡等である旨」
「税率ごとに合計した課税資産の譲渡等の対価の額(税込価格)」

と条文に規定しています(改正法附則 34②)。

この「税率ごとに合計した課税資産の譲渡等の対価の額(税込価格)」については、税込価格以外にも
・税率ごとに合計した課税資産の譲渡等の対価の額(税抜価格
・ 税率ごとに合計した課税資産の譲渡等の対価の額(税抜価格)に係る消費税額等

の両方を記載する方法も許容されることが示されています。

(一括値引がある場合のレシートの記載)
問 99
当社は、小売業(スーパーマーケット)を営む事業者です。当社では、飲食料品と飲食料品以外のものを同時に販売した際に、合計金額(税込み)から 1,000 円の値引きができる割引券を発行しています。
平成 31 年(2019 年)10 月から、顧客が割引券を使用し、値引きを行った場合、当社が
発行するレシートには、どのような記載が必要となりますか。【平成 30 年 11 月改訂】

複数の税率を含む取引に一括して値引きを行った場合、値引後の「税率ごとに合計した課税資産の譲渡等の対価の額」を明らかにする必要があります。

この際に、
値引前の「税率ごとに合計した課税資産の譲渡等の対価の額」 と
・税率ごとの値引額

を記載する方法も許容されることが示されています。

20181109

あわせて、「消費税の仕入税額控除制度における適格請求書等保存方式に関するQ&A」についても改訂版が公表されています。

https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/zeimokubetsu/shohi/keigenzeiritsu/pdf/qa/01-01.pdf

今回の改訂では、次の問が追加されています。

問31(複数の委託者から委託を受けた場合の媒介者交付特例の適用)
問41(販売奨励金等の請求書)
問44(複数書類で適格請求書の記載事項を満たす場合の消費税額等の端数処理)
問45(一括値引がある場合の適格簡易請求書の記載)
問 47(軽減税率の適用対象となる商品がない場合) 問58 (仕入明細書に記載する課税仕入れに係る支払対価の額)
問59 (仕入明細書において対価の返還等について記載した場合)
問60 (適格請求書と仕入明細書を一の書類で交付する場合)

【ご案内】
2019年1月11日(金)に、みずほセミナーで下記講座を開催します。
「消費税『軽減税率・インボイス方式』の導入とシステム対応」
多くの方のご参加をお待ちしております。



20170313

消費税の軽減税率制度に関するQ&Aの改正

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2018年11月 5日 (月)

消費税率改正時の取引に関するQ&Aの公表

昨日、国税庁から 「平成 31 年(2019 年)10 月1日以後に行われる資産の譲渡等に適用される消費税率等に関する経過措置の取扱いQ&A」が公表されました。

『基本的な考え方編』
http://www.nta.go.jp/publication/pamph/shohi/kaisei/pdf/02.pdf

『具体的事例編』
http://www.nta.go.jp/publication/pamph/shohi/kaisei/pdf/03.pdf

このQ&Aは、消費税率改正前後の取引に関する消費税法上の扱いについてまとめたもので、前回、平成26年4月に行われた税率8%への改正時にも同様のQ&Aが公表されています。

ただし、今回のQ&Aは前回の改正時よりもボリュームアップし、基本編と事例編の2部構成になっています。
この中で注目されるのが、1年間の役務提供代金を前受する場合の扱いを示した「基本的な考え方編」の問6です。

(31年施行日を含む1年間の役務提供を行う場合)
問6 平成31年9月1日に、同日から1年間の役務提供を行う契約を締結するとともに、1年分の対価を受領しています。この場合、消費税法の適用関係はどのようになりますか。

【答え】
役務の提供に係る資産の譲渡等の時期は、物の引渡しを要するものにあってはその目的物の全部を完成して引き渡した日、物の引渡しを要しないものにあってはその約した役務の全部を完了した日とされています(基通9-1-5)。
照会の役務提供契約が、その契約期間を1年間として料金を年額で定めており、その役務提供が年ごとに完了するものである場合には、その資産の譲渡等の時期は役務の全部を完了する日である平成32年8月31日となり、31年施行日(平成31年10月1日)以後に行う課税資産の譲渡等となりますから、原則として新税率(10%)が適用されます。

ただし、1年分の対価を受領することとしており、中途解約時の未経過部分について返還の定めがない契約において、事業者が継続して1年分の対価を受領した時点の収益として計上している場合は、31年施行日の前日(平成31年9月30日)までに収益として計上したものについて旧税率(8%)を適用して差し支えありません。
(太字は筆者加筆)


前段で従来からの基本的な扱いを示していますが、ただし書き以降で「中途解約時の返金なし」で「継続して1年分の対価を受領時に収益計上」している場合には、旧税率の適用を許容する扱いが示されています。

もうひとつ、今回の税率改正で頭が混乱するのが「特定新聞に関する経過措置」でして、問45に以下のような問があります。

(特定新聞の税率等に関する経過措置の概要)
問45 特定新聞の税率等に関する経過措置の概要を教えてください。
【答】
事業者が、不特定かつ多数の者に週、月その他の一定の期間を周期として定期的に発行される新聞で、発行者が指定する発売日が31年施行日(平成31年10月1日)前であるもの(特定新聞等)を31年施行日以後に譲渡する場合、その譲渡については旧税率(8%)が適用されます(改正令附則5②)。

なお、特定新聞の譲渡が、軽減対象資産の譲渡等である場合には、当該経過措置は適用されず(28年改正令附則4)、軽減税率が適用されます。

今回、軽減税率の対象に「新聞」が含まれているため、税率改正後も適用税率は8%と思われるかもしれませんが、軽減税率の対象となるのは「定期購読契約に基づくもの」に限定されるため、上記「特定新聞」とは対象が異なります。

また、同じ税率8%でも、経過措置によって現行税率8%が適用される取引と軽減税率対象で8%が適用される取引とは、消費税と地方消費税の内訳が異なるため、消費税申告情は区分して集計する必要があるのでご注意ください。


【ご案内】
2019年1月11日(金)に、みずほセミナーで下記講座を開催します。
「消費税『軽減税率・インボイス方式』の導入とシステム対応」
多くの方のご参加をお待ちしております。

20170313

消費税率改正時の取引に関するQ&Aの公表

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2018年10月30日 (火)

【書評】『会社を売りたくなったら読む本』

PHP研究所の編集の方から、企業売却コンサルティングを行っている坂本利秋氏の『会社を売りたくなったら読む本』を献本いただきました。

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本書は中小企業の経営者の方々向けにM&A(特に企業売却)の一連の手続きと留意点をまとめたものです。

第1章 会社の売却を考える
第2章 失敗しない業者選び
第3章 買い手企業を募る
第4章 買収監査の受け方
第5章 売却価格や条件を交渉する
第6章 売却価格を算出する
第7章 少しでも高く売却する方法

企業買収の過程では、買い手企業による買収調査(いわゆるデューデリジェンス:DD)が行われます。通常、財務DDは、3,4名の公認会計士がチームになって売り手企業に直接うかがって実施します。
しかし、このDDの段階では、まだ従業員に事業売却を進めていることを公にしていないケースが多いため、その際の対応方法として次のような記述があります。

多くの場合、公認会計士は地味なスーツを着ているため、銀行員のように見えます。社員に不安を与えずに信用してもらうために、「分散している借入れをメインバンクに一本化するため、銀行から調査が入る」とか、「販売先による新規設備投資の検討のために調査が入る」「対外信用力を上げるため、ごく部分的な資本提携を検討している」などと説明しておけば、違和感がないでしょう。」 (本書 84ページより引用、太字は筆者加筆)

この指摘はなかなか的を射ておりまして、確かに会計士と銀行員の区別は一般の方々には難しいかもしれません。
(あえて違いを言えば、大きなカバンを持っているのが公認会計士です)

現在、日本テレビで水曜夜10時から放映しているドラマ 「獣になれない私たち」 では、主人公の松田龍平さんが公認会計士を演じています。

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かつて、会計士関連のドラマとしては、NHKの「監査法人」や「渡る世間は鬼ばかり」でえなり君が会計士を目指すなどの事例がありますが、トレンディドラマ(既に死後か?)で、主役の職業が公認会計士というのは、このドラマが初でしょう。

一般の方々からみると、
「ドラマに出てくるような松田龍平さんのような会計士なんているのか?」
というような疑問が沸くかと思われますが、今の20代、30代の会計士の中には松田龍平さん並みのルックスの先生はたくさんいらっしゃるというのが私の印象であります(ただし、髭を生やしている先生は稀)。

それは同時に、公認会計士だけではなく、銀行員の方も同様でしょうから、結局、先ほどの記述は、40代以上のオヤジ会計士と銀行員にのみ当てはまるというのが適切かと。

M&A関係の書籍は専門書が中心になるため、売却価格算定のための複雑な計算式や税務上の専門用語が多く出てきます。
しかし、本書には仕訳も複雑な計算式も出てきませんので、事業売却に興味を持った経営者の方が最初に読まれる本としてふさわしい1冊でしょう。

【書評】『会社を売りたくなったら読む本』

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2018年10月16日 (火)

「監査業務におけるITの活用事例」の公表

昨日、日本公認会計士協会からパンフレット「監査業務におけるITの活用事例」 (改訂版)が公表されました。

https://jicpa.or.jp/news/information/2018/20181015eyq.html

このパンフレットは、一般の方々を対象に会計監査におけるITの活用状況を説明したものです。

「近年のIT活用に関する取組状況」として掲げられている「残高確認システム共同プラットフォーム化の推進」は、先日、4大監査法人での協議会発足が報道されました。

https://www.shinnihon.or.jp/about-us/news-releases/2018/2018-05-14.html

この仕組みは監査人、クライアント双方の省力化に資するものですので、早期の実現が期待されています(4大法人以外はどうするんだという問題は残りますが)。

「監査業務におけるITの活用事例」の公表

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2018年8月 3日 (金)

電卓はシャープかカシオか最終決戦? 『会計人コース』に寄稿しました

中央経済社 『会計人コース』 最新号(2018年9月号) 「税理士試験 受験スタート号」 の企画、 『自分に合う電卓を選ぶ CASIO VS SHARP』 にカシオ派の代表として記事を寄稿しました。

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以前から公言しておりますように、私、電卓については徹底したカシオ派です。
(ちなみに、当方、カシオさんとは何の取引関係もなく、独立性は保たれています)

【参考記事】 電卓はカシオかシャープか? これが答えだ?
http://iwatani-c.cocolog-nifty.com/blog/2014/07/post-7b85.html

そんな事から、カシオ派の代表として執筆依頼が来たものと推察しますが、雑誌という性格上、カシオとシャープのどちらが良いかの結論を出すわけにもいかないでしょうから、編集者には

「自分はカシオが絶対いいんですが、結論のあたりの言い回しはシャープ派の先生の記事に合わせて、適当に調整しておいてくださいよ」

とお伝えしたまま脱稿したため、シャープ派の記事の内容はまったく知りませんでした。

そして、本日、見本誌が届き、シャープ派の記事を よせだあつこ 先生が書かれていることを初めて知りました!

よせだ先生は 「パブロフ簿記」 という簿記教科書のベストセラーを書かれていまして、作品中のパブロフ君のイラストも よせだ先生ご本人の作品です。

さらに、電卓の使い方の本まで出されています(パブロフ君なので翔泳社の本だと思っていたのですが、これは中央経済さんの本だったんですね)。

実は、私、協会業務等でよせだ先生には大変お世話になっておりまして、こんなところで喧嘩(?)を売ることになろうとは思いもしませんでした。
この場をお借りして非礼をお詫びいたします。

それでも、電卓はカシオですよ!

今月号は電卓以外にも、ボールペンや蛍光ペンの善し悪しを比較するなど、タモリ倶楽部並みのマニアックな企画満載ですので、税理士受験生だけではなく各種試験勉強をされている方にも参考になるはずです。
一度、是非、書店でご覧ください。

電卓はシャープかカシオか最終決戦? 『会計人コース』に寄稿しました

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2018年8月 2日 (木)

旬刊経理情報『消費税の軽減税率・インボイス導入の実務』のどこが「保存版」なのか

中央経済社 『旬刊 経理情報』 の最新号(2018年8月10日号)に、『保存版 システム対応を見据え今から準備を 消費税の軽減税率・インボイス導入の実務』を寄稿しました。

2度の延期が行われたため、忘れてしまった方も多いかもしれませんが平成31年10月1日から消費税率改正が行われ軽減税率制度が導入されます。 導入まで残された時間は約1年。
そろそろ消費税率対応をスタートさせるタイミングでしょう。

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ということで、今回の記事では、今年6月に公表されたインボイス制度の個別通達等を踏まえて消費税改正の概要を整理するとともに、新しい収益認識基準の影響もまじえてシステム対応上の留意点を解説しています。

今回、記事のタイトルに「保存版」との記述があります。
記事が保存に値する内容か否かは読者の皆さんのご判断に委ねられますが、作者自身として保存の価値があると考えるのは本紙39ページに掲載した「消費税の軽減税率制度に関するQ&A(個別事例編)」の一覧表です。 一覧表のもととなるQ&Aは、国税庁が公表したもので、ネットからどなたでも入手可能です。

https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/zeimokubetsu/shohi/keigenzeiritsu/pdf/03.pdf

しかし、このQ&A、全体で75ページもあるため、うかつにプリントアウトすると結構なボリュームです。
さらに、目次だけでも16ページ(!)に及ぶため必要なQ&Aにたどり着くのに時間がかかります(そもそも、目次部分に問いの全文を入れているのが冗長になった原因)。

そこで、当Q&Aの中では、最も判断に悩む「飲食料品の譲渡」「外食」の判断に関する回答を1ページにまとめておきました。

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これならA4 1枚のコピーで済みますので、環境負荷もかかりません。
また、このQ&Aは2年前の平成28年4月に公表されてから数度の追加・修正が行われていますので、最新版をあらためて確認するのにも便利でしょう。

会計の専門誌のため、経理部門で定期後続されている会社も多いと思います。お手許にございましたらご一読いただければ幸いです。

旬刊経理情報『消費税の軽減税率・インボイス導入の実務』のどこが「保存版」なのか

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2018年6月15日 (金)

 国税庁 『消費税の仕入税額控除制度における適格請求書等保存方式に関する取扱通達』及びQ&Aの公表

平成30年6月6日付で国税庁から 『消費税の仕入税額控除制度における適格請求書等保存方式に関する取扱通達』 が公表されました。

https://www.nta.go.jp/law/tsutatsu/kobetsu/kansetsu/0018005-135/0018005-135.pdf

個別通達の公表にあわせて 『消費税の仕入税額控除制度における適格請求書等保存方式に関するQ&A』 も公表されています。

https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/zeimokubetsu/shohi/keigenzeiritsu/pdf/0018005-136.pdf

平成31年10月の消費税率10%への改正と同時に軽減税率制度が導入されます。今後、複数税率が併存するため、税率改正から4年後の平成35年10月には適格請求書等保存方式(いわゆるインボイス方式)が導入されます。

適格請求書等保存方式導入までの4年間は区分記載請求書等保存方式という現行の仕組みに準じた方法で申告できるのですが、税率改正にあわせて将来の適格請求書保存方式への対応を済ませたいという企業の要請もあり、早めのタイミングで個別通達が公表されたようです。

通達の内容は以下のとおりです。
第一 定義関係
第二 適格請求書発行事業者の登録制度関係
第三 適格請求書発行事業者の義務等関係
第四 適格請求書等保存方式による仕入税額の控除関係
第五 経過措置関係 

(原文は第五の項目番号だけ「第5」と英数字になっております?)

この中でも、実務上の判断が難しいかった共有持分の扱い

(共有物の譲渡等における適格請求書に記載すべき課税資産の譲渡等の対価の額等)
3-5
適格請求書発行事業者が、適格請求書発行事業者以外の者である他の者と共同で所有する資産(以下「共有物」という。)の譲渡又は貸付けを行う場合には、当該共有物に係る資産の譲渡等の金額を所有者ごとに合理的に区分するものとし、適格請求書に記載する法第 57 条の4第1項第4号《適格請求書発行事業者の義務》に掲げる「課税資産の譲渡等に係る税抜価額又は税込価額を税率の異なるごとに区分して合計した金額」及び同項第5号に掲げる「消費税額等」は、自己の部分に係る資産の譲渡等の金額に基づき算出することとなることに留意する。

税額算出時における計算方法の扱い

(課税標準額に対する消費税額の計算)
3-13
その課税期間に係る法第 45 条第1項第2号《課税資産の譲渡等及び特定課税仕入れについての確定申告》に掲げる税率の異なるごとに区分した課税標準額に対する消費税額は、原則として、同項第1号に掲げる課税標準額につき、税率の異なるごとに標準税率又は軽減税率を乗じて算出した金額を合計する方法(以下3-13 において「総額割戻し方式」という。)により算出した金額となるのであるが、その課税期間中に国内において行った課税資産の譲渡等(同条第5項ただし書の規定に係るものを除く。)につき交付した適格請求書又は適格簡易請求書の写しを法第 57 条の4第6項《適格請求書発行事業者の義務》の規定により保存している場合(同項の規定により同項に規定する電磁的記録を保存している場合を含む。)には、当該適格請求書又は当該適格簡易請求書に記載した同条第1項第5号又は第2項第5号に掲げる消費税額等及び当該電磁的記録に記録した消費税額等の合計額に 100 分の 78 を乗じる方法(以下3-13において「適格請求書等積上げ方式」という。)により算出した金額とすることができることに留意する。
また、取引先ごと又は事業ごとにそれぞれ別の方式によるなど、総額割戻し方式と適格請求書等積上げ方式を併用することとしても差し支えない。

(課税仕入れに係る消費税額の計算)
4-3
その課税期間に係る法第 45 条第1項第2号《課税資産の譲渡等及び特定課税仕入れについての確定申告》に掲げる課税標準額に対する消費税額の計算につき、同条第5項《消費税額12の積上げ計算》の規定の適用を受ける場合には、法第 30 条第1項《仕入れに係る消費税額の控除》に規定する課税仕入れに係る消費税額の計算につき、令第 46 条第1項《課税仕入れに係る請求書等による消費税額の積上げ計算》に規定する計算の方法(以下「請求書等積上げ方式」という。)又は同条第2項《課税仕入れに係る帳簿による消費税額の積上げ計算》に規定する計算の方法(以下「帳簿積上げ方式」という。)によることとなることに留意する。
また、その課税期間に係る法第 45 条第1項第2号に掲げる課税標準額に対する消費税額の計算につき、同条第5項の規定の適用を受けない場合には、法第 30 条第1項に規定する課税仕入れに係る消費税額の計算に関し、請求書等積上げ方式又は帳簿積上げ方式のほか、令第 46 条第3項《課税仕入れに係る支払対価の合計額から割戻す方法による消費税額の計算》に規定する計算の方法(以下「総額割戻し方式」という。)によることもできるのであるが、請求書等積上げ方式又は帳簿積上げ方式と総額割戻し方式との併用はできないことに留意する。
(注) 請求書等積上げ方式と帳簿積上げ方式との併用は可能である。

といった論点についても言及されています。

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国税庁『消費税の仕入税額控除制度における適格請求書等保存方式に関する取扱通達』及びQ&Aの公表

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2018年6月 7日 (木)

国税庁 『「収益認識に関する会計基準」への対応について』の公表

新しい「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号)に対応するために、平成30年の税制改正によって法人税法も見直しが行われました。

それにあわせ関連する法人税基本通達も5月30日付けで改正されています。
http://www.nta.go.jp/law/tsutatsu/kihon/hojin/kaisei/180409/index.htm

これら、一連の税制上の改正事項のとりまとめとして国税庁から様々な資料が公表されました。
http://www.nta.go.jp/publication/pamph/hojin/kaisei_gaiyo2018/02.htm

特に 「収益認識基準による取扱いの例」 は、消費税の扱いについても具体的な事例を交えて解説しており、大変、わかりやすい資料になっています。

国税庁『「収益認識に関する会計基準」への対応について』の公表

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2018年6月 6日 (水)

【書評】『教養としての「税法」入門』

日本実業出版社の編集の方から、弁護士で現在青山学院大学法学部の教授も務められている木山泰嗣先生の 『教養としての「税法」入門』 (以降「税法入門」)を献本いただきました。

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私が、木山先生の著作を初めて手にしたのは2014年に光文社文庫から刊行された 『弁護士が教える分かりやすい「所得税法」の授業』 でありまして、近年の新書が読み易さを重視した「軽い」本が多い中、木山先生の書籍は、やわらかい語り口とは裏腹に、しっかりした内容なのが印象的でした。

今回の書籍も同様で、一般に実務書と呼ばれるジャンルでありながら判決文の引用も多く、さらに詳細な注釈も付されています。

前書きに
「単にわかりやすいということではなく、大学の授業でしっかり学んだような実感をもてる「読み応えのある本」にしようと、担当編集者と話しながら作りました。」
という記載がありますが、その編集意図通りの作品に仕上がっています。

税法の全体像を重要な判決事例を参照しながら解説していく手法は、初心者の方でも興味をもって読み進めていけるでしょう。

具体的には
約1,300億円の贈与税が争われた「武富士事件」
サラリーマンの給与所得控除について争われた「大島訴訟」
戦後最大の税務訴訟となった「ストック・オプション訴訟」

などを取り上げつつ、全体は以下のように構成されており、まさに大学の講義どおりの内容になっています。

第1章 税法の歴史とは
第2章 税法の重要判決にはどのようなものがあるか?
第3章 税法とはそもそも何か?
第4章 税法の基本原則を知ろう
第5章 税法の解釈とは?
第6章 税法の制度を押さえよう
第7章 不服申立て・税務訴訟とは?

本書を読んで思い出したのが、元長野県知事 田中康夫氏のデビュー作 「なんとなく、クリスタル」 (以降「なんクリ」)です。

1981年、バブルの少し前に刊行されベストセラーになった「なんクリ」は、本文の内容よりも本文同様のボリュームを持つ脚注の面白さが話題になりました。
実際、脚注部分だけを読んでも、それなりの音楽通(今では死語となったAORというジャンルですが)になれるという仕掛けが組み込まれていたのです。

今回取り上げた「税法入門」は、まったく異なるジャンルですが、脚注の充実度は「なんクリ」に負けていません。

318ページに及ぶ書籍の1/3は詳細な注釈ですので、まず、最初に注釈部分を割愛し本文部分だけを読み進めるのがよいでしょう。
本文を読み終わった後で、脚注部分だけを読み進んでいっても、税法の様々なトリビアが身に付きます。

聞くところによれば、本書は昨年8月の刊行から既に5度の増刷、累計1万部を超える売上を上げているそうです。
現在の出版環境において、これだけ硬派な作品が、このような実績をあげているという事実はビジネス書を著す者としても大変勇気付けられるニュースです。
今後も税法入門のスタンダードとして永く読まれ続ける一冊でしょう。

【書評】『教養としての「税法」入門』

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2018年5月 8日 (火)

「会計の基本」13刷りの御礼

このたび、拙書 『この一冊ですべてわかる 会計の基本』 が、2010年の刊行から13度目の増刷となりました(ホテルの部屋番号は「13」を飛ばす慣習がありますが、出版業界には同様の慣習はないようです)。

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これも、ひとえに読者並びに営業部門を中心とした日本実業出版の皆様のご協力のおかげです。この場をお借りして、あらためて御礼申し上げます。

本書は会計の基本書でありますが、増刷のたびに最新の会計制度にあわせて改訂を行っています。
また、各章末の推薦図書も出版状況にあわせて入れ替えており、今回は第6章「IFRS(国際財務報告基準)」のブックガイドに、先日、当ブログでご紹介した杉本徳栄先生の『国際会計の実像』を追加しております。

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書店で目にされる機会も増えると思いますので、その際は、一度、お手にとっていただければ幸いです。

「会計の基本」13刷りの御礼

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2018年4月19日 (木)

【書評】『はじめての人にもわかる 金融商品の解剖図鑑』

税理士の吉澤大先生から、新刊 『はじめての人にもわかる 金融商品の解剖図鑑』 を献本いただきました。

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世の中には様々な金融商品が、様々なセールストークとともに販売されています。
あまたの金融商品の中から、どれが儲かるものかを知ることは困難ですが、明らかに不利な商品を見分けることは可能です。
そのために、金融機関から独立した立場から、ポジショントークなしで個々の金融商品のメリット・デメリットを解説したのが本書です。

金融機関のセールストークの中には、ファイナンス理論や会計知識をまじえることで、顧客を煙に巻くような文言も見受けられます。

そのような誤解を生じがちな論点についても、次のようにズバリと解説しています。
例えば、毎月分配型投資信託については

「毎月分配をする仕組みのためにコストが高いのだとすれば、あえて複利の効果を減らしたり、自分のお金を払い戻すだけにわざわざ高いコストを支払う意味はありません。」(33ページ)

また、賃貸用不動産の節税効果については
「「減価償却費は、支出もないのに費用になる」「お金も払わずに所得が減って節税になるので、その分手許のお金が増える」などと言われることもあります。
しかし、実際には建物を取得する時点でまとめてお金を払っているものが時間を掛けて必要経費に算入されているだけで、「支出もないのに費用になるオイシイ経費」ではないのです。(96ページ)

本書の類書としては、ポジショントークをまじえずに金融商品を論評する山崎元氏の一連の著作があげられます。

最近、山崎氏がダイヤモンド・オンラインに投稿された記事に、金融商品選択の要諦をまとめていた部分がありましたので、参考に引用しておきます。
http://diamond.jp/articles/-/166719

『新社会人が絶対に手を出してはいけない「マネー3悪商品」』より

【マネーの判断ミスを避ける4原則】 

(1)他人(金融マンも、友人も)が確実に儲かると教えてくれる儲け話は、信用しない方がいい。特に金融機関は、本当に有利に儲かるなら、他人に教えずに、その機会を自分で利用するはずだ。 

(2)金融マンやロボアドバイザーのようなプログラムに、運用を「お任せ」したり、「相談」したりすることは、自分の状況を悪化させた上に手数料を払う愚行である。自分で判断できないことは、やらないと決めておこう。専門家に相談すると気が楽だという依頼心が隙を生む。 

(3)少なくとも「相談」の相手と、「商品を購入する」相手を分けることが肝心だ。また、金融マンでもフィナンシャルプランナーでも、プロの時間を使うと高くつく。人間から運用商品を買うと幸せにならない。彼らを、敬して遠ざけよ。 

(4)自分のお金の状況に関して、金融ビジネスを含む他人に情報を持たせない方がいい。特に、銀行はお金の動きを知っているので、銀行で運用商品を購入しないことが肝心だ。

金融商品に関する情報はセールスサイドから提供されるものに偏りがちですが、その中で独立した視点から商品の優越を語る両者の情報は貴重なものです。
個々の商品説明について両者の考えに大きな違いはありませんが、吉澤氏の著作は、本業である税理士という立場からの説明が詳しい点が特徴になります。

金融商品の税務上の有利不利を判断するためには、「分離課税」「総合課税」といった所得税法上の基本的な知識が必要になりますが、本書では「第5章 得する金融商品の税制を解剖する」として独立した章が設けられています。
近年はイデコ(個人型確定拠出年金)など、新しい制度も増えていますので、税金に関する知識を再整理しておくためにも、本章を一読しておくことは有益でしょう。

(本文とは関連ありませんが、私が読んだ山崎氏の著作の中では、この本が一番おもしろかったので参考にリンクを貼っておきます。
出版から既に12年を経ていますが就活中の学生さんには必読の一冊です。ただし、本音過ぎて、この本を読むと就職したい会社がなくなってしまうという副作用もあるので、ご注意ください)

【書評】『金融商品の解剖図鑑』

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2018年3月30日 (金)

収益認識に関する会計基準の公表 

平成29年度末の本日3月30日に、企業会計基準委員会から企業会計基準第29号 『収益認識に関する会計基準』が公表されました。

https://www.asb.or.jp/jp/accounting_standards/accounting_standards/y2018/2018-0330.html

従来、我が国の会計基準では収益認識に関する包括的な会計基準が存在しませんでしたが、IFRS15号(及びFASB Topic606 )「顧客との契約から生じる収益」の適用開始にあわせ、新たな日本基準として開発されたものです。

当基準は連結財務諸表だけではなく個別財務諸表も適用対象になっている点に留意して下さい(基準 99項参照)。

適用開始は平成33年4月1日以後開始する連結会計年度及び事業年度の期首からになり(基準 81項)、IFRS15号適用企業の便宜も考慮して平成30年4月1日以後開始する連結会計年度及び事業年度の期首からの早期適用も認められています(基準 82項)。

消費税法の改正による軽減税率の導入が平成31年10月から、インボイス方式導入が4年間の猶予措置を経た平成35年10月に予定されていますので、IT部門においては新基準の早期適用も含め、自社における導入タイミングを検討する必要があるでしょう。

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収益認識に関する会計基準の公表

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2018年3月13日 (火)

「消費税軽減税率制度に関するQ&A」改正点のまとめ

消費税の軽減税率が導入される平成31年10月1日まで、残された期間は1年半となりました。

いささか旧聞に属しますが「消費税の軽減税率制度に関するQ&A(制度概要編)」「同 (個別事例編)」が1月に改正されましたので、拙書「消費税軽減税率導入とシステム対応」の補足情報として改正点をまとめておきます。

【制度概要編】
改訂されたのは以下の2つのQ&Aです。

(飲食料品を譲渡する際の包装材等取扱い)
問5
通常、食品や飲料を 譲渡する場合容器包装を使いますが、これら容器等の取扱いはどのようになりますか。【平成 30 年1 月改訂】

この問5は、食品の販売に付帯して通常必要なものとして使用される包装材料等は軽減税率の対象になるが贈答用の包装のように別途対価を定めているものは軽減税率の対象にならないことを解説しています。
このQ&Aに以下の注書きと参考とする個別事例として【個別事例編】問65「効果な容器に盛り付けられた洋菓子」が追加されています。

(注) 包装材料等の販売者が、飲料メー カに販売する缶やペットボル、またスーパー等の小売店に販売するトレーは、容器そのものの販売ですので軽減税率は適用されません。

問8 「飲食に用いられる設備」(飲食設備) とは、どのようなものですか。【平成 30 年1月改訂】

内容に変更はなく、参考としている個別事例の項目番号に修正が行われていいます。

【個別事例編】
以下の7つの個別事例が追加されており、それにあわせて問の項目番号も修正されています。

(コーヒーの生豆の販売)
問5
当社は、コーヒーの生豆の販売を行っていますが、軽減税率の適用対象となります
か。【平成 30 年1月追加】

コーヒーの生豆は「食品」に該当し、軽減税率の対象になります。

(カタログギフトの販売)
問 30
当社は、下の取引図のとおり、贈答を受けた者(受贈者)がカタログに掲載された商品の中から任意に選択した商品を受け取ることができる、いわゆるカタログギフトの販
売を行っています。当該カタログギフトには、食品と食品以外の商品を掲載しており、受贈者の方は食品を選択して受け取ることができます。 このカタログギフトの販売に適用される税率は、どのようになりますか。【平成 30 年1月追加】

この問には参考図があるのですが、事例におけるカタログギフト販売は「飲食料品の譲渡」に該当するのではなく、カタログギフト受贈者が選択する商品を手配する一連のサービスの「役務の提供」にあたり軽減税率の対象になりません。

(食品の加工)
問 33
当社は、取引先からコーヒーの生豆の支給を受け、焙煎等の加工を行っています。当社の行う加工は、軽減税率の適用対象となりますか。【平成 30 年1月追加】

コーヒー豆の生豆の加工は役務の提供に該当するため軽減税率の対象になりません。

(配達先での飲食料品の取り分け)
問 59
当社は、味噌汁付弁当の販売・配達を行っています。弁当と味噌汁を配達する際には、配達先で味噌汁を取り分け用の器に注いで一緒に提供していますが、この場合の味噌汁付弁当の販売は、ケータリングに該当しますか。【平成 30 年1月追加】

「味噌汁を取り分け用の器に注ぐ」という行為は、味噌汁の販売に必要な行為である「取り分け」に該当し、ケータリングに該当しません。したがって、味噌汁付弁当の全体が軽減税率の適用対象となります。

(一万円以下の判定単位)
問 67
当社では、紅茶とティーカップを仕入れてパッケージングし、セット商品として小売事業者に卸売販売しています。販売に際しては、100 個単位で販売しており、販売価格を 100,000 円(税抜き)としています。
この場合、軽減税率の適用対象となる一体資産かどうかの判定に当たり、一体資産の譲渡の対価の額(税抜き)が 10,000 円以下かどうかは、どのように判定することになりますか。【平成 30 年1月追加】

一体資産の譲渡の対価の額(税抜き)が 10,000 円以下かどうかは、セット商品1個当たりの販売価格で判定するため、この事例ではセット商品1個当たりの税抜き販売価格は、1,000 円(100,000 円÷100 個)となり、一体資産の譲渡の対象になります。

(軽減税率の適用対象となる商品がない場合)
問 84
当社は、日用雑貨の卸売を行う事業者です。当社では、軽減税率の適用対象となる商品の販売がありません。これまで、現行の制度における記載事項を満たす請求書等として、下記のような請求書を取引先に交付しています。
軽減税率制度の実施に伴い、平成 31 年(2019 年)10 月から、当社が交付する請求書の
記載内容に変更はあるのでしょうか。【平成 30 年1月追加】

平成 31 年10 月から、仕入税額控除の要件として保存すべき請求書等(領収書も含みます。)には、現行の記載事項に加えて「軽減対象資産の譲渡等である旨」及び「税率ごとに合計した課税資産の譲渡等の対価の額」が追加されています(改正法附則 34②)。
しかし、販売する商品が軽減税率の適用対象とならないもののみであれば現行の請求書の記載事項のままで問題ありません。

(相手方の確認を受けた仕入明細書等)
問 86
当店は、食料品及び日用雑貨の小売りを行っています。これまで、仕入先への代金の支払いに当たり、下記のように請求書等保存方式における請求書等としての記載事項を満たす仕入明細書を作成し、仕入先の確認を受け、保存しています。
今後、平成 31 年(2019 年)10 月からは、区分記載請求書等保存方式における請求書等としての記載事項を満たす仕入明細書を作成し、保存したいと考えています。この場合、当店は、どのような対応が必要でしょうか。【平成 30 年1月追加】

現行の記載事項に加えて以下の下線部分の事項を追加する必要があります。(改正法附則 34②))。
㋑ 書類の作成者の氏名又は名称
㋺ 課税仕入れの相手方の氏名又は名称
㋩ 課税仕入れを行った年月日
㋥ 課税仕入れに係る資産又は役務の内容
(課税仕入れが他の者から受けた軽減対象資産の譲渡等に係るものである場合には、資産の内容及び軽減対象資産の譲渡等に係るものである旨
税率ごとに合計した課税仕入れに係る支払対価の額(税込価格)

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「消費税軽減税制度に関するQ&A」改正点のまとめ

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2018年1月 9日 (火)

「経理の知識ゼロでも決算書が読めるようになる本」刊行

あけましておめでとうございます。
新年のご挨拶が遅れてしまいましたが、本年もよろしくお願いいたします。

昨日、1月8日に私の新刊 『経理の知識ゼロでも決算書が読めるようになる本』 が発売されました。

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本書は7年前に刊行した 『12歳でもわかる決算書の読み方』 を新書化したものです。

お陰様で『12歳でもわかる』は、発売時に各種書評に取り上げていただき、Amazon総合1位を獲得しました。
その後も継続的に増刷が続き、今回、新書化のお話をいただいた次第です。

新書化にあたりタイトルが改題されていますが、これは「12歳でもわかる」というタイトルに消費者庁からクレームが入ったわけではありません。
表紙が画一化し、タイトル以外の訴求ポイントがない新書の場合、内容がわかりやすいタイトルが望ましいという出版社のアドバイスによるものです。

タイトルだけではなく、新書化にあたり事例データ及び関連法規の全面的な改訂も行っております。

ちなみに、本作は20冊目(海外翻訳版を除く)の著作ですが、初の「新書」形態の刊行となります。

これまで、出版の全領域制覇を目指し、専門書、ビジネス書、一般書、マンガ、ムック、文庫、新書まで到達しましたので、後に残るのは写真集、成人誌の2領域のみ(?)となりました。
全領域制覇を目指して引き続き努力する所存ですが、現状の出版状況及び作者の能力(及び体力)を考えると残り2領域制覇は極めて厳しいのが現状であります。

書店でお見かけになられた際には、是非、一度、お手にとっていただければ幸いです。

「経理の知識ゼロでも決算書が読めるようになる本」発売

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2017年11月 9日 (木)

「西郷どん」の副読本として -書評「島津久光の明治維新」-

作者の安藤優一郎氏から新刊 『島津久光の明治維新』 (イースト・プレス)を献本いただきましたので、本日は、こちらを紹介します。

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本書の執筆意図を前書きから引用します。

「一般的には西郷や大久保の言動が薩摩藩の立場や意見を代表するイメージが強いが、二人の言動は必ずしも薩摩藩を代表するものではなかったのである。藩士の大半そして島津家は倒幕路線には反対で、倒幕を強く主張する西郷や大久保たちは藩内で孤立していたからだ。」

「本書は明治維新150年を迎えるに際し、倒幕派の西郷や大久保が主役として描かれがちな薩摩藩の明治維新史を島津家(島津久光)の視点から読み解くことで、維新の再評価を試みるものである。」

私自身、日本史についてはまったく素人でありまして、島津久光という名前を聞いても「龍馬伝」に出てきた西郷隆盛の政敵という程度の知識しか持ち合わせておりませんでした。

したがいまして、本書を読むまでは薩摩藩と長州藩は倒幕でイケイケで、土佐藩の山内容堂(龍馬伝で近藤正臣が演じていた)が反対派と思っていたのですが、薩摩藩においても武力行使を伴う倒幕には反対する者が大勢だったと知りました。

そのような情勢からどのようにして明治維新が進んでいったかを理解するためには、明治維新における西郷隆盛の位置付けではなく、薩摩藩における西郷隆盛の位置付けを知る必要があり、そのためのキーパーソンが薩摩藩の島津久光になるわけです。

歴史書としての本書の意義をお伝えするには、私の知識はまったく役に立ちませんが、安藤氏と同じ作者という立場から本書を見てみると違う局面が見えてきます。

来年は明治維新150周年にあたり、それに合わせてNHK大河ドラマも西郷隆盛を主人公にした「西郷どん」と決まっています。
(ちなみに「西郷どん」の原作者 林真理子氏は現在、日経新聞朝刊で「愉楽にて」といいう連載小説を担当しておりますが、「結局、読者は俗なものにしか興味を持たない」というプロ作家の達観が滲み出る名作ですので、未読の方も是非、一度お読みください)

歴史書業界ではこの維新150周年のBigWaveが生じており、その流れに乗って安藤氏も、既に多くの西郷隆盛関連書籍を刊行しております。

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本書は、映画で言えば西郷隆盛のスピン・オフ企画ということになりますが、言い方を変えれば西郷隆盛関連著作の副産物でありましょう(原価計算で言えば連産品)。
書籍の執筆過程において、西郷隆盛に関係する島津久光についても多くの資料が集まったため、これを別の視点から一冊にまとめてみたのが本書というわけです。
先程、副産物などという失礼な表現を使ってしまいましたが、その試みは的を射たものであり、切り口を変えて題材を整理し、ひとつの作品に仕上げのは立派なプロの技術であります。

したがいまして、本書は、大河ドラマ「西郷どん」を楽しむ際に、多角的な視点を提供する副読本にふさわしい一冊です。

話は変わりますが、、歴史書ジャンルにおける「周年」ビジネスを会計業界にも適用できないでしょうか。

来年の平成30年は平成元年の消費税導入から30周年でありますから、
「祝 大型間接税導入 30周年! 一般消費税、売上税の蹉跌を越えて」
といった企画や
平成20年4月に導入された内部統制規制(J-SOX法)10周年を記念して
「祝 内部統制 10周年! 失われた「重要な欠陥」を探して」
といった企画で関連書籍をバンバン刊行し、会計書ジャンルでもBig Waveを起こしていただきたいものです。

「西郷どん」の副読本として -書評「島津久光の明治維新」-

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2017年11月 6日 (月)

IT委員会実務指針「電子開示書類等のXBRLデータに対する合意された手続業務に関する実務指針」公開草案の公表

11月1日付けで日本公認会計士協会のIT委員会からIT委員会実務指針「電子開示書類等のXBRLデータに対する合意された手続業務に関する実務指針」とIT委員会研究報告「電子開示書類等のXBRLデータに対する合意された手続業務に関するQ&A」の公開草案が公表されました。

http://www.hp.jicpa.or.jp/specialized_field/main/20171101xt1.html

当公開草案は、専門業務実務指針4400「合意された手続業務に関する実務指針」の公表を受け、従来利用されていたIT委員会研究報告第41号「XBRLデータに対する合意された手続」を全面的に改編したものです。

従来の研究報告41号に含まれていたXBRLに関する説明や具体的な手続については新たにIT委員会研究報告「電子開示書類等のXBRLデータに対する合意された手続業務に関するQ&A」に整理されています。

XBRLデータについては会計監査の対象外のため、監査人はXBRLの開示手続きに特段の注意を払いません。
会社の方々もプロネクサスさんか宝印刷さんが提供するツールにしたがって作業しているケースがほとんどだと思いますが、当公開草案を参考に自社の開示プロセスを確認しておくのも有効でしょう。

なお、公開草案への意見募集期日は平成29年12月1日です。

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IT委員会実務指針「電子開示書類等のXBRLデータに対する合意された手続業務に関する実務指針」公開草案の公表

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旬刊経理情報に『会計システムのクラウド化で気をつけたいこと』を寄稿しました

中央経済社の 『旬刊 経理情報』 最新号(2017年11月10日号)に、『自動仕訳の修正・機能の見直しは必須? 会計システムのクラウド化で気をつけたいことを寄稿しました。

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ITシステムの現場では自社のIT資源を利用した「オンプレミス」からネット上の外部資源を利用する「クラウド」化の流れが加速しています。

このクラウド化の流れは、サーバーなどのハードウェア領域から業務系システムなどのソフトウェア領域にも及んでおり、経理・財務部門も例外ではありません。

そこで、本稿ではクラウド化にともないユーザーの利用する業務システム(特に会計システム)に生じる影響と留意点について解説しています。

会計の専門誌のため、経理部門で定期購読されている会社も多いと思います。お手許にございましたら御一読いただければ幸いです。

旬刊経理情報に『会計システムのクラウド化で気をつけたいこと』を寄稿しました

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2017年11月 2日 (木)

「10歳でもわかる」と「世界一」はどちらがわかりやすいのか? 書評『10歳でもわかる問題解決の授業』

担当編集者から苅野進氏の、新刊 『10歳でもわかる問題解決の授業』 を献本いただきました。

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作者の苅野氏は経営コンサルティング会社を経て、現在、学習塾ロジムを主催しています。
学習塾ロジムでは小学生向けに「問題解決力」や「ロジカルシンキング」を教えており、その実践の成果をまとめたのが本書です。
タイトルには「10歳でもわかる」とありますが、基本的にはビジネスパーソン向けのロジカル・シンキングの入門書という位置付けになります。

本書の執筆意図として
「考える力」は生まれつきのものではなく、非常に”シンプルな技術の習得”と”気持ちの持ちよう”で大きく伸びるという実感があります。

私たちを苦しめているのは「正解を見つけられなければ、考えた意味がない」という小学校以来のテストの世界で染み付いてしまった結果主義の考え方です。

本書では、「自分で考える」ことについての”苦手意識を取り除くための心理的・技術的なコツ”を紹介していきます。(以上「まえがき」より引用)

と記されています。

単にロジカル・シンキングの技術を伝えるのではなく、閉塞感のあるビジネスパーソンのマインドを変えたいという作者の思いは、日頃、小中学生の指導に接している経験から生じた危機感の現れとも言えましょう。

【本書の構成】
序章 “自分の頭で考える力”が「あらゆる問題」を解決してくれる

【第1部】 10歳でもわかる問題「解決」力
1時間目 “限られた情報”でも「仮説力」があれば問題は解決できる
2時間目 精度の高い”仮説を立てる手順”とは
3時間目 解決力の高い人の「論理的に考える」技術

【第2部】 10歳でもわかる問題「設定」力
4時間目 本当に「取り組むべき問題」が見つかれば”具体的な行動”ができる
5時間目 本質を見つけるためのフレームワーク

タイトルからいっても本書の比較対象となるのは、渡辺健介氏の 『世界一やさしい 問題解決の授業』 (以降「世界一」と記す)しかないでしょう。

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こちらは、2007年の刊行から刷りを重ね、既に累計40万部を超える大ベストセラーです(このジャンルでこの販売数は脅威的!)。

今回、新刊の「10歳でもわかる問題解決の授業」(以降「10歳」と記す)を読んだ際には、子どもの読者も想定した「世界一」の方が、かなり簡単な内容という印象をもったのですが、10年ぶりにあらためて「世界一」を読み直してみると、書かれている内容の難易度はほぼ同レベルでした。

自分が錯覚した理由は書籍の判型と装丁によるものでしょう。
「世界一」はフルカラーでイラストの量が多く、さらに全ページ数が117ページしかありません。一方、「10歳」は通常のビジネス書と同じ白黒の四六判で239ページ。

しかし、次の写真を見ていただくとわかるように、左側の「世界一」は、POPなイラストに目がいくものの、文字組みはかなり小さく、1ページ32文字×25行の800字。
それに対して右側の「10歳」はイラスト量は少ないものの1ページの文字数は38文字×14行の532字しかありません。
一冊の情報量としては、ほぼ同程度と言えます。

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むしろ、両誌の最大の違いは本文の構成にあります。

「世界一」はロジックツリーを中心に
  「問題の設定」→「解決法の適用」
という順序で構成されているのに対して、
「10歳」の構成は、仮説検証のサイクルを回していくことを前提にした上で
   「解決力の習得」→「問題の設定」
という順序で構成しています。

教科書的には「世界一」の順序が適切と考えられますが、実際には問題を解決することよりも正しい問題設定の方が難しいため、「10歳」では通常と逆の構成になっています。

既にベストセラーである「世界一」をお読みになられた方も多いと思いますが、この構成の違いに注意しながら両誌を読み比べてみるとロジカル・シンキングについての理解が深まります。

特に、職場(または家庭?)でロジカル・シンキングの手法を伝える際には大きなヒントが得られるはずです。

「10歳でもわかる」と「世界一」はどちらがわかりやすいのか? 書評『10歳でもわかる問題解決の授業』

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2017年10月24日 (火)

『早い話、会計なんてこれだけですよ』が電子書籍になりました

2013年に日本実業出版から刊行した 『いくらやっても決算書が読めない人のための 早い話、会計なんてこれだけですよ!が電子書籍化されました。
( iBooksでは10月27日より発売開始)

書籍版も増刷は行っているのですが、刊行から時間が経って市場在庫が減少してくるとAmazonの中古価格が高騰するという現象が起こります。
(拙書の中古本も定価より高く売られてます↓)

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これからは、このような高額な中古書籍を購入せずに、どこからでも購入可能かつお得な(千円以下の972円!)電子書籍版をご利用ください。

P.S
ちなみに本書籍は台湾語版も刊行しておりますので、台湾語がお得意な方は(?)こちらをご利用ください。
http://iwatani-c.cocolog-nifty.com/blog/2014/07/10-aa18.html

『早い話、会計なんてこれだけですよ』が電子書籍になりました

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2017年9月14日 (木)

書評 『ワンストップ相続実務』 弁護士と税理士の間には

弁護士の長谷川裕雅先生から、新刊 『ワンストップ相続税務 弁護士と税理士 ~二つの異なる言語』
を献本いただきました。

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長谷川先生は、ベストセラーとなった 『磯野家の相続』 シリーズの他にも相続税になじみのない方々を対象にした多くの作品を著わしています。
法人税や所得税と異なり、一般の方々が相続税に関係するのは人生で1、2度しか起きませんから、相続税関連の書籍の多くが初心者向けになるのは当然です。

その一方で、実際に相続案件を進めていくと一般論とは異なる様々なトラブルが生じます。
そこで本書では
「相続の代表的な専門家である弁護士と税理士、それぞれの業務である遺産分割と相続税申告でクロスする問題に焦点をあてます。専門分野が交錯し、専門家でも誤解しがちな点をワンストップで解決するにはどうしたらよいかをわかりやすく説明し、一般の方にも理解してもらうことが本書のねらいです。」(本書「はじめに」より引用)

通常、このような専門家領域間の論点は関与する専門家の知識不足が原因で生じることが多く、それは各専門家の自助努力によって解決するしかありません。
しかし、知識不足だけが原因ではなく、各士業の制度上の違いから生じてしまう相違点も存在します。

税理士は「独立した公正な立場において」「納税義務の適正な実現」を使命としているのに対して(税理士法第1条)、弁護士は「当事者その他関係人の依頼」によって「法律事務を行うことを職務」 としています。(弁護士法 第3条)

その結果、税理士が「納税義務の適正な実現という公益的使命も同時に負っている」のに対して「弁護士のほうが依頼者のためにギリギリのところまで寄り添う場面が多い」(本書205ページ)というように、意見の相違が避けられない局面もあるのです。

本書の第2編では、この「立場の違い」だけではなく、「依頼者の違い」「求められるものの違い」「時間制限の有無の違い」といった視点から、両者の相違点を踏み込んで解説しています。
依頼者としては、「自分がわからないことなんだから専門家に頼んでいるのに!」と思われるのも当然ですが、依頼者の方が本書を一度お読みいただければ無用なトラブルを避けることができるはずです。

さらに、本書は、相続人になられた方が購入するだけではなく、税理士、弁護士の方々が読まれても依頼者の誤解を解く際に役立つ多くの知識が得られるでしょう。

<追記>
ちなみに、長谷川先生の前作は『不倫の教科書 既婚男女の危機管理術』
ですが、昨今、話題になっている政治家や芸能人の皆さんも、この書籍を事前に読んでいれば、このような悲劇は生まれなかったのではなかったのかと悔やまれます。

201704212

【【書評】『ワンストップ相続実務』弁護士と税理士の間には

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