2019年10月31日 (木)

「収益認識に関する会計基準」改正案の公表 

昨日、10月30日付で企業会計基準委員会から企業会計基準第29号『収益認識に関する会計基準』の改正案が公表されました。

https://www.asb.or.jp/jp/accounting_standards/exposure_draft/y2019/2019-1030-1.html

2018年3月30日に公表された企業会計基準第29号『収益認識に関する会計基準』では、表示及び注記事項についての詳細は定められておらず適用開始時までの検討課題とされていました。
そこで、今回公表された公開草案では、収益の表示方法及び注記事項についての詳細が追加されています。

注記事項は、基本的にIFRS第15号「顧客との契約から生じる収益」において求められている項目とし、重要性が乏しい場合には注記を省略できる旨を規定することで業務負荷の軽減が図られています。

公開草案へのコメント募集期日は2020年1月10日です。

201910312

| | コメント (0)

消費税率改正後の月次決算における留意点 -本当のヤマはこれからだ!

2019年10月1日から消費税率が10%に改正されるとともに新しい軽減税率制度が導入されました。
消費者向けの小売業では税率改正時の10月1日がひとつのヤマでしたが、一般の事業会社においては税率改正から最初の月次決算をむかえるこれからが勝負所です。

201910311

そこで、2019年10月度の月次決算における留意点ついて簡単にまとめておきます。

・旧税率と新税率の分類
事業者間取引においては一定の締日ごとの請求が多いため、税率改正直後の請求時には旧税率と新税率が混在します。両者が適切に区分されているか確認しましょう。
特に不動産関連取引の場合、賃料(翌月分)、管理費や光熱費(当月、前月分)など同一の請求書に計算期間が異なる項目が含まれます。さらに、資産の貸付にかかる経過措置の適用対象か否かも契約ごとに判断する必要があります。

・値引・返品の扱い
値引及び返品は、税率改正時の経過措置によって2019年10月1日より前に行った売上によるものについては旧税率(8%)が適用されます。
ただし、業態によって販売時期を特定できないケースもあるため、合理的な方法(10月中の返品は9月までの販売分とみなす等)を継続的に適用することも許容されています。

・販売奨励金の処理
軽減税率の対象となる飲食料品の販売にともなう販売奨励金やリベートは、対価の返還等に該当し軽減税率が適用されます。ただし、その内容が役務の提供への対価である場合には標準税率(10%)が適用されます。
販売奨励金やリベートには様々な性質のものが混在しますので、どの税率を適用するのか取引先と調整しておきましょう(軽減税率QA(個別事例編)Q42参照)

・旅費交通費の精算
旅客運賃については、10月1日より前の購入分については旧税率(8%)が適用される経過措置があるため、10月分の精算分には複数の税率のものが混在する可能性があります。旅費交通費の精算書は、経理部門以外の一般部門の方々が作成するため、間違いやすい論点については事前に社内にアナウンスしておきましょう。

・データ取込の見直し
近年のクラウド系会計ソフト(freeeやMFクラウド等)では、取り込んだ預金の入出金データをもとに仕訳を自動生成します。10月1日以降、1つの入出金の中に複数の税率の取引が混在する場合には、自動仕訳のロジックを見直さなければいけません。

経理部門やシステム部門の皆さんは、これまでも十分な準備を行ってこられたと思いますが、実際に月次処理を行うと想定外のケースが生じるはずです。
まずは、10月の月次処理で問題点を洗い出し、11月以降の処理に持ち越さないようにしましょう。

 

| | コメント (0)

2019年10月 7日 (月)

『勘定科目統一の実務』の書評を寄稿しました

『旬刊 経理情報』2019年10月10日号の書評欄に、KPMG あずさ監査法人アカウンティングアドバイザリーサービスが執筆した「勘定科目統一の実務」の書評を寄稿しました。

201910070

文章の中身とはまったく関係ない話ですが、最初に渡した原稿がレイアウトピッタリの文量でして、編集者からの修正も1か所(「様々」を「さまざま」に開く)のみで脱稿したのは、我ながらプロの仕事と感心しました。

経理関係の専門書ではありますが、お手許にございましたら御一読いただければ幸いです。

| | コメント (0)

2019年10月 1日 (火)

消費税軽減税率導入 コンビニ各社のレシートから学ぶキャッシュレス還元分の経理処理

本日、2019年10月1日から消費税率が10%に改正されました。
あわせて軽減税率制度も導入され飲食料品と新聞については軽減税率8%が適用されます。
コンビニエンスストア各社がどのような対応をしているのか見ていきましょう。

最初はセブンイレブンです。
20191001
セブンイレブンでは、単体の価格を税抜表示(先日のブログでも取り上げました)。軽減税率対象品との区別には「*」を印字しています。
また、キャッシュレス還元2%分について「即時充当」方式を採用し支払額から直接控除しています。
https://www.sej.co.jp/var/rev0/0002/2290/11996125654.pdf


続いてファミリーマートです。
20191001_20191001165601
ファミリーマートでは、単体の価格を税込表示。軽減税率対象品との区別には「」を印字しています。
(ちなみに商品名の「黒白7本短冊付」は不祝儀袋ですので標準税率の10%が適用されています)
こちらもセブンイレブン同様、キャッシュレス還元2%分の4円は即時充当方式で代金から直接控除しています。
https://www.family.co.jp/services/other/info1910.html

最後にローソン。
201910014_li
ローソンでは、単体の価格を税込表示。軽減税率対象品との区別には「」を印字しています。
このレシートだとわかりづらいのですが、ローソンも上記2社同様「即時充当」方式を採用しキャッシュレス還元2%分を支払代金から控除しています。
https://www.lawson.co.jp/service/others/taxes/

このように、大手コンビニはキャッシュレス還元のポイントを「即時充当」方式で支払額から直接控除しています。
では、このようなレシートにもとづいて、どのような経理処理をすればよいのでしょうか。

購入に伴って発生したポイントは、本来「雑収入」として認識するのが理論的ですが、実務上は出納額と合わせるために購入時の値引として処理ケースが一般的です。
標準税率(10%)と軽減税率(8%)のように税率の異なる商品を同時に購入した場合、この値引額をどのように処理するかが問題になります。

消費税法の軽減税率に関する個別通達15では、次のように定めています。
軽減税率 個別通達15
「(略)一括して対価の額の値引きが行われており、当該資産の譲渡等に係る適用税率ごとの値引額又は値引額控除後の対価の額が明らかでないときは、割引券等による値引額を当該資産の譲渡等に係る価額の比率により按分し、適用税率ごとの値引額及び値引額控除後の対価の額を区分することとなることに留意する」

値引額を値引前の価額の比率で按分することを求めています。

さらに、上記通達の後段に次のような記述があります。
「なお、当該資産の譲渡等に際して顧客へ交付する領収書等の書類により適用税率ごとの値引額又は値引額控除後の対価の額が確認できるときは、当該資産の譲渡等に係る値引額又は値引額控除後の対価の額が、適用税率ごとに合理的に区分されているものに該当する。」

つまり、レシート等の記載で税率ごとの値引額が確認できれば、必ずしも按分計算によらず、標準税率分から優先的に充当するといった方法でも合理的に区分されているものとみなされます。
ただし、コンビニ3社のレシートとも値引額を税率ごとに区分して表示していません。

したがいまして、当ブログ上で公にできる結論としては
「軽減税率 個別通達15にしたがって値引分は税率ごとに按分して処理する」
という記述になってしまうのですが、実務上は難しいのではないでしょうか。

| | コメント (0)

2019年9月25日 (水)

9月30日までeLTAXによる電子納税は使用できません

経理業務に携わっている方々は10月1日からの消費税改正対応でご多忙の日々を過ごされていると思われますが、同じ10月1日に新しい地方税共通納税システムもスタートします。
それに合わせて昨日(24日)から地方税のポータルサイトであるeL TAXも新しいアドレスになりました。

地方税が10月1日から新システムになることは私も存じ上げていたのですが、この改正にあわせて9月21日から9月30日まで以下の電子納税サービスを使用できないことに昨日、初めて気づきました。

「電子納税サービスが利用できない期間について」
https://www.eltax.lta.go.jp/news/00362

20190925_0 

・納付情報の発行依頼
・納付情報の受け取り
・eLTAXを通じた電子納税

電子納税に慣れているクライアントの方は、既に納付書を処分しているかもしれませんのでご注意ください。

本筋から外れますが、システムと会計の接点を取り上げる当ブログとしてはそれ以外に気になる論点があります。

eL TAX上で電子申告用に無償で提供されているソフト「PC desk」も昨日最新版にアップデートされました。
電子申告用のデータはXML形式でそのまま見ることができないため、サードベンダーの電子申告ソフトにはPDFに変換する機能が付いています。従来、PC deskには、このPDF変換機能が付いていなかったのですが、今回のアップデートで同機能が加えられています。

大変便利になって助かるのですが、ひとつ気持ちの悪い部分があります。
それは、申告書に記載する税理士署名欄の電話番号です。
地方税の申告書の税理士署名欄は右下に縦書きになっており、ここに税理士名と電話番号を記載するのですが、 電話番号も単純に縦書きに変換しているのでハイフンが横になってしまうのです。

20190925_4


同じN〇〇グループが提供している「電子申告の達人」では、縦に横書き(下図のイメージ)にしているので、こちらの方がよかったのではないでしょうか。
20190925_3

【追記】
電話番号などというつまらない話ではなく、システム移行に関する真面目な話を追記しておきます。

24日以降は古いPc Deskソフトは使えないため、新ソフトにアップデートする必要があります。
その際に、古いソフトで「データ取り出し」処理をしてから新ソフトをインストールしないと面倒な手続きが必要になるのでご注意ください。

今時、こんなオペレーションを要求するソフトは珍しいので、まずは PC desk データ移行マニュアル  を一読されてからバージョンアップすることをお勧めします。

| | コメント (0)

2019年9月20日 (金)

セブンイレブンの消費税計算の変更内容と根拠条文

セブンイレブンが消費税の計算方法を変えたことが話題になっています。

https://www.sej.co.jp/company/important/201909062030_copy.html

20190919

この変更について、9月18日付の日経新聞朝刊の記事では
単品ごとに消費税を加算する計算方法から、購入する全商品の合計に加算する方法に変えたのが理由」
と書かれていますが、この記載内容は間違っています。

20190919tw

セブンイレブンが行った計算方法の変更は、 税込価格の合計額に8/108を乗じる」方法(消費税法施行規則 附則(平成15年9月30日財務省令第92号)第2条第3項による経過措置)から税抜価格の合計額に8/100を乗じる」方法(消費税法施行規則 附則(平成15年9月30日財務省令第92号)第2条第4項又は第5項による経過措置)への変更です。

消費税の端数処理は請求書又は領収書の単位で1度だけ行い、「単品ごとに消費税を加算する計算方法」は現行法においても認められていませんので、セブンイレブンもそのような計算方法は採用していません。

と申しましても、この消費税の端数処理の根拠条文である消費税法施行規則 第22条第1項は、総額表示導入時の平成16年3月31日をもって廃止されており、前述した消費税法施行規則の附則の経過措置によって延命している状態ですので混乱が生じるのも致し方ない状態であります。

この端数処理の当初条文から現在までの改正過程につきましては拙書「消費税軽減税率導入とシステム対応」の141ページから154ページまでに法令原文もあわせて解説しておりますので、そちらもご参照ください。

Photo_20190920142501

| | コメント (0)

2019年8月 1日 (木)

消費税軽減税率制度Q&Aの追加項目のまとめ

昨日、国税庁から 「消費税の軽減税率制度に関するQ&A(個別事例編)」の改正版が公表されました。

「消費税の軽減税率制度に関するQ&A(個別事例編)」(令和元年7月改訂)

20190801

このQ&Aは平成28年4月の公表から数度の改訂が行われており、今回、追加又は改訂された問いの内容を簡単にまとめておきます。

基本的には従来からの考え方を踏襲したものですが、問68(遊園地の売店)で、「飲食設備」は「遊園地といった施設全体を指すものではない」と明文化されたのは、関連業界の方々の実務の助けになるでしょう。

問 14 【改訂】(みりん、料理酒、調味料の販売)
料理酒などの発酵調味料も軽減税率対象であることを追加

問22【追加】(炭酸ガスの販売)
添加物として販売されている炭酸ガスは軽減税率対象。

問26【追加】 (キャラクターを印刷したお菓子の缶詰等)
キャラクターを印刷した缶詰等も基本的には食品の販売に付帯して通常必要なものとして軽減税率の対象となる。

問27【改訂】(桐の箱の容器)
容器等に商品の名称などを直接印刷等したとしても、その飲食料品を販売するためにのみ使用していることが明らかでないものは軽減税率の対象外であることを追記。

問28【追加】(割り箸を付帯した弁当、ストローを付帯した飲料等)
食器具等も含めて軽減税率の対象。

問30【追加】(飲用後に回収される空びん)
飲用後の空びん回収時の「びん代」は軽減税率の対象外。

問41【追加】(制作物供給契約による飲食料品の譲渡等の取扱い)
飲食料品の製作物供給契約による製造においては、その取引が「(飲食料品の)製造販売」(軽減税率8%)か「賃加工」(標準税率10%)かを契約内容等により個別に判断する。

問42【改訂】(販売奨励金)
「飲食料品の譲渡」に伴う「販売奨励金」や「リベート」は、その目的や性質によって「対価の返還等」(軽減税率8%)か「役務の提供」(標準税率10%)かを判断する必要がある旨を追加。

問43【追加】(自動販売機の手数料)
「役務の提供」の対価に該当し標準税率。

問51【改訂】(屋台等での飲食料品の提供)
フードイベントについて屋台と同じ考え方を適用することを追加。

問54【追加】(従業員専用のバックヤードで飲食する場合)
従業員専用のバックヤードのように顧客により飲食に用いられないことが明らかな設備については飲食設備に該当しない。

問60【追加】(セット商品のうち一部を店内飲食する場合)
ハンバーガーとドリンクのセット商品のうち、ドリンクだけを店内飲食すると意思表示されたとしても、全体として「食事の提供」に該当し標準税率が適用される(ただし、単品で販売する場合は個々に判断する)。

問67【追加】(合意等の範囲)
「合意等」には、契約書等で明らかにされているもののみならず「黙示の合意」も含む。

問68【追加】(遊園地の売店)
遊園地という施設全体で「飲食設備」に該当するわけではない。ただし、園内に点在する売店の管理が及ぶテーブルや椅子などは「飲食設備」に該当する。

問88【追加】(食品と非売品のおもちゃの一括譲渡)
食品と非売品のおもちゃを一括譲渡する場合、非売品のおもちゃの対価を0円として按分計算することも許容される。

問89【追加】(販促品付きペットボトル飲料)
おもちゃが非売品で、おもちゃがつかなくても価格が変わらない場合、おもちゃの価格を0円として一体資産の飲食料品の譲渡に該当する。

問90【追加】(特定の飲食料品を購入した際にレジで配布される販促品)
販促品が非売品であり、販促品なしでも価格が変わらない場合、販促品の売価を0円として一体資産の要件を判断可能。


問94【追加】(食品と食品以外の資産の仕入れに共通して要した付随費用)
一体資産における食品の占める割合の計算では、①付随費用を考慮しない方法、②付随費用を各商品に按分する方法のいずれかの方法で行う。

問95【追加】(一体資産に含まれる食品に係る部分の割合の売価による判定)
一体資産における食品の割合算出にあたって、売価や原価情報の入手に制限がある場合、セット商品の売価から実際に販売されている売価を控除する方法で計算することも許容される。

問100【追加】(ホテルに対して販売する新聞)
ホテルに対して定期購読契約に基づき一定数を納品するほか、当日の宿泊客数に応じて追加部数を納品する場合、前者は軽減税率対象となるが後者は標準税率になる。

問117【追加】(年間契約の区分記載請求書)
月額料金を定めた保守サービス等で、1年間の保守料金を税率改正前に前受する場合、請求書等に旧税率と新税率の対価の額を区分して記載する必要がある。


同時に
「消費税の仕入税額控除制度における適格請求書等保存方式に関するQ&A」についても改正版が公表されています。
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/zeimokubetsu/shohi/keigenzeiritsu/pdf/qa/01-01.pdf

以下の問が追加されています。

問40【追加】(売上げに係る対価の返還等の基となった課税資産の譲渡等を行った年月日の記載)
課税期間の範囲内で一定の期間の記載も可。

問51【追加】(適格請求書等の写しの範囲)
書類そのものを複写したものに限らず、記載内容が確認できればよい。

問66【追加】(見積額が記載された適格請求書の保存等)
見積額が記載された適格請求書の交付が受けられない場合でも、電気、ガス、水道水の供給のように継続して行われる取引については、その後、金額確定時の適格請求書を保存することを条件として見積額で仕入税額控除可能。

問78【追加】(売上税額の積上げ計算における適格請求書の交付の範囲)
スーパーのレシートのように適格請求書を交付しようとしたものの顧客が受け取らなかった場合でも、積上げ計算の対象にできる。

【ご案内】
おかげさまで、みずほセミナーの軽減税率セミナーが3度目の追加開催となりました。
2019年8月7日(水)
総点検!『軽減税率・インボイス方式』をめぐる消費税システム対応」
https://www.mizuhosemi.com/section/accounting/19-10845.html
多くの方のご参加をお待ちしております。

| | コメント (0)

2019年7月31日 (水)

弥報Magazineに「誰もがはじめての軽減税率制度」を寄稿しました

弥生会計のユーザー向け広報誌 弥報Magazine 2019年7月号に「基本から知っていこう!誰もがはじめての軽減税率制度」を寄稿しました。
20190731

2019年10月の軽減税率制度導入まで、残された時間は後2ヵ月。
昨年の弥報Magazine 11月号でも軽減税率制度の記事を寄稿しましたが、2ページと限られた文量でしたので軽減税率の留意点のみをご紹介しました。

今回は、誌面も増えましたので
基本をおさらい 「軽減税率 基本のき」
疑問点を解決  「こんなこと、困っています」
確認しておきたい 「経過措置について」
と読者の皆さんの理解度に合わせた構成になっています。

特に、 「軽減税率対策補助金」「キャッシュレス・消費者還元事業」といった支援制度については、事業者側から申請や登録といったアクションを起こす必要があります。申請期限にも注意して、有効に御利用ください。

会員向け広報誌のため一般の方は入手が難しいかもしれませんが、弥生さんの広報誌は30万部(!)も発行されているそうですので、どこかで見かけられたご一読いただければ幸いです。

【ご案内】
おかげさまで、みずほセミナーの軽減税率セミナーが3度目の追加開催となりました。
2019年8月7日(水)
総点検!『軽減税率・インボイス方式』をめぐる消費税システム対応」
多くの方のご参加をお待ちしております。

| | コメント (0)

2019年7月 9日 (火)

IT委員会研究報告第53号の公表と公開草案からの改正点

2019年7月8日付で、日本公認会計士協会IT委員会からIT委員会研究報告第53号「IT委員会実務指針第6号「ITを利用した情報システムに関する重要な虚偽表示リスクの識別と評価及び評価したリスクに対応する監査人の手続について」に関するQ&A」が公表されました。

https://jicpa.or.jp/specialized_field/20190709ied.html

20190709

この改正については、4月9日に公開草案が公表されており、従来の研究報告からの改正点については4月9日付の当ブログで解説していますので、今回は公開草案からの改正点についてみていきましょう。

公開草案に対して寄せられたコメントへの対応表では公開草案から特段の改正がないように見えますが、文章表現等を含め最終版では次のような修正が行われています。

1.関連規定の追加
各問の下に記載されている関連規定の記載を監査基準委員会報告等も含めた詳細な記述に変更。

2.最終版で新たに追加された文章
公開草案に含まれていなかった次のような文章を追加。

A6 3行目から
なお、財務報告に関連する情報システムの理解の範囲は、監査人の職業的専門家としての判断に基づいて決定される事項です。財務諸表に開示される情報には総勘定元帳や補助元帳からだけではなく、それ以外から得られる情報も含まれるため、監査人が理解すべき財務報告に関連する情報システムには、総勘定元帳や補助元帳以外の情報システムのうち、注記事項に関連する部分が含まれます(監基報315 A87 項)。

A9 7行目から
さらに、監査人は、アプリケーションによって作成される財務情報の信頼性を確保することに関連する内部統制を識別し評価する必要もあります(IT実6号第23 項)。
ITを利用した情報システムに対する内部統制には、業務処理統制と全般統制が含まれます。監査人は、企業の統制活動の理解に際し、ITに起因するリスクに企業がどのように対応しているかを理解しなければなりません(IT実6号第29項)。


3.文章表現に関する修正
上記以外は、文章表現に関する修正であり、例えば次のようなものです。太字が最終版における修正箇所( )内赤字が公開草案時の文章。

A1
なお、ITから自動生成される情報を利用して実施される手作業による内部統制の評価を行う場合、手作業に利用する情報を自動生成するような機能についても、自動化された業務処理統制と同様に必要な評価作業を行うことがあります(求められます) 。このような情報の自動生成の機能は、全般統制により支援されるITにより自動化された機能であるため、当該機能それ自体の評価のみならず、関連する全般統制の評価を行う(が必要となる)ことがあります。

A3
なお、グループ監査における重要な構成単位に対して実施する(しなければならない) 「ITの利用に関する概括的理解」は、ITの利用に伴う重要な虚偽表示に関する潜在的リスクが十分に低いか否かを判断することが重要です。

A7
企業が市販のパッケージ・ソフトウェアを利用している場合であっても、監査人 は、当該パッケージ・ソフトウェアによる計算処理の妥当性等について検証すること は重要(が必要になる)と考えられます。

また、今回のIT委員会研究報告第53号の公表により、従来のIT委員会研究報告第42号は廃止されます。
https://jicpa.or.jp/specialized_field/20190709rhz.html

| | コメント (0)

2019年7月 4日 (木)

キャッシュレス・消費者還元事業の消費者向けリーフレットの公表

消費税率引上げに対応する消費活性策として、2019年10月から導入が予定されている「キャッシュレス・消費者還元事業」の消費者向けリーフレットが、経済産業省のポータルサイトで公表されました。
201907040

https://cashless.go.jp/assets/doc/consumer_leaf_introduction.pdf


今回公表されたのは制度の概要を説明するパンフレットですので、詳細については既に公表されている事業者向けの登録要領等を参照する必要があります。

ちなみに、経済産業者が管轄するこのHP、当初は消費者向けの詳細を「5月ごろ公開予定」と表示していたのですが、現時点においても「近日公開予定」のままになっています。

(2019年5月時点の表示)
201907041

(2019年7月4日時点の表示)
201907042

制度開始まであと3ヵ月しかありませんが、大丈夫なんでしょうか?

【ご案内】
2019年8月7日(水)に、 みずほセミナーで下記講座を開催します。
「消費税『軽減税率・インボイス方式』の導入とシステム対応」
多くの方のご参加をお待ちしております。

| | コメント (0)

2019年6月11日 (火)

国税庁「消費税の軽減税率制度に対応した経理・申告ガイド」の公表

昨日、国税庁HPにおいて「消費税の軽減税率制度に対応した経理・申告ガイド」が公表されました。

https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/zeimokubetsu/shohi/keigenzeiritsu/pdf/0019005-113.pdf

このパンフレットは、軽減税率導入後の記帳方法から申告手続きについて解説したパンフレットであるため、一般の方々というよりも経理部門や税理士向けの内容になっています。

しかし、この新しい付表1-1と1-2の様式の煩雑さを見ると、10月以降の申告作業が思いやられます。

201906112

201906111

 

| | コメント (0)

2019年5月24日 (金)

決算書の日付表記について(「会計の基本」14刷りの御礼)

このたび、拙書『この一冊ですべてわかる 会計の基本』が、2010年の刊行から14度目の増刷となりました。
これも、ひとえに読者並びに営業部門を中心とした日本実業出版の皆様のご協力のおかげです。この場をお借りして御礼申し上げます。

本書は会計の基本書でありますが、増刷のたびに最新の会計制度にあわせて改訂を行っています。
今回の改訂では、決算書の日付表記を「邦歴(令和)」にするか「西暦」にするかで頭を悩ませました。
結論としては招集通知のいわゆる株懇モデルに準じまして
「明示しない(○年○月○日等と表記」
方向で対応しております。(弱気な折衷案で申し訳ありません)

20190524

書店で目にされる機会も増えると思いますので、その際は、一度、お手にとっていただければ幸いです。

201905242

| | コメント (0)

2019年5月 7日 (火)

新元号による源泉所得税納付書の記載

新元号を迎えてから最初の更新となりましたが、令和の時代も引き続き、よろしくお願いいたします。

本日、国税庁HPにおいて「新元号に関するお知らせ」が公表されており、次のような案内がでています。

・新元号への移行に伴い各種様式は順次更新するが、当面の間、各様式の「平成」は「令和」などに読み替えて使用する。
・納税者からの提出書類は平成表記の日付でも有効なものとして取り扱う

税務実務においては、5月10日に納期を迎える源泉所得税の納付書(正確には「源泉所得税の所得税徴収高計算書」)の記載方法が気になるところだと思いますが、その点については既に「改元に伴う源泉所得税の納付書の記載のしかた」が公表されています。

・手持ちの納付書に印字されている「平成」の抹消や「新元号」の追加記載などにより補正は不要。
・平成 31 年(2019 年)4月1日から新元号2年(2020年)3月末日の間に納付する場合、納付書左上「年度欄」は「31」と記載する。
・「支払年月日」や「納期限」が「令和元年XX月」の場合には「01XX」と記載する。

「新元号に関するお知らせ」のところで前述したとおり、納付書の記述を平成表記の「31」で記載しても有効なものとして扱われますので、ご安心ください。

今後も税務関係の書類は邦歴表示が継続されるため、西暦表示化が進んでいる金商法関係書類との混乱が懸念されます。
(ちなみに、同じ税務研究会の刊行物でも「週刊税務通信」は邦歴、「週刊経営財務」は西暦であります。)

20190507 

| | コメント (0)

2019年4月 9日 (火)

IT委員会研究報告第42号改訂版の公開草案公表

2019年4月5日付で、日本公認会計士協会IT委員会から現行のIT委員会研究報告第42号「IT委員会実務指針第6号「ITを利用した情報システムに関する重要な虚偽表示リスクの識別と評価及び評価したリスクに対応する監査人の手続について」に関するQ&A」の改訂にかかる公開草案が公表されました。

https://jicpa.or.jp/specialized_field/20190405gcw.html

20190409

財務報告における情報システムに関する評価については、2011年12月に公表されたIT委員会実務指針第6号と、当該実務指針に対応したQ&A集であるIT委員会研究報告第42号を参考に行われていました。

今回、クラウドサービスなどのIT環境の変化に対応してQ&A(IT委員会研究報告第42号)の見直しが行われました。

今回の改訂で従来のQ&Aとは構成順序が大幅に変更されているためか、新旧対照表が公開されていません(公表されている比較表は項目ごとの関連性のみを示しています)。
そこで、主要な変更箇所について抜粋しておきます。

(新規追加項目)
Q1 ITを利用した情報システムに対する内部統制はどのように分類されるのでしょうか。また、業務処理統制についてIT実6号ではどのように分類しているのでしょうか。

Q2 ITを利用した情報システムでのITのリスクとはどのようなものでしょうか?

Q1,Q2では、他の委員会報告等で示されていた事項について、あらためて概括的なまとめが記載されています。
当研究報告を利用するにあたって前提となる知識ですので、冒頭の総論として再整理しているのは利用者にとっても有益でしょう。

(新規追加項目)
Q8 パッケージ・ソフトウェアのカスタマイズとは何でしょうか。また、「パッケージ・ソフトウェアをカスタマイズせずに利用する場合」とはどのような場合でしょうか。

A8
企業が各社の業務に応じて選択したパッケージ・ソフトウェアを導入しても、パッケージ・ソフトウェアの標準機能だけでは実現不可能な業務ニーズがある場合には、パッケージ・ソフトウェアを改造(カスタマイズ)したり、追加開発(アドオン)を伴って導入することになります。当該カスタマイズとは、ソフトウェア機能自体(全体)の評価に影響を及ぼす重要な仕様変更となるようなシステム変更・追加開発を指します。また、パッケージ・ソフトウェアをカスタマイズせずに利用する場合とは、データの登録・変更・削除、及び締切・自動計算等の変更を伴う重大なカスタマイズがない場合をいいます。(以降略)

旧委員会報告ではパッケージのカスタマイズの有無が評価上の重要な論点になっていましたが、カスタマイズ自体の定義が明確になっていなかったため、当該QAが追加されています。

近年増加しているクラウドシステムに関しても項目ごとに補筆されています。例えばQ22に次のようか記述が追加されています。

Q22 市販の簡易なパッケージ・ソフトウェアを利用して会計帳簿を作成している場合の留意点にはどのようなものがあるでしょうか。

A22
(一部略)
4.クラウド会計システムを利用している場合
会計システムのソフトウェアを購入するのではなく、ベンダーがクラウド環境下に設置したソフトウェアをネットワーク経由で利用するようなサービスを使うことがあります。このようなクラウド会計システムを利用する際、自社保有とパブリッククラウドの違いとそれによるリスクを考慮せずに、市販の簡易なパッケージ・ソフトウェアとして評価を行うことがないよう、パブリッククラウド利用のリスクについて検討することは重要です。例えば、会計システムの管理者権限を社外のベンダーが保有する場合には、不適切なアクセスのリスクに対する内部統制について如何に把握するかが課題になります。また、データのバックアップ体制等についてもベンダーとの契約内容で十分にリスク対応されているかを検討する必要ことになります。
上記のような事項についてもクラウド業者に往査して十分な情報を得ることはパブリッククラウドの他の利用者への守秘義務の関係で制限が加わることも多くあります。そのためクラウドに係るリスクへの対応としては、クラウド会計システムに係る、監査・保証実務委員会実務指針第86 号「受託業務に係る内部統制の保証報告書」(以下「監保実86 号」という。)に基づき発行された保証報告書等を取得することが考えられます。

本公開草案に対する意見募集期限は2019年5月6日までになっており、新しいIT委員会研究報告の公表に伴い、従来のIT委員会研究報告第42号は廃止される予定です。

 

| | コメント (0)

2019年4月 8日 (月)

「マンガでやさしくわかる決算書」13度目の重版出来

このたび、拙書『マンガでやさしくわかる決算書』が、2015年の刊行から13度目の増刷となりました。


20190408
これも、ひとえに読者並びに営業部門を中心とした日本能率協会マネジメントセンター(JMAM)の皆様のご協力のおかげです。
この場をお借りして御礼申し上げます。

ホテルの部屋番号等では縁起をかついで「13」を飛ばす慣習があるようですが、先日、13刷りになった日本実業出版社の『会計の基本』も、今回のJMAMさんも13刷で発売していますので、出版業界においては同様の慣習はないようです。
(まあ、日本で番号飛ばすなら「13」の前に「4」か「9」が先でしょうが)

【ご案内】
本年1月11日に みずほセミナー で開催した消費税講座が、2019年5月22日(水)に追加開催されることになりました。
「消費税『軽減税率・インボイス方式』の導入とシステム対応」
https://www.mizuhosemi.com/section/accounting/19-10543.html

今回は、4月中に詳細が公表されるポイント還元制度も含めた最新情報もお伝えする予定です。多くの方々のご参加をお待ちしております。

| | コメント (0)

2019年3月15日 (金)

消費税率引上げに伴うポイント還元制度の詳細

消費税率引上げに伴う需要変動に対応するために、2019年10月からキャッシュレス決済のポイント還元制度が導入されます。
しかし、導入まで半年しかない3月になっても制度の詳細が明らかにならないため、税率改正以上にシステム修正への負荷が懸念されていました。

201903151

 

3月12日から当制度におけるキャッシュレス決済事業者の募集が開始され、同時に公開されたキャッシュレス決済事業者登録要領から新制度の詳細がわかります。
https://cashless.go.jp/assets/doc/kessai_tourokuyouryou.pdf

 

対象となる中小企業の定義については次のように規定されています。

 

5.1 公募の対象となる中小・小規模事業者
本事業において登録の対象となる中小・小規模事業者は、中小企業基本法第2条に準じ、以下のとおりとする。
製造業その他:資本金の額又は出資の総額が3億円以下の会社又は常時使用する従業員の数が300人以下の会社及び個人事業主
卸売業:資本金の額又は出資の総額が1億円以下の会社又は常時使用する従業員の数が100人以下の会社及び個人事業主
小売業:資本金の額又は出資の総額が5千万円以下の会社又は常時使用する従業員の数が50人以下の会社及び個人事業主
サービス業(注):資本金の額又は出資の総額が5千万円以下の会社又は常時使用する従業員の数が100人以下の会社及び個人事業主

 

※旅館業は資本金5千万円以下又は従業員 200 人以下、ソフトウェア業・情報処理サービス業は資本金 3 億円以下又は従業員 300 人以下とする。
※現時点での想定であり、今後変更がありうる。

※詳細は 4 月を目途にキャッシュレス・消費者還元サイト等にて追って公表する。

【追記】対象事業者については上記規程以外に、「5.2 登録の対象外となる中小・小規模事業者」 「5.3 フランチャイズチェーン等」の規定もあるので、ご注意ください。

 

さらに、ポイント還元の対象外となる取引については、次のように規定しています。

 

6.1.1 消費者還元補助の対象外となる取引
以下の取引については、交付申請の対象外とする。

※詳細は 4 月を目途にキャッシュレス・消費者還元サイト等にて追って公表する。

① 消費税非課税とされている物品やサービスの購入等において支払手段となるものに係る取引
(ア)郵便切手類の譲渡、印紙の売渡し場所における印紙の譲渡及び地方公共団体等が行う印紙の譲渡
(イ)商品券、プリペイドカード等の物品切手等の譲渡
② 別途の需要平準化対策が講じられる取引
(ア)自動車(新車・中古車)の販売
(イ)新築住宅の販売
③ 当せん金付証票(宝くじ)、スポーツ振興投票券(スポーツ振興くじ)、勝馬投票券(競馬)、勝者投票券(競輪)、舟券(競艇)、勝車投票券(オートレース)の販売
④ 収納代行サービス、代金引換サービスに対する支払い
⑤ 給与、賃金、寄付金、祝金、見舞金、補助金 等
⑥ 一度成立した取引のキャンセル取引及びキャンセル取引により存在しなくなった原因取引
⑦ その他、本事業の目的・趣旨に反すると経済産業省及び補助金事務局が判断するもの

 

そもそも加盟店がクレジット会社に送信するデータには商品別の明細は含まれていませんから、上記対象外取引と対象取引が混在した場合には区分のしようがありません。
さらに、引用した注記にあるように詳細の確定は平成31年度予算成立後の4月以降になります。
(それにもかかわらず今回の決済事業者の登録期限は3月12日から3月20日までの8日間(!)だけ)

 

システム担当者にとっては、詳細が明らかになるほど不安が増してきますが、当ブログでは引き続き情報収集を続けていきたいと思います。


【ご案内】
2019年8月7日(水)に、 みずほセミナーで下記講座を開催します。
「消費税『軽減税率・インボイス方式』の導入とシステム対応」
多くの方のご参加をお待ちしております。

 

 

 

 

消費税率引上げに伴うポイント還元制度の詳細<br>

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2019年2月 4日 (月)

弥報ONLINEに「消費税改正と軽減税率制度に対応する際の注意点」を寄稿しました

弥生株式会社のwebサイト「弥報ON LINE」「消費税改正と軽減税率制度に対応する際の注意点」を寄稿しました。
https://media.yayoi-kk.co.jp/support/8363/

当記事は、先日、弥生会計のユーザー向け広報誌 弥報Magazine11月号に寄稿した記事とほぼ同じ内容ですが、Web版は、どなたでも閲覧可能です。

軽減税率導入の平成31年10月まで、残された時間は8か月しかありません。

「ウチの会社は大丈夫だろう」

と思われている方こそ、ご一読ください。


20190204

新刊『新しい収益認識基準のシステム対応』が発売されます

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2018年12月 7日 (金)

新刊 『新しい収益認識基準のシステム対応』が発売されます

今年の3月に企業会計基準委員会から公表された 「収益認識に関する会計基準」 は、平成33(2021)年4月1日以後開始する事業年度から適用が開始されます。

新しい収益認識基準の導入は企業内の様々な会計システムに影響を与えます。

そこで、IT部門をはじめとした経理部門以外の方々に、新基準を理解していただくとともにシステム対応時の留意点を解説する新刊を執筆しました。

『新しい収益認識基準のシステム対応』 (中央経済社)

201812071


本書の全体構成は、次の1枚の図にまとめられます。

201812072

新基準適用開始までの限られた時間、限られた資源の中で効率的に対応するためには、会計基準の理解だけでは不十分であり、法令システムプロセスという3つの視点から、対応時の要点を洩れなく解説しています

また、収益認識基準に関係する販売管理システムの修正にあたっては、同時期に行われる軽減減税率やインボイス方式といった消費税改正の知識も欠くことはできません。

本書では、多くの事例やチェックリストとともに新基準導入までの道筋をお伝えしていきます。

書店には今週末から並ぶと思いますので、お見かけになられた際には、一度、お手に取っていただければ幸いです。

新刊『新しい収益認識基準のシステム対応』が発売されます

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2018年12月 3日 (月)

1年分の料金を前払した場合の消費税の扱い

先日のブログで、 「1年分の料金を前受した場合、消費税率はどうすればよいのか?」 という記事を書きましたが、反対に

「1年分の料金を前払した場合、消費税率はどうすればよいのか?」

についてもまとめておきます。

 

平成31年10月1日(以降「施行日」)から消費税率が10%に引き上げられますが、施行日前に施行日以降の期間分も含んだ役務提供金額を一括して支払う場合があります。

 

消費税法上の基本的な考え方は前受(売上側)と同じで、適用される消費税率は 「資産の譲渡等」 の時点で決定し、それが施行日前ならば8%、施行日以降ならば10%(経過措置及び軽減税率対象を除く)になります。

 

月額契約等で、その役務提供が月々完了するものについては、毎月の役務提供完了時の税率が適用されます。

 

売上側と異なるのは、支払った側(経費)が法人税法における短期前払費用(法基通2-2-14)を適用して、1年以内の経費を一括して損金処理した場合です。

 

この時の消費税法上の扱いについては、「平成31年(2019年)10月1日以後に行われる資産の譲渡等に適用される消費税率等に関する経過措置の取扱いQ&A」【具体的な事例編】の問7で説明されています。

法人税法上は全額を損金算入したとしても、施行日前の消費税申告では新税率(10%)による申告はできないため、消費税については8%分と10%分を区分して処理します。
実際の経理処理としては、次のような2種類の方法が考えられます。

(追記:当初掲載していた仕訳金額の一部を修正しています。2018/12/25)
20181203_3
【追記 2019/8/1】
「消費税の軽減税率制度に関するQ&A(個別事例編)」が改正されました、1年分の料金を前受する場合の扱いについては、新たに追加された「問117 年間契約の区分記載請求書」もご参照ください。


【ご案内】
2019年8月7日(水)に、 みずほセミナーで下記講座を開催します。
「消費税『軽減税率・インボイス方式』の導入とシステム対応」
多くの方のご参加をお待ちしております。

 

 

 

1年分の料金を前払した場合の消費税の扱い<br><br><br>

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2018年11月30日 (金)

1年分の料金を前受した場合の消費税の扱い

平成31年10月1日(以降「施行日」)に行われる消費税率改正まで、1年を切りました。
年末を迎えてクライアントから問い合わせの多い、
「1年分の料金を前受した場合、消費税率はどうすればよいのか?」
という論点についてまとめておきます。

 

消費税法上、適用される消費税率は「資産の譲渡等」の時点で決定し、それが施行日前ならば8%、施行日以降ならば10%(経過措置及び軽減税率対象を除く)になります。

物の引渡しを要さない役務提供については、役務の全部を完了した日が「資産の譲渡等」の時期になりますので(消基通9-1-5)、1年契約のもので役務提供の完了日が施行日以降の場合、収受した全額について改正後の10%が適用されます。

 

一方、代金は年払いであっても、役務提供が月ごと に行われる場合が問題になります。
このようなケースについては、国税庁が公表している「平成31年(2019年)10月1日以後に行われる資産の譲渡等に適用される消費税率等に関する経過措置の取扱いQ&A」【基本的な考え方編】【具体的な事例編】 が参考になります。

月額契約で、その役務提供が月々完了するものについては、毎月の役務提供完了時の税率を適用します(毎月収益計上していることが前提)。(事例編 問2参照)
ただし、中途解約時の未経過分について返還の定めがない契約において、継続して収受額の全額を収益計上しているも場合には施行日前の収益計上分に旧税率(8%)を適用することが許容されています。(基本編 問6参照)

 

これらの関係は、次の図のようにまとめられます。
20181130_2
消費税法上の扱いはわかったとしても、実務上の問題は、税率改正分の料金をいつ、どのようにして請求・回収するかです。
顧客からいくら回収するかと、会社の消費税処理は異なる次元の問題であり、年払いで請求している企業が10月以降の税率アップ分を追加で請求できるか否かは取引慣行などによって異なります。
前回(平成26年4月時)の改正時には、追加分の請求が困難なため、従来通り5%ベースで1年分を請求し、税率改正以降分については8%の課税売上として処理している事例も多く見受けられました。

【追記 2019/8/1】
「消費税の軽減税率制度に関するQ&A(個別事例編)」が改正されました、1年分の料金を前受する場合の扱いについては、新たに追加された「問117 年間契約の区分記載請求書」もご参照ください。


【追記 2018/12/3】
「1年分の料金を前払した場合の消費税の扱い」についは、こちらをご参照ください。

【ご案内】
2019年8月7日(水)に、 みずほセミナーで下記講座を開催します。
「消費税『軽減税率・インボイス方式』の導入とシステム対応」
多くの方のご参加をお待ちしております。

 

 

1年分の料金を前受した場合の消費税の扱い<br><br><br>

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2018年11月21日 (水)

弥報Magazineに「軽減税率制度への対応」を寄稿しました

弥生会計のユーザー向け広報誌 弥報Magazine11月号「業務を止めないためにも知っておこう! 軽減税率制度への対応を寄稿しました。

20181121_2

平成31年10月から飲食料品等を対象に軽減税率制度が導入されます。
本稿では、軽減税率制度の概要と対応時の留意点についてまとめています。

なにぶん、見開き2ページの文量のためポイントをしぼってお伝えしていますが、

・飲食料品と関係ない業種でも仕入れや経費で軽減税率対象が生じる

・税率改正前後の経過措置対象の税率8%取引と軽減税率8%の取引は区分する


 という2点については、十分、ご注意ください。

会員向けの広報誌ですので、一般の方が入手可能なものではありませんが、弥生さんの広報誌は30万部(!)も発行されているそうですので、どこかで見かけられた際には、ご一読ください。

【ご案内】
2019年1月11日(金)に、みずほセミナー で下記講座を開催します。
「消費税『軽減税率・インボイス方式』の導入とシステム対応」
多くの方のご参加をお待ちしております。

弥報Magazineに「軽減税率制度への対応」を寄稿しました

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2018年11月 9日 (金)

消費税の軽減税率制度に関するQ&Aの改正

先日の経過措置のQ&Aに続き、国税庁から 「消費税の軽減税率制度に関するQ&A(個別事例編)」の改訂版も公表されました。

「消費税の軽減税率制度に関するQ&A(個別事例編)」(平成30年11月改訂)
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/zeimokubetsu/shohi/keigenzeiritsu/pdf/qa/03-01.pdf

このQ&Aは平成28年4月の公表以降、数度の改訂を経て現在に至っています。
今回の改訂で追加されたのは次の問です。

問10  (ウォーターサーバーのレンタル及びウォーターサーバー用の水の販売)
問32 (飲食料品のお土産付きのパック旅行)
問33 (日当等の取り扱い)
問38 (委託販売手数料の取扱い)
問46 (スーパーマーケットの休憩スペース等での飲食)
問47 (飲食可能な場所を明示した場合の意思確認の方法)
問48 (イートインスペースで飲食される物の限定)
問49 (コーヒーチケットの取扱い)
問52 (回転寿司店でパック詰めした寿司を持ち帰る場合)
問76 (食品と食品以外の資産が選択可能である場合の一体資産該当性)
問79 (食品と酒類のセット販売時の一括値引き)
問90 (税抜対価の額と消費税額を記載する場合)
問95 (軽減税率の適用対象となる商品がない場合)
問99 (一括値引がある場合のレシートの記載)
問102 (価格表示の方法

Q&Aの内容については、既に新聞等でも取り上げられていますので、ご存知の方も多いと思います。
「回転ずしの持ち帰り」とか「コーヒーチケット」の扱いなど、笑い話のような項目も含まれていますが、当ブログでは、会計システムに影響を与える問にしぼってご紹介しましょう。

(税抜対価の額と消費税額を記載する場合)
問 90 区分記載請求書等保存方式において、記載事項である「税率ごとに合計した課税資産の譲渡等の対価の額(税込価格)」について、「税率ごとに合計した課税資産の譲渡等の対価の額(税抜価格)」に加えこれに係る消費税額等を記載することとしていますが、記載事項の要件を満たしますか。【平成 30 年 11 月追加】

区分記載請求書等保存方式においては、従来の請求書等に追加記載する事項を
「軽減対象資産の譲渡等である旨」
「税率ごとに合計した課税資産の譲渡等の対価の額(税込価格)」

と条文に規定しています(改正法附則 34②)。

この「税率ごとに合計した課税資産の譲渡等の対価の額(税込価格)」については、税込価格以外にも
・税率ごとに合計した課税資産の譲渡等の対価の額(税抜価格
・ 税率ごとに合計した課税資産の譲渡等の対価の額(税抜価格)に係る消費税額等

の両方を記載する方法も許容されることが示されています。

(一括値引がある場合のレシートの記載)
問 99
当社は、小売業(スーパーマーケット)を営む事業者です。当社では、飲食料品と飲食料品以外のものを同時に販売した際に、合計金額(税込み)から 1,000 円の値引きができる割引券を発行しています。
平成 31 年(2019 年)10 月から、顧客が割引券を使用し、値引きを行った場合、当社が
発行するレシートには、どのような記載が必要となりますか。【平成 30 年 11 月改訂】

複数の税率を含む取引に一括して値引きを行った場合、値引後の「税率ごとに合計した課税資産の譲渡等の対価の額」を明らかにする必要があります。

この際に、
値引前の「税率ごとに合計した課税資産の譲渡等の対価の額」 と
・税率ごとの値引額

を記載する方法も許容されることが示されています。

20181109

あわせて、「消費税の仕入税額控除制度における適格請求書等保存方式に関するQ&A」についても改訂版が公表されています。

https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/zeimokubetsu/shohi/keigenzeiritsu/pdf/qa/01-01.pdf

今回の改訂では、次の問が追加されています。

問31(複数の委託者から委託を受けた場合の媒介者交付特例の適用)
問41(販売奨励金等の請求書)
問44(複数書類で適格請求書の記載事項を満たす場合の消費税額等の端数処理)
問45(一括値引がある場合の適格簡易請求書の記載)
問 47(軽減税率の適用対象となる商品がない場合) 問58 (仕入明細書に記載する課税仕入れに係る支払対価の額)
問59 (仕入明細書において対価の返還等について記載した場合)
問60 (適格請求書と仕入明細書を一の書類で交付する場合)

【ご案内】
2019年1月11日(金)に、みずほセミナーで下記講座を開催します。
「消費税『軽減税率・インボイス方式』の導入とシステム対応」
多くの方のご参加をお待ちしております。



20170313

消費税の軽減税率制度に関するQ&Aの改正

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2018年11月 5日 (月)

消費税率改正時の取引に関するQ&Aの公表

昨日、国税庁から 「平成 31 年(2019 年)10 月1日以後に行われる資産の譲渡等に適用される消費税率等に関する経過措置の取扱いQ&A」が公表されました。

『基本的な考え方編』
http://www.nta.go.jp/publication/pamph/shohi/kaisei/pdf/02.pdf

『具体的事例編』
http://www.nta.go.jp/publication/pamph/shohi/kaisei/pdf/03.pdf

このQ&Aは、消費税率改正前後の取引に関する消費税法上の扱いについてまとめたもので、前回、平成26年4月に行われた税率8%への改正時にも同様のQ&Aが公表されています。

ただし、今回のQ&Aは前回の改正時よりもボリュームアップし、基本編と事例編の2部構成になっています。
この中で注目されるのが、1年間の役務提供代金を前受する場合の扱いを示した「基本的な考え方編」の問6です。

(31年施行日を含む1年間の役務提供を行う場合)
問6 平成31年9月1日に、同日から1年間の役務提供を行う契約を締結するとともに、1年分の対価を受領しています。この場合、消費税法の適用関係はどのようになりますか。

【答え】
役務の提供に係る資産の譲渡等の時期は、物の引渡しを要するものにあってはその目的物の全部を完成して引き渡した日、物の引渡しを要しないものにあってはその約した役務の全部を完了した日とされています(基通9-1-5)。
照会の役務提供契約が、その契約期間を1年間として料金を年額で定めており、その役務提供が年ごとに完了するものである場合には、その資産の譲渡等の時期は役務の全部を完了する日である平成32年8月31日となり、31年施行日(平成31年10月1日)以後に行う課税資産の譲渡等となりますから、原則として新税率(10%)が適用されます。

ただし、1年分の対価を受領することとしており、中途解約時の未経過部分について返還の定めがない契約において、事業者が継続して1年分の対価を受領した時点の収益として計上している場合は、31年施行日の前日(平成31年9月30日)までに収益として計上したものについて旧税率(8%)を適用して差し支えありません。
(太字は筆者加筆)


前段で従来からの基本的な扱いを示していますが、ただし書き以降で「中途解約時の返金なし」で「継続して1年分の対価を受領時に収益計上」している場合には、旧税率の適用を許容する扱いが示されています。

もうひとつ、今回の税率改正で頭が混乱するのが「特定新聞に関する経過措置」でして、問45に以下のような問があります。

(特定新聞の税率等に関する経過措置の概要)
問45 特定新聞の税率等に関する経過措置の概要を教えてください。
【答】
事業者が、不特定かつ多数の者に週、月その他の一定の期間を周期として定期的に発行される新聞で、発行者が指定する発売日が31年施行日(平成31年10月1日)前であるもの(特定新聞等)を31年施行日以後に譲渡する場合、その譲渡については旧税率(8%)が適用されます(改正令附則5②)。

なお、特定新聞の譲渡が、軽減対象資産の譲渡等である場合には、当該経過措置は適用されず(28年改正令附則4)、軽減税率が適用されます。

今回、軽減税率の対象に「新聞」が含まれているため、税率改正後も適用税率は8%と思われるかもしれませんが、軽減税率の対象となるのは「定期購読契約に基づくもの」に限定されるため、上記「特定新聞」とは対象が異なります。

また、同じ税率8%でも、経過措置によって現行税率8%が適用される取引と軽減税率対象で8%が適用される取引とは、消費税と地方消費税の内訳が異なるため、消費税申告情は区分して集計する必要があるのでご注意ください。


【ご案内】
2019年1月11日(金)に、みずほセミナーで下記講座を開催します。
「消費税『軽減税率・インボイス方式』の導入とシステム対応」
多くの方のご参加をお待ちしております。

20170313

消費税率改正時の取引に関するQ&Aの公表

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2018年10月30日 (火)

【書評】『会社を売りたくなったら読む本』

PHP研究所の編集の方から、企業売却コンサルティングを行っている坂本利秋氏の『会社を売りたくなったら読む本』を献本いただきました。

201810301_2


本書は中小企業の経営者の方々向けにM&A(特に企業売却)の一連の手続きと留意点をまとめたものです。

第1章 会社の売却を考える
第2章 失敗しない業者選び
第3章 買い手企業を募る
第4章 買収監査の受け方
第5章 売却価格や条件を交渉する
第6章 売却価格を算出する
第7章 少しでも高く売却する方法

企業買収の過程では、買い手企業による買収調査(いわゆるデューデリジェンス:DD)が行われます。通常、財務DDは、3,4名の公認会計士がチームになって売り手企業に直接うかがって実施します。
しかし、このDDの段階では、まだ従業員に事業売却を進めていることを公にしていないケースが多いため、その際の対応方法として次のような記述があります。

多くの場合、公認会計士は地味なスーツを着ているため、銀行員のように見えます。社員に不安を与えずに信用してもらうために、「分散している借入れをメインバンクに一本化するため、銀行から調査が入る」とか、「販売先による新規設備投資の検討のために調査が入る」「対外信用力を上げるため、ごく部分的な資本提携を検討している」などと説明しておけば、違和感がないでしょう。」 (本書 84ページより引用、太字は筆者加筆)

この指摘はなかなか的を射ておりまして、確かに会計士と銀行員の区別は一般の方々には難しいかもしれません。
(あえて違いを言えば、大きなカバンを持っているのが公認会計士です)

現在、日本テレビで水曜夜10時から放映しているドラマ 「獣になれない私たち」 では、主人公の松田龍平さんが公認会計士を演じています。

201810302


かつて、会計士関連のドラマとしては、NHKの「監査法人」や「渡る世間は鬼ばかり」でえなり君が会計士を目指すなどの事例がありますが、トレンディドラマ(既に死後か?)で、主役の職業が公認会計士というのは、このドラマが初でしょう。

一般の方々からみると、
「ドラマに出てくるような松田龍平さんのような会計士なんているのか?」
というような疑問が沸くかと思われますが、今の20代、30代の会計士の中には松田龍平さん並みのルックスの先生はたくさんいらっしゃるというのが私の印象であります(ただし、髭を生やしている先生は稀)。

それは同時に、公認会計士だけではなく、銀行員の方も同様でしょうから、結局、先ほどの記述は、40代以上のオヤジ会計士と銀行員にのみ当てはまるというのが適切かと。

M&A関係の書籍は専門書が中心になるため、売却価格算定のための複雑な計算式や税務上の専門用語が多く出てきます。
しかし、本書には仕訳も複雑な計算式も出てきませんので、事業売却に興味を持った経営者の方が最初に読まれる本としてふさわしい1冊でしょう。

【書評】『会社を売りたくなったら読む本』

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2018年10月16日 (火)

「監査業務におけるITの活用事例」の公表

昨日、日本公認会計士協会からパンフレット「監査業務におけるITの活用事例」 (改訂版)が公表されました。

https://jicpa.or.jp/news/information/2018/20181015eyq.html

このパンフレットは、一般の方々を対象に会計監査におけるITの活用状況を説明したものです。

「近年のIT活用に関する取組状況」として掲げられている「残高確認システム共同プラットフォーム化の推進」は、先日、4大監査法人での協議会発足が報道されました。

https://www.shinnihon.or.jp/about-us/news-releases/2018/2018-05-14.html

この仕組みは監査人、クライアント双方の省力化に資するものですので、早期の実現が期待されています(4大法人以外はどうするんだという問題は残りますが)。

「監査業務におけるITの活用事例」の公表

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2018年8月 3日 (金)

電卓はシャープかカシオか最終決戦? 『会計人コース』に寄稿しました

中央経済社 『会計人コース』 最新号(2018年9月号) 「税理士試験 受験スタート号」 の企画、 『自分に合う電卓を選ぶ CASIO VS SHARP』 にカシオ派の代表として記事を寄稿しました。

20180803_2

以前から公言しておりますように、私、電卓については徹底したカシオ派です。
(ちなみに、当方、カシオさんとは何の取引関係もなく、独立性は保たれています)

【参考記事】 電卓はカシオかシャープか? これが答えだ?
http://iwatani-c.cocolog-nifty.com/blog/2014/07/post-7b85.html

そんな事から、カシオ派の代表として執筆依頼が来たものと推察しますが、雑誌という性格上、カシオとシャープのどちらが良いかの結論を出すわけにもいかないでしょうから、編集者には

「自分はカシオが絶対いいんですが、結論のあたりの言い回しはシャープ派の先生の記事に合わせて、適当に調整しておいてくださいよ」

とお伝えしたまま脱稿したため、シャープ派の記事の内容はまったく知りませんでした。

そして、本日、見本誌が届き、シャープ派の記事を よせだあつこ 先生が書かれていることを初めて知りました!

よせだ先生は 「パブロフ簿記」 という簿記教科書のベストセラーを書かれていまして、作品中のパブロフ君のイラストも よせだ先生ご本人の作品です。

さらに、電卓の使い方の本まで出されています(パブロフ君なので翔泳社の本だと思っていたのですが、これは中央経済さんの本だったんですね)。

実は、私、協会業務等でよせだ先生には大変お世話になっておりまして、こんなところで喧嘩(?)を売ることになろうとは思いもしませんでした。
この場をお借りして非礼をお詫びいたします。

それでも、電卓はカシオですよ!

今月号は電卓以外にも、ボールペンや蛍光ペンの善し悪しを比較するなど、タモリ倶楽部並みのマニアックな企画満載ですので、税理士受験生だけではなく各種試験勉強をされている方にも参考になるはずです。
一度、是非、書店でご覧ください。

電卓はシャープかカシオか最終決戦? 『会計人コース』に寄稿しました

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2018年8月 2日 (木)

旬刊経理情報『消費税の軽減税率・インボイス導入の実務』のどこが「保存版」なのか

中央経済社 『旬刊 経理情報』 の最新号(2018年8月10日号)に、『保存版 システム対応を見据え今から準備を 消費税の軽減税率・インボイス導入の実務』を寄稿しました。

2度の延期が行われたため、忘れてしまった方も多いかもしれませんが平成31年10月1日から消費税率改正が行われ軽減税率制度が導入されます。 導入まで残された時間は約1年。
そろそろ消費税率対応をスタートさせるタイミングでしょう。

201808021_3


ということで、今回の記事では、今年6月に公表されたインボイス制度の個別通達等を踏まえて消費税改正の概要を整理するとともに、新しい収益認識基準の影響もまじえてシステム対応上の留意点を解説しています。

今回、記事のタイトルに「保存版」との記述があります。
記事が保存に値する内容か否かは読者の皆さんのご判断に委ねられますが、作者自身として保存の価値があると考えるのは本紙39ページに掲載した「消費税の軽減税率制度に関するQ&A(個別事例編)」の一覧表です。 一覧表のもととなるQ&Aは、国税庁が公表したもので、ネットからどなたでも入手可能です。

https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/zeimokubetsu/shohi/keigenzeiritsu/pdf/03.pdf

しかし、このQ&A、全体で75ページもあるため、うかつにプリントアウトすると結構なボリュームです。
さらに、目次だけでも16ページ(!)に及ぶため必要なQ&Aにたどり着くのに時間がかかります(そもそも、目次部分に問いの全文を入れているのが冗長になった原因)。

そこで、当Q&Aの中では、最も判断に悩む「飲食料品の譲渡」「外食」の判断に関する回答を1ページにまとめておきました。

201808022_2

これならA4 1枚のコピーで済みますので、環境負荷もかかりません。
また、このQ&Aは2年前の平成28年4月に公表されてから数度の追加・修正が行われていますので、最新版をあらためて確認するのにも便利でしょう。

会計の専門誌のため、経理部門で定期後続されている会社も多いと思います。お手許にございましたらご一読いただければ幸いです。

旬刊経理情報『消費税の軽減税率・インボイス導入の実務』のどこが「保存版」なのか

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2018年6月15日 (金)

 国税庁 『消費税の仕入税額控除制度における適格請求書等保存方式に関する取扱通達』及びQ&Aの公表

平成30年6月6日付で国税庁から 『消費税の仕入税額控除制度における適格請求書等保存方式に関する取扱通達』 が公表されました。

https://www.nta.go.jp/law/tsutatsu/kobetsu/kansetsu/0018005-135/0018005-135.pdf

個別通達の公表にあわせて 『消費税の仕入税額控除制度における適格請求書等保存方式に関するQ&A』 も公表されています。

https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/zeimokubetsu/shohi/keigenzeiritsu/pdf/0018005-136.pdf

平成31年10月の消費税率10%への改正と同時に軽減税率制度が導入されます。今後、複数税率が併存するため、税率改正から4年後の平成35年10月には適格請求書等保存方式(いわゆるインボイス方式)が導入されます。

適格請求書等保存方式導入までの4年間は区分記載請求書等保存方式という現行の仕組みに準じた方法で申告できるのですが、税率改正にあわせて将来の適格請求書保存方式への対応を済ませたいという企業の要請もあり、早めのタイミングで個別通達が公表されたようです。

通達の内容は以下のとおりです。
第一 定義関係
第二 適格請求書発行事業者の登録制度関係
第三 適格請求書発行事業者の義務等関係
第四 適格請求書等保存方式による仕入税額の控除関係
第五 経過措置関係 

(原文は第五の項目番号だけ「第5」と英数字になっております?)

この中でも、実務上の判断が難しいかった共有持分の扱い

(共有物の譲渡等における適格請求書に記載すべき課税資産の譲渡等の対価の額等)
3-5
適格請求書発行事業者が、適格請求書発行事業者以外の者である他の者と共同で所有する資産(以下「共有物」という。)の譲渡又は貸付けを行う場合には、当該共有物に係る資産の譲渡等の金額を所有者ごとに合理的に区分するものとし、適格請求書に記載する法第 57 条の4第1項第4号《適格請求書発行事業者の義務》に掲げる「課税資産の譲渡等に係る税抜価額又は税込価額を税率の異なるごとに区分して合計した金額」及び同項第5号に掲げる「消費税額等」は、自己の部分に係る資産の譲渡等の金額に基づき算出することとなることに留意する。

税額算出時における計算方法の扱い

(課税標準額に対する消費税額の計算)
3-13
その課税期間に係る法第 45 条第1項第2号《課税資産の譲渡等及び特定課税仕入れについての確定申告》に掲げる税率の異なるごとに区分した課税標準額に対する消費税額は、原則として、同項第1号に掲げる課税標準額につき、税率の異なるごとに標準税率又は軽減税率を乗じて算出した金額を合計する方法(以下3-13 において「総額割戻し方式」という。)により算出した金額となるのであるが、その課税期間中に国内において行った課税資産の譲渡等(同条第5項ただし書の規定に係るものを除く。)につき交付した適格請求書又は適格簡易請求書の写しを法第 57 条の4第6項《適格請求書発行事業者の義務》の規定により保存している場合(同項の規定により同項に規定する電磁的記録を保存している場合を含む。)には、当該適格請求書又は当該適格簡易請求書に記載した同条第1項第5号又は第2項第5号に掲げる消費税額等及び当該電磁的記録に記録した消費税額等の合計額に 100 分の 78 を乗じる方法(以下3-13において「適格請求書等積上げ方式」という。)により算出した金額とすることができることに留意する。
また、取引先ごと又は事業ごとにそれぞれ別の方式によるなど、総額割戻し方式と適格請求書等積上げ方式を併用することとしても差し支えない。

(課税仕入れに係る消費税額の計算)
4-3
その課税期間に係る法第 45 条第1項第2号《課税資産の譲渡等及び特定課税仕入れについての確定申告》に掲げる課税標準額に対する消費税額の計算につき、同条第5項《消費税額12の積上げ計算》の規定の適用を受ける場合には、法第 30 条第1項《仕入れに係る消費税額の控除》に規定する課税仕入れに係る消費税額の計算につき、令第 46 条第1項《課税仕入れに係る請求書等による消費税額の積上げ計算》に規定する計算の方法(以下「請求書等積上げ方式」という。)又は同条第2項《課税仕入れに係る帳簿による消費税額の積上げ計算》に規定する計算の方法(以下「帳簿積上げ方式」という。)によることとなることに留意する。
また、その課税期間に係る法第 45 条第1項第2号に掲げる課税標準額に対する消費税額の計算につき、同条第5項の規定の適用を受けない場合には、法第 30 条第1項に規定する課税仕入れに係る消費税額の計算に関し、請求書等積上げ方式又は帳簿積上げ方式のほか、令第 46 条第3項《課税仕入れに係る支払対価の合計額から割戻す方法による消費税額の計算》に規定する計算の方法(以下「総額割戻し方式」という。)によることもできるのであるが、請求書等積上げ方式又は帳簿積上げ方式と総額割戻し方式との併用はできないことに留意する。
(注) 請求書等積上げ方式と帳簿積上げ方式との併用は可能である。

といった論点についても言及されています。

20170313

国税庁『消費税の仕入税額控除制度における適格請求書等保存方式に関する取扱通達』及びQ&Aの公表

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2018年6月 7日 (木)

国税庁 『「収益認識に関する会計基準」への対応について』の公表

新しい「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号)に対応するために、平成30年の税制改正によって法人税法も見直しが行われました。

それにあわせ関連する法人税基本通達も5月30日付けで改正されています。
http://www.nta.go.jp/law/tsutatsu/kihon/hojin/kaisei/180409/index.htm

これら、一連の税制上の改正事項のとりまとめとして国税庁から様々な資料が公表されました。
http://www.nta.go.jp/publication/pamph/hojin/kaisei_gaiyo2018/02.htm

特に 「収益認識基準による取扱いの例」 は、消費税の扱いについても具体的な事例を交えて解説しており、大変、わかりやすい資料になっています。

国税庁『「収益認識に関する会計基準」への対応について』の公表

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2018年6月 6日 (水)

【書評】『教養としての「税法」入門』

日本実業出版社の編集の方から、弁護士で現在青山学院大学法学部の教授も務められている木山泰嗣先生の 『教養としての「税法」入門』 (以降「税法入門」)を献本いただきました。

20180606_2



私が、木山先生の著作を初めて手にしたのは2014年に光文社文庫から刊行された 『弁護士が教える分かりやすい「所得税法」の授業』 でありまして、近年の新書が読み易さを重視した「軽い」本が多い中、木山先生の書籍は、やわらかい語り口とは裏腹に、しっかりした内容なのが印象的でした。

今回の書籍も同様で、一般に実務書と呼ばれるジャンルでありながら判決文の引用も多く、さらに詳細な注釈も付されています。

前書きに
「単にわかりやすいということではなく、大学の授業でしっかり学んだような実感をもてる「読み応えのある本」にしようと、担当編集者と話しながら作りました。」
という記載がありますが、その編集意図通りの作品に仕上がっています。

税法の全体像を重要な判決事例を参照しながら解説していく手法は、初心者の方でも興味をもって読み進めていけるでしょう。

具体的には
約1,300億円の贈与税が争われた「武富士事件」
サラリーマンの給与所得控除について争われた「大島訴訟」
戦後最大の税務訴訟となった「ストック・オプション訴訟」

などを取り上げつつ、全体は以下のように構成されており、まさに大学の講義どおりの内容になっています。

第1章 税法の歴史とは
第2章 税法の重要判決にはどのようなものがあるか?
第3章 税法とはそもそも何か?
第4章 税法の基本原則を知ろう
第5章 税法の解釈とは?
第6章 税法の制度を押さえよう
第7章 不服申立て・税務訴訟とは?

本書を読んで思い出したのが、元長野県知事 田中康夫氏のデビュー作 「なんとなく、クリスタル」 (以降「なんクリ」)です。

1981年、バブルの少し前に刊行されベストセラーになった「なんクリ」は、本文の内容よりも本文同様のボリュームを持つ脚注の面白さが話題になりました。
実際、脚注部分だけを読んでも、それなりの音楽通(今では死語となったAORというジャンルですが)になれるという仕掛けが組み込まれていたのです。

今回取り上げた「税法入門」は、まったく異なるジャンルですが、脚注の充実度は「なんクリ」に負けていません。

318ページに及ぶ書籍の1/3は詳細な注釈ですので、まず、最初に注釈部分を割愛し本文部分だけを読み進めるのがよいでしょう。
本文を読み終わった後で、脚注部分だけを読み進んでいっても、税法の様々なトリビアが身に付きます。

聞くところによれば、本書は昨年8月の刊行から既に5度の増刷、累計1万部を超える売上を上げているそうです。
現在の出版環境において、これだけ硬派な作品が、このような実績をあげているという事実はビジネス書を著す者としても大変勇気付けられるニュースです。
今後も税法入門のスタンダードとして永く読まれ続ける一冊でしょう。

【書評】『教養としての「税法」入門』

| | コメント (0) | トラックバック (0)

«「会計の基本」13刷りの御礼